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RCCの河村綾奈アナウンサー(29)【後編】悩み多き「アラサー」、等身大の自分を伝えたい

  中国放送(RCC、広島市中区)で活躍するアナウンサー河村綾奈さん(29)のマイルール。後編は、心を整えるための工夫や目指すアナウンサー像について聞きました。(聞き手・栾暁雨、写真・山田太一)

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myルール 河村綾奈さん NOTE

 順風満帆に見える河村さんでも30歳前のモヤモヤがあるんですね。

 ありますよー。悩み多き29歳ですから。アナウンサーとして若さを売りにはできなくなる。人と比べたり、人生が不安になったり。それは皆さんと同じです。その一方で、自分を大切にしたいとも思っていて。気持ちよく仕事をするために「自分の機嫌は自分で取る」ようにしています。

 ありがちですが、たまには思い切ってちょっと高いバッグやアクセサリーを買って、自分をねぎらいます。いい物を身に着けるとそれだけで気分が上がってルンルンでいられる。私、単純ですね。もうすぐ30歳になるので、指輪を自分へのお祝いにしようかなと考え中です。

【紙面用】「イマナマ」ポスターEdit

 最近、1人暮らしを始めて料理にも目覚めたとか。

 基本は自炊です。週末に作り置きをするのが好きで、近所のスーパーで食材を買い込んでます。平日は時間がないので、土曜の午後いっぱい使ってラジオや音楽を聴きながら、だらだら作ってストレス発散しています。

 定番のおかずは、ちくわの磯辺揚げと煮卵、冷しゃぶサラダ、豚汁。ちくわにチーズをつめて、青のりをまぶして揚げ焼きにするのがたまらなくて。作ったそばから熱々を食べるのが至福なんですよー。

 大量に作って保存容器に入れて、1週間かけて食べます。会社にいても「帰ったら好物が待ってるー」って考えると、ちょっと浮き浮きして。仕事を頑張ろうって思います。やっぱり単純ですね。

河村さん机作業Edit

 実家も広島市内と聞きましたが、なぜ1人暮らしを?

 番組でしゃべる内容に生活感を持たせたかったんです。大学も広島で実家を出たことがなく、家事は母に任せきり。でも番組で料理コーナーを進行していると料理をやっていないことがすぐにバレちゃうんですよ。実際に作っていないとリアリティーあるコメントができないんです

 天気コーナーで洗濯物の話になる時も、普段から洗濯していないと自分の言葉が出てこない。画面越しに親近感を持ってもらうには、実際に自分で生活を営むことをしなきゃって。おかげで随分、生活力がアップしました。

 自炊をするのは、健康に気を使うようになったのもあって。20代後半ってお肌の曲がり角で、油断するとすぐにニキビができちゃうんです。化粧のノリが悪いと番組のメークさんにも迷惑を掛けちゃうので、栄養バランスを考えるようになりました。体調管理も仕事のうちです。

河村さん上半身左向Edit

 「明るい色の服を着る」のはなぜですか。

 袖を通すだけで気持ちも顔色も明るくなるからです。前に旅先のフィンランドで、花柄デザインが有名なブランド「マリメッコ」のお店に入ったら、黄、赤、青の原色にすごく元気をもらって。北欧のような寒冷地では、視覚的に暖を取ることも必要なんだと気付きました。寒い季節こそ、明るい色の服で周りの雰囲気も明るくしたいですね。社内でも「お、華やかだね。いいじゃん」と声を掛けてもらえます。

 ちなみに番組で着る服はリースですが、司会のイベントやロケでは自前。頻繁に新調する必要があるので、洋服はかなり持っている方です。1人暮らしの家探しでも、キッチンと同じくらい収納を重視しました。明るい服が並ぶ壁一面のクローゼットは心弾む場所。こんなふうに生活空間を整えることが心の余裕になって、機嫌よく過ごすことにつながります

刺しゅう入りバッグ裏Edit

 自分を楽しくする工夫、見習いたいです。他に心掛けていることはありますか?

 SNSを見過ぎないことですかね。私たちの世代には欠かせないツールですが、あまりにもいろんな情報が入ってくると疲れてしまうので。どちらかというとスマホを触るより、体験や本を読むことに時間を使いたいんです

 小説やエッセーって学びが多くて。気に入ったページに付箋を貼るのが癖なんですが、重要順に赤、ピンク、オレンジ、黄など7、8色。本棚にはカラフルな付箋が飛び出した本がいっぱい並んでいます。特に好きなのは林真理子さんの「野心のすすめ」。「20代で頑張った結果は、30代の人生に反映される。30代で努力したことは40代の充実感に比例する」などの金言が詰まってて、励まされます。

 SNSで利用頻度が高めなのはインスタグラムかな。でもやみくもに投稿を見るのではなく、好きなものに囲まれてハッピーになれるような使い方をしたいんです。好きな女優さんやドラマに関する投稿をフォローしたり、よく着るアパレルブランドの服を眺めたり。これも自分の機嫌を取ることと近いのですが。

河村さんラジオスタジオ外からEdit

ところでアナウンサーを目指したのはなぜなんですか。

 人の話を聞くのが好きだし、いろんな人に会えると思ったからです。でも初めて意識したのは小学5年のとき。周防大島の祖父母の家に遊びに行ったらテレビにすてきな女性キャスターが映っていて。「私もなりたいな」と言ったら、祖父母が「そりゃーいい!」と喜んでくれたんです。黒いステージマイクまで買ってきて。思えばそれが原点かもしれません。

 大学は法学部。就職先は公務員か民間企業かで分かれるのですが、将来を考えたときに、あの女性キャスターのことが浮かびました。普段はあまり冒険しないタイプなのに、すぐにRCCアナウンススクールに申し込んで。「私、アナウンサーになるかも」と勝手に思い込んじゃった。楽しいことが好き、大勢で盛り上がるのが好き、という性格だから「向いてる気がする!」って。お気楽すぎますよね。

中国放送社屋Edit

 その思い込みが「RCCの顔」を生んだんですね。河村さんが目指すアナウンサー像は?

 「親近感を持ってもらえる人」でしょうか。番組を見ている方から街中で「あ、テレビの人だ」と声を掛けられることもありますが、私は視聴者の皆さんにもっと近い存在でありたい。それがローカル局のアナウンサーの強みなので、等身大の自分をもっと出していけたらと思います。

 RCCはラジオがあるし、主催イベントも多くて活躍の場が広いメディアです。大好きな職場で仕事を長く続けるのが当面の目標ですね。今はそのために力を蓄える時期。あれこれ趣味を見つけるのも、時間を自分のためだけに使える今だからこそです。私、春を感じると新しいこと始めたくなるんです。まだ寒いけど2月4日で立春。30代以降を彩れるよう、貪欲にチャレンジを続けます。