ルーティンは銭湯にあり!ラグビーと仕事を両立しながら前に進むマツダ・ラグビー部の選手会長(32)
マツダの社員でラグビー部「マツダスカイアクティブズ広島」の選手会長を務める植松真吾さん(32)。仕事とラグビーを両立して「前に進む」ためのマイルールを聞きました。(聞き手・秋吉正哉、写真・田中慎二)
特別なことはしない方なんですが唯一あるのは、試合の2日前には近所の銭湯に行って、リフレッシュした状態で臨むことです。
銭湯は広島市東区の自宅から車で5分くらいの所。練習などの疲労を回復させるために、効果的とされる「交代浴」をします。お湯に10分、冷水に1分、交互に4セット繰り返します。僕が熱い風呂に長く入れない、すぐのぼせてしまうっていうのもあるんですけど。最近はまっているサウナにもいるので、ほぼ1時間、長いと2時間ぐらいは滞在しますね。
これだけ入浴すると、実は翌朝は体が重く、だるいです。でも、そこから徐々に重さ、だるさが抜けていく感じがあって、試合当日には軽くなるんですね。疲労がなく、ベストのパフォーマンスを出せる感覚になります。
これを習慣づけたのは5年前くらいから。仲良くしている先輩に誘ってもらったのがきっかけです。今は試合がない週も行きます。ラグビーは体を激しく当てるスポーツ。80分フル出場すると、翌朝全身が痛く、すっと起きられないくらい疲労がたまるので、コンディションの維持が重要なんです。
グラウンド練習やジムでのトレーニングのため、月、水、金曜は午後5時、火、木曜は正午で退社します。通常の退社時間を早めていただいている分、自分の仕事はもちろん漏れなく、可能な限り効率的に実行したい。そんな中で大切にしているのは、やることを書き並べたToDoリストでのスケジュール管理です。
入社直後はラグビーに意識が向かいすぎて、業務を忘れたり後回しにしたりして、上司に「あの業務はどうなった」と言われることもあったので、3年目くらいから徹底しました。
パソコンのソフト上で作成していて、思い付いた順に、期限が短いものは時期を沿えて並べる。10項目はいかないですが、コンスタントに5項目以上はある感じでしょうか。終了したら削除して、何をやったか、ちゃんとできたかを確認しながらやっています。
時間が限られることもあって、上司や職場の同僚にサポートしていただくこともあるので、コミュニケーションを密に取り、できる仕事はしっかり完結させたい。業務でも、そしてラグビーでも和を大事にすることを心掛けています。
スポーツ選手もいろんな人がいて、勝てなかったり、試合に出られなかったりしたときに引きずることもあります。僕はそういうときに、声を掛けたくなっても、ああしろ、こうしろと言えない、むしろ言いたくないタイプなんです。「ファンにしっかりあいさつをして帰ろう」と言うくらいかな。
それは、自分の行動を見て、感じ取ってもらえたらと思っているのもあるんです。自分がついて行きたいと思うリーダーはそういう人なので、ちょっと憧れもあって。
怒るのもデメリットがあります。ラグビーで勝てない、うまくいってない時って、怒られると下を向いてしまいがちなんです。萎縮してしまうし、ミスしたくないと思って自由なプレーができなくなってしまう。そういう時でも上を向いてやっていけるようにしたい。
僕自身、社会人になってから、不安になる時があるんですよね。試合前日の寝る前とかがそうで、遠征先だと1時間半くらい寝付けないこともあります。
ただ、当日になって試合の準備を始めると、不思議と不安は完全に消えているんですよね。自然と切り替えているんだと思います。
そういうふうな姿も見られているんでしょうね。僕もチーム内ではベテランになり、出場する機会は少なくなってきました。でも、先発とその他のメンバーに分かれて対戦する練習でも、適当にはやりません。先発のメンバーが次の試合でしっかり立ち向かえるように、自分から率先して手ごわい相手になるようにしています。プレーで貢献できない部分でもみんなが役割を果たせるように、自分がお手本になりたいんです。
普段は名前の「シンゴ」で呼ばれてるんですけど、面白おかしく「会長」って言われる機会もできて。でも、出しゃばりすぎず、選手全員で協力しながら、地域の方に愛着と誇りを持ってもらえるチームにしたいと思っています。みんなで戦う達成感、勝った時の喜びがラグビーの楽しさですから。