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「政治とカネ」にNO! 広島の補選を前に有権者たちのキャッチコピーは?

 河井夫妻の大規模買収事件をきっかけに始まる補欠選挙。1票への思いを言葉に託すとしたら―。3月にある広島県議と広島市議の2つの補欠選挙へのキャッチコピーを中国新聞「みんなの政治」取材班が募ったところ、広島県内外から計209件が寄せられました。最も多かったのは「政治とカネ」からの決別を訴えるもの。選挙の結果に注目する熱い気持ちが感じられました。

 補欠選挙は、広島市議の安芸区選挙区(3月11日告示、20日投開票)と、県議の府中市・神石郡選挙区(3月18日告示、27日投開票)。2019年7月の参院選広島選挙区が舞台となった大規模買収事件で、河井克行元法相や妻の案里元参院議員から違法なお金を受け取り、自民党の市議1人と県議1人が突然辞職したことによって実施されます。

 LINE(ライン)やはがきなどで届いたキャッチコピーの中で、目立ったのはやはり「政治とカネ」からの決別を訴える内容でした。「広島再生」とした広島市西区の主婦(53)は「議員が多くの問題を起こしている。世間を騒がせすぎなので一からのスタートをお願いしたい」ときっぱり。佐伯区の会社員男性(30)は「選挙汚職が二度と起こらないようにしてほしい。有権者はよく見極めて投票してほしい」との気持ちから「二度と黒くならない色を塗ろう。」を提案してくれました。

 買収事件を受けて実施された21年4月の参院広島選挙区での再選挙は、広島県選挙管理委員会の「だまっとれん。」が会員制交流サイト(SNS)などで「県民の思いを代弁している」と話題を集めました。広島市中区の公務員男性(39)は「今度も、だまっとれん。」とアレンジ。「黙っていること=棄権はしたくない」との理由も添えて、有権者の投票行動を呼び掛けています。

 ただ、再選挙の投票率は過去2番目に低い33・61%でした。広島市選挙管理委員会によると、補欠選挙や再選挙は選挙区となる地域が限定されるため、統一地方選挙などの通常選挙よりも有権者の関心が薄れ、投票率も低くなる傾向があるそうです。こうした危機感から1票の大切さを説くキャッチコピーも目立ちました

 「また投票率の低さ、更新しちゃう?」。こんな挑発的な言葉を寄せた広島市安佐北区の医療職女性(38)は「買収事件が発覚した後でも投票率の低い広島県民。30代の人間として嘆かわしくて。あおるようなフレーズでもなんでもよいから、とにかく若い世代に投票に行ってほしいと思って考えました

 広島県府中町の清掃業男性(53)は「みんなが政治に無関心だと有権者の意思が正確に反映されず、より良い世の中は築けない。投票率が低く、到底民意を反映していると言い難い昨今の選挙に疑問を感じている」との思いから、「民意無き選挙の先には闇が広がる。」と投稿してくれました。

 「広島=金権選挙」という悪いイメージが全国に広がってしまった買収事件。県民として本当に悲しく、情けなく思います。そんな中、取材班がとてもうれしかった投稿があります。

 「汚名払拭(ふっしょく)の第一歩」。LINEで応募してくれたのは、広島市安佐北区の14歳の少年。こんな言葉が書かれていました。

この地方議会の補欠選挙が国規模に直接影響するとは思えないけど、その一歩にはなる」。将来の有権者からの力強いメッセージです。