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複数愛の続け方〜彼氏に彼女がいてもわたしの価値は下がらない〜

「複数愛って実際どうやって続けるの?」ということをよく聞かれます。この問いの背景にはおそらく「どちらか相手に他のパートナーがいることに嫉妬しないの?」「相手のパートナーが怒鳴り込んできたりしないの?」「予定の調整はどうしてるの?」といった様々な疑問があるのだと思います。

まず、予定の調整ですが、Googleカレンダーで全当事者の予定を共有している方もいるみたいです。こういう方々は、隠し事をせず、すべての情報をオープンにすることによって関係性を安定させることを試みています。パートナー同士が顔見知りだったり、3人以上で同居していたりといったケースが多いようです。「あなたには絶対に嘘をつかない。」という証明を日常的に行うことを「誠実さ」と捉える考え方ですね。

一方、わたしと現在のパートナーはそこまで予定をオープンにするとなんだか窮屈に感じてしまう性格ですし、あまり几帳面でもないため(笑)、会う曜日を固定しておくことで日程調整の煩わしさを解消しています。新しいパートナーが参入してきても、「日〜火曜日なら空いてるよ。」と指定することができるのでスムーズです。また、「日曜日になれば必ず会える」という規則を決めておくことで、他のパートナーと会えないときも不安を無限定に拡大させることを防ぐこともできます。ポリアモリーの実践においては、初めから決まりごとをしっかり作っておくことで相手の不安を増大させないようにしておくことは重要です。

他のパートナーに怒鳴り込まれたことは、わたしはありません。彼氏は何度もあるようです。怖いですね。想像するだけで胃が重たくなります。修羅場は相手にポリアモリーであることを告げているかどうかにかかわらず訪れるようです。ますます怖いです。たとえパートナーと合意していたとしても、片方がぷっつんと気持ちが切れてしまうということはあるみたいです。人間の気持ちは他者がすべてコントロールできるものではないので、ある程度仕方のないことなのかもしれません。彼はよく「自分のしたことの結果だから引き受けるしかない。」と言います。これを覚悟があり肝が座っているというのか図々しいというのかはみなさんの評価にお任せします。

どちらか相手に他のパートナーがいることに激しく嫉妬してしまうことは、モノアモリーの人はもちろんですが、ポリアモリーの人でもよくあります。わたしもあります。

わたしが彼氏の彼女さん(こういう関係の人を「メタモア」といいます。)に嫉妬を感じたのは、彼とメタモアさんが一ヶ月間世界一周旅行に行くことになったときでした。メタモアさんはモノアモリーなので当然わたしがついていくことは許されません。ではそのかわりに後の一ヶ月はわたしを優先に…というわけにもいきません。モノアモリーのメタモアさんにとっては「わたし」の存在を黙認していること自体が大いなる譲歩なのです。一ヶ月間彼を独占することは彼女からみれば「正妻」として、当然の権利行使でした。

わたしはポリアモリーですべてのパートナーは「セフレ」も「妾」もなく対等だと思っています。なので、このような扱いには非常に悔しい気持ちがします。「二番手」ってやっぱり嫌な響きです。

ただ、それはあくまでメタモアさんの世界観です。わたしまでそれに引きずられる必要はありません。最も大事なのは、わたしと彼との関係性がどうかということです。わたしと彼の間でわたしの価値が低く位置づけられているかというと、それは違います。わたしは彼に5年間大切にしてもらいました。人生の悩みや困難な選択も一緒に背負ってもらいました。彼にわたし以外の彼女がいることはわたしの価値を下げるものではありません。

もちろん、わたしも彼から「二番手」扱いされたら耐えられそうにありません。そういう扱いをしてくる男性はポリアモリーかモノアモリーかにかかわらず、たくさんいます。例えば、自分の都合のいい日の当日にだけアポイントメントを取ろうとする、未来の話をしたがらない、愚痴を言ったり悩み事を相談したりするとあからさまに面倒臭そうな顔をする、2人の問題を一緒に考えてくれない、性行為の際に一方的に性癖を押し付けられる…等です。このようなことをされると、わたしは深く傷つきます。まさにお互いの人生を支え合う「パートナー」として心許ないと感じてしまいます。自己肯定感が著しく下がります。

みなさんにもそれぞれ「こういうことをされると、自分がこの場に存在するに値する人間と思えなくなる。」というポイントがあるかと思います。もちろんそれが、パートナーがわたし以外とセックスしていることだという人もたくさんいると思います。ただ、わたしにとっては、相手がモノアモリーかポリアモリーかにかかわらず、わたしを対等な人間として扱ってくれて生活を共にしようとしてくれるかどうかは、大変重要でした。

そして、そのような「わたしにとってここは譲れない。」というポイントをいちいち相手に伝え、すりあわせていくということが、結婚やよくあるカップルの形式に頼れない複数愛を実践する上で一番大切なことになってきます。「当たり前」の雛形は存在しないわけですから、常にチェックポイントが存在することになります。ちょっと面倒ですね。

ただ、その分、自分の思い込みでスルーしてしまうようなことも意識的に立ち止まって、相手に共有して、話し合ってというプロセスを経ることになるので、わたしとしては誤解やすれ違いが生じにくい愛のカタチだと思っています。特に最近は、フェミニズム運動の成果もあって急激に価値観がアップデートされているので、異性愛者の男性・女性ではジェンダー観や性的役割分担について意識の差が生じやすいです。また、伝統的にタブーとされていた性やセックスの話題もあまりに個人的なテーマであるため、価値観の違いは大きいのではないでしょうか。そういったことも含め、必要に迫られてオープンな場で話し合う雰囲気が作りやすい気がしています。(わたしと今のパートナーは15歳差なのですが、何度も粘り強く話し合ってきた結果、あまり年齢差による障壁は感じなくなっていきました。)

このように、ポリアモリーを実践するとなると、少々煩わしいこともありますが、日々の話し合いや調整を乗り越えたときには、お互いに対する理解が深まり尊敬の念に変わっていきます。とにかくコミュニケーションを丁寧に。これが複数愛を続けていくコツです。

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