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ダイアナの靴

頑張らないことを頑張ると決めても、癖って本当に怖いもので、ついつい頑張ってしまいます。
ということで、頑張らないをタスク化してしまえばいいと思いついたものの、そもそも頑張らないとはどういうこと?

そんなことを思っている時、ふらりと「ダイアナ」という靴屋さんに行きました。
ダイアナは私にとっては少しお高めで、今までお店に行くことはあっても買うことはありませんでした。だけど憧れの靴屋さんで、いつか買いたいと何年も思ってきたのです。
その時も、ふらふらと店内を見て回るだけで、手に取ることすらありませんでした。
可愛い靴がたくさんあって、どれもこれも欲しいと思っているのにも関わらず。
その時も無意識に、『もっと頑張ったら買おう』と考えていたのです。
え……待って。「もっと、頑張ったら」って何?
そうやって何年間も憧れのまま、ダイアナの靴は永遠に私の元には来なかったじゃない。大切なのは誰でもない、私が私を認め許可を出すことなのです。

頑張ったなと、自分自身を認めること。
頑張りすぎたら、よく頑張ったねと自分を労ること。
まずはそこからスタートする。
そう決めたのです。

そういうわけで、毎日何かと頑張っているご褒美として、遂にダイアナの靴を購入しました。
大好きなリボンモチーフのついた靴で、履き心地も申し分ないです。
私の足を大切に包んでくれる靴を見る度に、心がちょっぴりときめきました。

それから数ヶ月後、私は長年勤めてきた部署を異動になり、新しい環境で仕事を始めました。
慣れない仕事ということもあり、緊張の日々が続きます。
そんな中、入社以来最大のミスをしでかしてしまったのです。
かなり凹み、落ち込む日々が続きました。ミスをした自分を許すことができませんでした。
会社からの帰り道、その日もトボトボと下を向いて歩いていると、キラキラと光るダイアナの靴が目に入りました。
その時、唐突にその靴を買った時の気持ちを思い出しました。

そうだ。自分は十分頑張っているじゃないか。
手を抜いて仕事をしていたわけじゃない。真面目にやった結果のミスだった。
なら、大切なのは今、下を向くことじゃない。前を向いて歩いていくことだと。
そう、気がついたのです。

もし、あなたに憧れの何かがあり、もし手が届くなら、手に入れてみましょう。
あなたには十分にその価値があるのです。
もしそのことを忘れてしまうことがあっても、手にした憧れのものがあなたにその価値があるということを、思い出させてくれるでしょう。

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