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【北海道ツーリング】札幌の時計台にがっかりする奴は自分に酔ってるだけ

札幌って普通に東京だな-。訳の分からないことを口走ってしまったわたくし、風と共に走り去りぬ、今日一日、こんなことが起こった。

・平岸台公園と平岸高台公園を間違える。
・札幌時計台は言うほどしょぼくない
・内陸部ってどうしてこんなに平らなんだろう
・旭川、寝床が決まらない

そんな今日の出来事をこれから詳しくお伝えいたします。
 
平岸台公園と平岸高台公園を間違える

すごぉぉぉぉい
すごぉぉぉぉい

朝、旅人のいびきから逃れたい一心で起床した。時刻は四時。朝日だってまだ寝起きですっぴんだったくらいだ。化粧なんてしなくったって綺麗だよ、と彼氏面で呟きながら、本妻のSRにまたがる。

一応私の服装を説明しておこう。
アンダーシャツ、長袖のジャージ、ウルトラライトダウン。ジーンズ。総額7500円と言ったところだ。安いなぁ。けど寒い。立ってるだけで寒いのに、バイクに乗ってもっと冷たい風を受けるなんて正気の沙汰では無い。

でも、留まるわけにはいかない。少し待とうにも、部屋ではいびき魔神がいるから、あまりのうるささに殺人事件を起こしてしまうだろう。自分を律する自信が無い。

他人の命と自分の命を天秤に掛け、私は他人の命を選択した。なんて美しい自己犠牲だろうか。

保温と眠気覚ましのため、道中缶コーヒーを二本開け、なんとか札幌に到着した。さすが大都会、平日の朝だというのに車がビュンビュンと走っている。やけに運転の荒い札幌ナンバーを交わしながら私はとある公園でバイクを止めた。

平岸高台公園。それは水曜どうでしょうを見るものにとっては聖地となる。なぜなら、本編が始まる前の前枠と呼ばれる映像が撮影された土地だからだ。大泉洋が話し、ミスターが暴れた場所。行かない理由があろうか。

大都会札幌の団地にひっそりとたたずむそれは、私が映像で見ていたものと大きく違っていた。細長い形状で、砂場なんかがある。あれ、なんだこれ。 
そう、私は平岸台公園という団地の子供を対象とした公園に、もりもり積載のバイクを横付けしてしまっていた。やけに視線を送られたのも納得である。

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ナビをセットし直し、今度こそ到着すると、あの見慣れた景色が広がっていた。ミスターが駆け下りてきた坂道。後ろにそびえ立つマンション。広角レンズを通し、番組と同じ画角で撮影をすると、写真の中で大泉洋とミスターが並んでいるような気がした。

追記:そばにあったHTB社屋は跡形も無く壊されていました。

札幌時計台は言うほどしょぼくない
札幌に来たからには行かなければならない。かつて社会科の教科書で見た写真、札幌時計台から声が聞こえた気がした。

がっかりする観光地、実物はしょぼい等々。札幌時計台に向けられる視線は冷たい。だが、私はそうは思わない。なぜなら、「がっかり」という感情を言いたいがために、人は札幌時計台に行っているような気がしてならないからだ。自分の目で確かめて、感想を持ちたい。熱くて、交通量が多くて、すぐにでも札幌を抜け出したいところだが、行かないと後悔しそうだ。未来の自分に背中を押され私はバイクにまたがった。

それにしても札幌ナンバーの車はどうしてこんなにも運転が荒いのだろう。あっぶねぇ、と思う車はすべて札幌ナンバーだった。教習所の教官がヤンキーか何かなんだと思う。

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え、結構凄くない? てか普通に好きなんだけど、このビルに混じって古い建物がある感じ。

時計台を前に私は気がついた。「がっかり」という感情は自分から湧き出たものでは無いと。有名な観光地を「がっかり」とこき下ろすことで発生する景色に肥えた自分に酔っているだけなのだ。

「見抜いてやったぞ!」鼻の穴を膨らます自分に酔いながら、美瑛までのナビをセットした。

内陸部ってどうしてこんなに平らなんだろう。
札幌から峠道をうねうねと進むと、北海道のちょうどど真ん中、平地の美瑛・富良野周辺に到着した。

ここはとにかく道がまっすぐだ。アメリカじゃねんだから、とツッコんでしまうくらいに地平線が続いており、綺麗に整えられた畑には等間隔で植えられた野菜がぴったりと整列していた。

何の疑問も無く富良野を通り過ぎ、私を乗せたSRは四季彩の丘に到着した。
入場料500円を支払い、エンターテイメントガーデンパークという造語もほどほどにしろよと言いたくなる空間に足を踏み入れる。

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すぅぅぅげぇぇぇぇ!!!
何を見ても同じ感想しか言わないのは、心の一番深いところから出ている感情だからだと信じたい。「すげぇ」「すぅぅげぇぇ」「うわっ」「やべぇ」北海道ツーリング中何度これらの言葉を放ったんだろう。手元のカウント機は124回を示していた。公式記録ではないものの、世界新記録らしい。

昼食では鹿肉丼を食べた。一杯1000円だったが、鹿肉の物珍しさにあっさりと敗北し、野口英世が券売機に吸い込まれていった。自分の財布のひも(実際はジップロックのチャック)が緩んでいくのを感じる。

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うっすら感じる獣臭さと鉄っぽい味をかみしめているとき私は思った。普段口にしている牛肉や豚肉、鳥肉なんかは生き物を食べていると言うよりかは、塩辛い調味料で味付けされたクソおいしい物体といった感じがする。

「いただきます」や「ごちそうさまでした」は世間体のために言っているだけであって、食材自身に向けられた言葉では無い。だが、この鹿肉丼を食べている時は違った。

(大切な命を)「いただきます」
(大切な命を)「ごちそうさまでした」
(大切な命を)で修飾せざるを得ないというか、修飾しなければならないと心の底から思ったのだ。

前と後で感覚が変わっている感じ。これ小説だなぁ。鹿肉丼によって「いただきます」と「ごちそうさま」の意味が変わった経験だった。

追記:美瑛の写真はスマホのロック画面にしています。最高!

旭川、寝床が決まらない
道北、道東に備えて、パンク修理キットを買っておきたかった。ので、私はバイク用品店を探し、旭川にあるという二輪館的な場所に向かうことにした。

着くとすでに四時を回っていて、そろそろ寝床となるキャンプ地を決めないといけないなア。とりあえずさっさとパンク修理キットを買っちゃおう。私は引き戸に手を掛けた。

ガチャン、、、。
しまってる、、!!!
何で!
ガラスの奥に下げられた安物のホワイトボードを見る。

「管理人外出中のため」
ふざけんな営業中は働けよこの怠け野郎バーカバーかこっちは朝四時に起きてここまで走りっぱなしなんだよ、てか海辺に泊まりたいから旭川なんてすっと抜け出したいんだよ働け働け。

と、言っても現状は何も変わらない。ツーリングマップルで宿泊できそうなキャンプ場を探すと、「春日青少年の家」というオードリーファンを試されるような場所を見つけた。それにここから近い。無料で泊まれる。
「あー、今ね休業中なの」


終わったyo!☆


翌日の凍えた死体を想像していると、見かねたおじさんが「鷹栖なら、、ひょっととしたら、、」と教えてくれた。

行き当たりばったりで、その土地の人が教えてくれるこの状況って、旅っぽい、、!

ありがとうおじさんー。ありがとうーーー。
バイクをかっ飛ばし、鷹栖町のキャンプ場にたどり着くと、受け付け終了の五分前に到着した。かわいいお姉さんが迎えてくれ、私は思わず目尻を下げた。

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芝、ファミリー、フリーサイト、綺麗。
最高のキャンプ場だった。近くの銭湯ではほうじ茶ロウリュを経験し、餌と化した料理をむさぼり、熟睡した。ありがとうおじさん。
翌朝、湿ってしまったキャンプ道具たちをすべて乾かし、再び海岸沿いを走る。
↓GoProで撮影したモトブログがあります!再生してコメントして私の承認欲求を満たして頂けると嬉しいです。劇面白いですよ。

https://www.youtube.com/watch?v=P6iN-oYEsL8

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