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社外取締役は顧問でもアドバイザーでもない

多くの会社で社外取締役が誰なのかは語られても、何をやっているかが語られている事は意外に少ないのではないかと思います。

それ以前にそもそも取締役とは?その中で「社外」取締役とは何なのか。

なんとなく分かるようでよくわからないこの概念を、できるだけ言語化できればと思います。あまり教科書的な話をしても意味がないので、自分の会社をイメージしつつ考えてみます。

まず、社外取締役どうこうの前に、取締役会で何をやっているのか。

取締役会での議論内容は大きく、
①各事業の業績とその構造。そして主要トピックの共有と議論
②全社で重要/中長期的/非連続なテーマの議論と意思決定
③大型投資、不祥事等企業の存続に関わるものの議論と意思決定
④法的・決裁権限的に取締役会で意思決定が必要なもの
の4つくらいにわけられます。

これらを案件ごとに担当を決めて、担当が取締役会の中で説明し、取締役全員(主として社外取締役)からいろいろ質問を受けて回答し、その内容を踏まえ個々の案件可否を取締役全員で決議します(最近は賛否を明確にするために、挙手制をとっています)。

この流れをみると、取締役は会社の経営に対し大きな影響力があるように見えます。
でも、、、私は必ずしもそうは思っていません。
若干語弊があるかもですが、なぜならまず取締役は各事業の意思決定やオペレーション(執行)を行なっていないからです。

やることは意思決定された事業の結果をモニタリングすることと、そこでの数字の結果責任を負うことです。上の①に当たる部分です。

なぜそうしているか? それは(あたりまえですが)一つ一つの事業執行に関与していたら明らかにスピードが遅くなるし、そもそも事業のことは事業部が一番詳しいためです(これをテクニカルには「執行型」ガバナンスではなく「監督型」ガバナンスと言います)。

他に②、③も同様です。M&Aや重大不祥事、企業の存続のリスクマネジメントに関わる部分や、事業で閉じない全社的・中長期的な部分に対しても、確かに議論も意思決定もするものの、イチから取締役会内で完結するというより、社内経営陣で議論された内容がベースになっています。

④もそうです。ここは比較的形式的な内容を、責任の所在を明確にするために取締役会で決議しています。

以上踏まえて、取締役とは要はなんなのか。

それはその影響力の大小というより「結果責任を最終的に負う役職」ということが実態に近いように思います。

ではその中で「社外」取締役の役割とはなにか?

その役割とは上記の責任を負うにあたり、社内的には意識しにくい社外ステークホルダーの代理人として、資本市場、社会常識、そしてそれぞれの知見をベースに、企業の意思決定の精度を上げることだと考えています。

そこでは社外取締役が我々と同意見である必要はないし、そして社内メンバーと同じ業務知見を持っている必要は必ずしもない。なぜなら意見が異なるからこそ、刺激しあい牽制しあって組織は成長していけるし、業務知見がないからこそ前提の行間を飛ばさずサボらず、ゼロベースで議論ができるからです。

社外取締役が質問する責任、社内取締役が説明する責任、このサイクルで問題解決が進んでいくのがガバナンスのあるべき役割分担だと感じます。

(写真と本文は関係ありません: メジロと向き合う@都内公園)

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