無題

 野球場でアルバイトをしている。今日はその球場での最終戦ということで、同じ配置の人達と打ち上げのような飲み会をした。同学年の友達も多いし、先輩後輩ともそれなりに良好な関係を築けていると踏んでいたのでとりあえず参加をしてみた、という形だ。参加者は20人と少し居ただろうか。
 流れで座ったら長い卓の真ん中辺りの席になった。ちょうどグループが2つできていたのでそのちょうど境の所だった。俺から見て右側は女子中心のグループ、左側には男子中心のグループが形成されていた。ちなみに目の前では謎に恋愛の話をする二人が座っていた。とりあえず左の方が馴染めそうな気がしたので左側の話題についていこうと思ったものの、いかんせん端っこの席なので話題の速度についていけなかった。仕方がないので2、3軒隣ぐらいまでの先輩やタメの友達と話をしようと試みてみた。アルコールには強い方ではない、というよりとても弱い方なので1杯目のコークハイでそれなりに気分が良くなった。
 そのタイミングで最序盤の盛り上がりのピークが左右のグループ共にやってきた。当然のようにどちらの波に乗れるはずもなく、ふと思ってしまった。あれ?これ大分しんどくね?そこから絵に描いたようにBADに入ってしまった。俺は配置グループの輪の中には入れているものの、その中の派閥(的な)の間を行ったり来たりしているのでかなり微妙な立ち位置にいる。どちらにも完全に入れているわけではない。負の思考に陥ってしまった。こうなったらもう一生落ちていくだけになってしまい、折角の楽しい飲み会の空気にケチをつけてしまうので、とりあえずコークハイを飲み干したタイミングで一旦煙草休憩を挟んで気分を入れ替えようと思った。席を立ったら同じく喫煙者の先輩と後輩が一人ずつついてきた。その居酒屋の喫煙室はかなり狭く、定員ちょうど三人ぐらいのスペースしかなかった。三人で軽く談笑をして他の二人は早々に吸い終えて席に帰っていった。結果として一人で落ち着いて一服することができ、ギリギリ気持ちを入れ替えることができた。
 席に戻ると、多少の席の移動が終わっており、周りのメンツが少し変化していた。とりあえず限界が近かったのでノンアルのジンジャーエールを頼んでもらい、当初と同じぐらいのところに再び着席した。煙草はいい。構造上自然に深めの溜息がつけるので、ニコチンの効果も手伝ってかなりスッキリできた。そこからは半ば無理矢理にテンションを上げて周りについていった。友達とツマミをシェアし、盛り上がっている先輩をイジり、今年卒業してしまう先輩とも少し話すことができた。煙草前のテンションだったら確実にできなかった芸当だと思う。宴もたけなわ、周りが梅酒ロックをキメ始め、会全体のピークについていけたのは我ながらよくやったと思う。
 楽しく話して飲み放題の時間が終わり、店の前で集合写真を撮った。たまたま別配置のグループが同じ店で飲んでおり、少し絡まれた。三本締めをして、全体は解散になった。店のビルの前で少し溜まる段に入り、帰宅し始めるメンツも出ていた。先輩らは2次会でボウリングに行くと意気込んでおり、配置の中心的な人物が行くの行かないので盛り上がっていた。とりあえずそのノリについていき、先輩をイジって楽しんだ。
 俺はといえば、明日は月曜で普通に大学があるので、2次会には参加せず抜けて帰ることに決めた。ちょうど終電の時間だった。
 駅に入りとりあえずイヤホンを着け音楽を聴き始めた。最近サブスクを解禁したT-Pistonz+KMC(以下TPK)を流していた。TPKといえば、言わずと知れた熱血超次元サッカーアニメ『イナズマイレブン』シリーズの音楽を手掛けているグループで、応援歌のようなアツい曲が多い。ホームで電車を待つ間一人でそれを聴いていて泣きそうになった。酔いはほぼ覚めていたしほとんど素面の状態だったのにも関わらず。俺は一人じゃない。頑張ろう。みたいな気持ちに勝手になっていた。「キョロ充」という言葉がある。今日の俺にピッタリの言葉だと思った。しっかりしなければいけない。そういう気持ちにさせてくれるTPKの音楽は素晴らしいと素直に感じた。そんなようなことを最寄りから家の間にあるコンビニの前で一人煙草を吹かしながら色々考えた。
 結局のところ何が言いたかったかと言えば、LEVEL5の作品は素晴らしいし日野晃博という男は天才だということになるだろうか。イナズマイレブンのゲームの新作も出るらしいし、小学校時代に鬼のようにハマった名作RPG『ファンタジーライフ』の新作もどうやら控えているらしい。どんなに飲み会がしんどくてもそこまでは死ねないなと思った。結局俺はただのオタクだった、というだけのことだ。前作『ファンタジーライフLINK!』は3DSでプレイできる。未プレイの読者諸君は是非一度プレイしてみてほしい。中古で二千円程度だろうか。感想を共有したいし新作を一緒に楽しみたい。
 しかしまぁ、こんなに変な気を使う飲み会は二度と勘弁してほしい。結局高校の同期五人ぐらいでの飲み会が一番安心できるのだと改めて感じた。

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