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運命に惑わされた話

28歳の七夕のよる、一目惚れした。

行きつけのレコード屋のイベントである男の子を見た瞬間「私この人と付き合う」と直感が走った。

とはいえ、見知らぬ人。
「たのもー!付き合ってくれ!」とは言えないし、それまで男性に自ら番号を渡したことがなかったので、唯一の共通点のレコ屋に通いつめ、かなり無茶苦茶な方法で番号を渡して連絡を取り始めたのが11月。初めて二人きりで会えることになったのはバレンタインデーだった。

サラッと書いたけどアラサー人生初の一目惚れ、捨て身でここまで漕ぎ着けたので緊張はマックス。
親友に近くまで付き添ってもらい、震えながら待ち合わせ場所に行くと金色のタクシーが!(地元に1台しかないタクシーで結婚式なんかに使われる縁起物)
もう、運命じゃん?バージンロード開けてんじゃん?と思いながら必死に無表情キープして(死ぬほどニヤけるから)デートをなんとか終えた。チョコも渡した。

来るホワイトデー。彼からのお誘いで1日エスコートしてもらい、最後に「これ聞いて」とミックステープを渡された。

家に帰ってカバンを置く前に再生!
流れてきたキラキラなメロディー…

Smith WesternsのWeekend!!
https://youtu.be/OmmLRt0p-fg

サビに繰り返される"Weekend is never fun unless you are around here too"
(君なしの週末なんてちっとも面白くない)

(意味、知ってますかぁー!!)
(知ってて入れましたー?!!!)

真夜中だったからサイレントに絶叫した。
ベッドの上でのたうち回った。
力いっぱいガッツポーズしながら泣いた。

でもさ、まじで。意味知ってて入れたん?ほんとに。ただいい曲だからいれたかもじゃん?だとしたらすげえ痛いアラサーじゃん?

そもそも好きとかも何も言ってないし、彼が意味を持ってこの曲を選んだ確証はない。
こじらせたアラサーはノミの心臓。ここまで来たのだからあと一言「付き合ってください」くらい難しくないはずなのに、結局意味のわからんメールしかできず、自然と返事はかえってこなくなった。

それでも「運命ならなんとかなる」とか思ってたバカな私。過剰に人目を気にしてチャンスを逃したけど、実際人は大して他人の色恋沙汰なんて気にしちゃいないよね。

出会いに運命を感じたからとて、それに甘んじていてはダメね、という話。結婚した今となっては、あそこで何もなかったから今があったので良かったと思わなくもないけど。

実はこの後もう一度運命の出会いが私を待っていたけど、それはまた別のお話。

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