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投票に行った日のこと


目覚めの悪い朝だった。

「今のあんた、それでいいの?」
とでも言われているような、夢をみた。


人間は、寝ているあいだに 脳を
整理しているらしいし、占いじゃないけど
夢には、それなりに意味があると思っている。

ほとんど内容を覚えているから
時間があるときは、こうやって
みた夢を、自分で分析するのが好きだ。


でも今日は、歯を磨きながら
おにぎりを食べながら、一服しながら、
頭のなかで、夢をリプレイしては
もやもやしていた。

今の自分の、なにが悪いというのか。


たしかにここ数日の私は、
体の不調やホルモンバランスの乱れで
ずっとうっすら 機嫌が悪かった。

しかもそれを、自分の中では処理しきれず
周りとのコミュニケーションが、
ちょっとずつ ガサツになっていた自覚は、ある。

だけど別に、誰にだって
そんな時くらい、あるんじゃないの?

ぐるぐる ぐるぐる、考えながら
襟のあるシャツを着て、
ちょこちょこっと、メイクをする。

投票に、でかけた。


投票所は、近くの小学校。

私も二年間だけ、ここに通っていた。


校庭にある、鉄棒の向こうに、
逆上がりの補助板をみつけた。

鉄棒につかまりながら、その板を
勢いよく駆け上がることで、
子どもに逆上がりのコツをつかませる為のもの。

運動神経を、母のお腹のなかに忘れてきた私も
しょっちゅう コレのお世話になっていた。

自力では、人生で一度しか
成功したことのない逆上がりも
補助板があれば、何度だって
まわることができる。

きっとこの器具は、これまでに
数えきれないほど、私のような子どもの
支えになってきたんだろうな。


あの頃 一緒に鉄棒の練習をしていた
クラスメイトたち。
いまは どこで、何をしているんだろうか。

笑い合ったりケンカしたり、
イヤでも顔を合わせる毎日は
ずっと続くような気がしていたのに。


いま、近くにいる人たち。
毎日、顔を合わせる人たち。

何十年後には、懐かしむことしか
出来なくなっているのかもしれない。

交わす言葉を、後悔する日も
くるのかもしれない。


ささくれだって
なぁなぁに 過ごしていても、毎日は
止まることなく過ぎ去っていくけど。



もうちょっと、ていねいに
積み重ねてみよう。

ひとつひとつ、もっとよく見て
面白がりながら、生きていこう。



夢に補助されて、思考が ぐるぐると
よくまわった、一日だった。

未来でも、大切なひとたちが
どうか笑顔で 過ごしていますように。

願いながら また、今夜も眠りにつく。






#投票に行った日のこと

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