シナリオ10個の俺的シャニマス年表

面白そうな試みがあったので乗っかります。ムーブメントにしよう。
タイトルこれでいいのか分かんないけども

“10個のシナリオで自分のシャニマス経験をまとめるというフォーマットにしてみました。”

デッキ。

ばりうまかブルース
Catch the shiny tail
幸福のリズム
空と青とアイツ
ストーリー・ストーリー
凛世GRAD
にちかWING
アンカーボルトソング
はこぶものたち
YOUR/MY Loveletter

ばりうまかブルース

2018/4/30

よく言われるように、一年目のコミュについては語り草になるような幾つかの「珠玉」のシナリオがある一方で「平凡」なものが多いという印象は自分も持っています。しかし同時に、思想の根底は一番最初から端々に表現されているし、揺らいでいないという印象も持っています。【ばりうまかブルース】はそうした「珠玉」として挙げられることは余りないような気もしますが、食事という人の欠かすことの出来ない営みにある幸福を尊ぶこと、その思想を受け継いで生きてきた色んな背景を大げさな言葉にしない姿勢が描かれたシナリオに受けた感銘は未だに記憶しています。ただ食事については、作品全体を通してここまで大きなファクターとして取り扱われるとは夢にも思っていませんでした(笑)

ところで、自分は初日組でいかにも「ずっと熱心にやってきました感」を出しているような自覚はありますが、1か月ほどデイリーすらまともにやってなかった時期があります。これは初期特有の難易度の問題ではなくて(そもそも家庭用ゲーマーで高難易度デザインは好きなので)、この恋鐘のあとガシャが全く当たらず石が枯れたせいだという笑い話があります。

Catch the shiny tail

2019/1/31

イルミネにちなんで…と言う訳でもないのですが、このシナリオについては3つ衝撃がありました。
1つめは【オペレーション・サンタ!】から地続きのシナリオであったこと。今がどうなのか、あるいは当時の他のソシャゲ上のアイマスが既にやっていたのかは知らないのですが、少なくとも当時の自分が知る限りではアイマスのゲームでそうした連続性を感じたことがなかったので驚いたんですよね。別にアイマスに限った話ではないもののと前置きしつつ、何かにつけて「パラレルだから」と片付けるのははっきり言って嫌いで、だからこそ連続性の提示は結構大きかったですね。

2つめは真乃の抱える悩みに対してのアプローチの方法です。「真乃の考えていること、ぜんぶは分からないけど真乃は私の隣にいてほしい」「わたしの隣とめぐるの隣にいてほしい、それってたぶん真ん中だから」。いわゆるセンターの悩みみたいなのはアニマスでも観ましたし、映画とか、あるいはアイマス全体におけるセンターや天海春香の担う政治的な意味についての議論とかを後追いながらある程度読んでいた自分にとって珍しいものではなかったのですが、何かと「人の心に入っていけるアイドルの力」みたいなのが主張されがちなアイマスにおいて「人の心は分からない」という言葉が飛び出したこと、そしてそのうえで利己的な要請として誰かを必要とすることの力強さは、シャニマスは「違う」ぞと思わせるに十分な威力を持っていました。

3つめは、少し順番は前後しますが、言わずと知れたこの台詞です。ここまでの文章とか、色んなところでアイマスアンチ的なスタンスを出してる自覚はありますけど、アイマスを、特にアニメを好きになったのは「この子らは当たり前に悩む普通の人間ですよ」という姿勢が最初にあるからだったんですよね。アイマスが好きだった一番の理由を、イベントシナリオの、そして唯一の選択肢としてそこに持ってきたこと。今シャニマスを好きな気持ちの理由を色々探っても、結局はここに行きつく気がします。ただ一点だけこの台詞については残念な思いもあったのですが、思いもつかない形でそれに対するアンサーを受け取ることになります。

幸福のリズム

2019/6/10

こちらは19年6月実装のシナリオなんですが、引けて読めたのは翌年3月のことでした。父から贈られた甚平についての大まかなあらすじは入手前に聴いていて凄く良い話であるということは知っていて読んだのですが、なるほど噂に違わぬ素晴らしい内容でした。この一枚を挙げたのには2つ理由があり、1つは「笑えるくらいヅカっぽい芝居がかった喋り方」のために咲耶をある種ネタキャラ枠として捉えていた節があったのがこの一枚によって強烈に認識を変えさせられた(いや、まぁ、実際面白いんですけど)こと。そしてもう1つは、その衝撃を受けたときにコミュニティで感想を書いたんですが、そこで一緒に体験を整理してくださった方が居たんですね。今でこそこうして度々記事を書いたり、ありがたいことに最近はそこ経由で反応をくださる方がたびたびいらっしゃるんですが、当時はそういうことをやってなかったもので。シナリオ史という意味では少し外れてしまいますが、まぁ「その人のシャニマス史」という運動らしいので、その経験はひとつ転換点だったかなと。

空と青とアイツ

2020/4/1

自分は人間賛歌を掲げた作品というのが大好きなんですが、その描き方にも特に好きな方向性が2つありまして、その1つが「無限の可能性を持つ人生の有限性」なんだろうと思うんですね。空青以降も実に多くの愛するシナリオが追加され、演出技法などについても絶え間ない研究と進歩が続いていますが、この方向性において未だに最も愛するシナリオの座にあります

ストーリー・ストーリー

2020/4/30

トゥルーマンショー好きなんですよね。

ぶっちゃけそこで終わってもいいんですけど。色々と着眼点の置けるシナリオなんでしょうが、そうしたテクニカルな読み方は自分には出来ないのでベタなところを取り上げさせていただきたいです。「生きていることは物語じゃないから」という発言について、それが霧子の口から飛び出るということは凄く自然に受け止められたんですよね。「さんづけと物語性」はよく取り上げられますが、そこにあるものを物語化するということが帯びる暴力性を霧子が認識していない訳はない(だからこそ彼女は「○○が~してる」ではなく「~してるみたい」と彼女の観え方として話す)と思っていたので。驚いたのは、それを描いた(撮った、と言うべきなんでしょうか)「彼ら」の思想の強さです。あ、そこまで言い切るんだ、という驚き。
ストストを皮切りに、「フレームの外」というものを強く意識していったような、意識させられていったような感覚がある。「シャニマスのフレーミングの変遷」でどなたかどうです?

凛世GRAD

2020/5/13

シャニマス読んでてGRADシナリオを1個も選ばないって「嘘」じゃないですか。いや、ごめんなさい、並び順はここですが最後にねじ込むにあたってそういう理由付けで選んだっていう話なんです。「GRADシナリオ全体」っていう逃げフックにしても良かったんですが、うーん、難しい。GRADの中から1つですよ?めっちゃ難しくないですか?それぐらいGRADって共通コミュの中でもかなりの猛者揃いだと思うんですよね。で、うーん…
この痛みにちなんでということで、凛世GRADにしようかな。
他で選んだシナリオはまぁ何と言うか真面目路線が多いんですけど、シャニマスもなんだかんだというか、むしろ普通に恋物語としての側面も強い作品じゃないですか。そうした側面からソシャゲというものを眺めた時の関係の見えざる硬直性というか制限に対して真っ向から挑み、その「痛み」というものを鮮やかで美しい技法と演技で描いた衝撃は凄まじく、コミュニティでも夜を徹して語り合ったものです。

にちかWING

2021/4/6

普通と特別。能力と意思。その相反はそんなに簡単に帰結されるものでしょうか。アイドルの資質というものが何なのか、そんなに簡単に定義できるものなのでしょうか。
少なくとも自分にとってはそうではありませんでした。
幸福と願いについて、彼らの結論を見届たい。その気持ちが今シャニマスを追い続けている理由の最も大きな部分にあるかもしれない。

アンカーボルトソング

2021/5/31

「有限性」に余りにも強烈なフォーカスを当てたシナリオ。限られた時間の中で何を成せるか、あるいは成すこともなくただ衰えていくかもしれないという恐怖と戦いながら人は生きている。「彼ら」がカメラであるとすればアイドル達は命であり、であればその時間は有限である…そうした姿勢自体は端々に現れていたものの、ここまで直截的に語るものかとそれはもう驚きを越えて笑わされました。こちらについては記事を書いております。

こいつ毎回驚いてるなって感じですけど、毎回驚かされるシナリオが出ているということであり、その度にこの一幕を思い起こさずにはいられないのです。

はこぶものたち

2022/1/31

「283を広げよう」から始まる「パノラマ」シナリオイベントシリーズ(と評されている方が居たのですが、その通りだなということで便乗させてもらっています)の第2弾。隣にいる大切な人ですら、その心は分からない。それでも知ろうという姿勢とその努力を捨てないことが重要である、というのがイルミネの魅力であり、シャニマスの意思であるという風に理解していますが、今私たちが生きる社会にまでそのレンジを拡げたものがこのシナリオです。その真摯さに強く胸を打たれながら、しかしそのレンジが収める多くのセンシティブな問題を語ることに自分自身が躊躇してしまった。知らないことも多くある。「エンタメなんだから肩ひじ張らんでも」ということはありつつも背筋を伸ばす思いをさせられたシナリオで、自分の中でもかなり印象に残っているものになります。

YOUR/MY Loveletter

2022/4/1

パノラマシリーズ第4弾。
人間賛歌のうち好きな方向性のもう1つは、「大きな世界を織りなす小さな人々」を見つめることです。【Catch the shiny tail】の項目で触れた「ちょっと残念だったこと」とは即ち、その言及が「皆特別で、皆普通の女の子だ」というところ。これは所謂ジェンダーにまつわる問題意識ではなく、それがアイドルという限定された範囲に向けてのものだった点です。アイマスってアイドルが普通の人間であることの側面を取り扱うのはいいんですが、あくまで取り扱うのはアイドルか精々その周辺人物程度なんですよね。「アイドルマスター」という美少女コンテンツで何寝ぼけたこと言ってんだこいつって内省もありつつこれは結構譲れないところで、アイドルじゃない人々、アイドルとは無関係の人々の存在を忘れちゃいかんだろうという思いがあった訳です。数々のコミュでその留飲はとっくに下がってはいたものの、やって欲しかったなと思っていたものの遥か上を行くものを投げつけられたのでいたく感銘を受け、多分に私的なラブレターを返させていただきました。

おわりに

とりあえず面白そうだなと思って勝手にフォーマットに乗っかってみたんですけど、発起人でおられる夏目草さんのそもそもの動機には初心者の方への導線効果も含まれてるんですよね。そういう意味では役割を果たしてるのかちょっと自信がないけど、まぁ人に歴史ありと言いますし、「オレのシャニマス史はこうだ!」ということで。

みんなもやってみよう、楽しいよ。


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