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【DSInnovation株式会社】代表 野尻梢にインタビュー 〜あなたのパーソナルデータはあなたへ還元したい!〜

みなさんこんにちは。いつもnoteを読んで頂きありがとうございます。普段中国と日本の違いや、中国の文化についてお届けしている当noteですが、今回は代表の野尻梢にインタビューしてみました!

というのも、当noteは1月より週1.2回のペースで更新して参りましたが、メンバーや会社についてお届けするような記事はありませんでした。そこで、どんなメンバーがいるのかということを知ってもらう必要があると感じ、その第一弾として代表である野尻梢にインタビューするという企画を立てました。

CHReportのことはもちろんのこと、CHReportを扱っているDSInnovation株式会社や代表の野尻梢の生の声をみなさんにお届けします。


野尻梢(のじり こずえ)

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まずは自己紹介をお願いします。

はい。神奈川県生まれなんですが、その後家族で引っ越して大分県で育ちました。母が沖縄県出身なので、沖縄っぽいと言われることもありますね。笑

趣味はありますか?

基本的にアウトドアが好きで、家にいるよりは外に出かけたくなるタイプですね。あと、アート鑑賞や映画、本も好きです。

ビジネス面ではどんな経歴なのでしょうか?

Web系のエンジニアから始まりました。コードを書きたくてエンジニアになったので、お客さんとやりとりしながら要件を詰めて設計やプログラミング、テストなど一通りやってきました。通信キャリアの複数システム統合などの案件でデータベース設計や移行設計をしたりと、だんだんデータエンジニアのポジションに従事することが多くなっていきました。エンジニアとして独立できるようになったら、アートマネジメントの世界に進みたいと考えていたので、一度システム開発会社を辞め、大学院に進学して、さらに博士課程に進むタイミングでグループ会社のワンストップ・イノベーションに最初はアルバイトのエンジニアとして参加し、その後取締役へ、その関連会社としてデータを活用する会社を立上げることになり、DSInnovation株式会社の代表になったんです。エンジニアとして働いていた時はエンジニア業界あるあるみたいな部分はありますが、かなりガッツがないと乗り切れない現場ばかりでしたね。

エンジニアになりたいと考えるようになったきっかけはありますか?

インターネットが一般家庭でも使われるようになってきたのがちょうど学生時代でした。父親がシステムエンジニアだったこともあり、エンジニアリングには興味がありましたし、その能力を持つことは当たり前のようになると思いました。また、クリエイティブなものに救われた体験を通して、同時にアートの可能性にも興味を持ちました。当時影響を受けたのが映画だったので、映画×テクノロジーということで最初は安直にCGアーティストになりたいと思っていました。父の理解があったので、プロの方々が使われるようなCGで世界を作るソフトウェアを買い与えてくれ、それに触れてみると、そのソフトウェアに表現を制限されていると感じました。そのため、このソフトウェア自体を作れるようにならないといけないと感じました。

研究者としての一面もありますよね。詳しく教えてください。

元々アートマネジメントの仕事をしたかったんです。その中でもシステム工学的な知識を活用してアートに貢献したかったこともあり、エンジニアになったと言っても良いくらいで。なので、いわゆるシステムエンジニアとして独立できるようになったタイミングで、元々夢だったアートマネジメントについて学ぼうと思って大学を探していました。

ちょっと脱線してしまいますが、アートマネジメントというのは具体的にどんなことを指すのでしょうか?

そもそも、アートをマネジメントする仕事がしたいと思ったのは、素晴らしい作品は作れるけど、自分を魅せるのがあまり上手くないアーティストがいると気付いたのがきっかけでした。というのも、アートって誰かに見せたりそれでコミュニケーションを取るという思いで作っているはずなんですが、アピールが苦手だったりすると、誰かにその作品を見つけてもらうまで待つしかないみたいな状況になってしまうんです。そうではなくて、魅力を伝えて見られるべき作品をちゃんと見てもらえるようにサポートしなければと考えていました。そして、そのような作品を見る人がもっと増えることで私が救われたようにポジティブな循環が生まれて欲しいと感じていました。

なるほど。そんな思いを持ち、深く学びたいと大学入学を考えていたわけですね。

はい。それでアートマネジメントならイギリスだろうと思って、単身イギリスに渡り大学を探しに行きました。

すごい行動力ですね。

でもそこで紹介されるアートマネジメントは1980年代から代々、、というような歴史のある方法論でした。それ自体はとっても素晴らしいものだと思うのですが、エンジニアとして技術がどんどん入れ替わっていく世界にいた自分にはどうも合わない気がして、自分は何がしたいのか改めて考えている時に、むかし出会ったデザイナーさんの言葉を思い出したんです。その方はデザイナーという肩書きながら、JAXAの研究支援をしていたり学校教育のカリキュラム制作にも携わっていたりして、一般的にはデザイナーとは思えない仕事も沢山している方だったんです。その方が「自分は誰がなんと言おうがデザイナーだ。デザインの力で技術が飛躍することがあるんだから。」とおっしゃっていたんです。

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「デザインの力で技術が飛躍」というのはどういうことなんでしょう?

エンジニアリングの仕事って、論理の積み重ねがものを言うところがあるんです。コツコツ積み重ねて完成を目指すような。でも、デザインは時に論理の積み重ねじゃ辿り着けないところにいけることがあるということです。それを思い出して、私がやりたいのはそれだ!と思いました。その時点では、アートマネジメントというよりは、アートを作るようなクリエイティブの力とエンジニアリングの技術を掛け合わせて発展させるというようなことがしたいんだと気が付きました。

なるほど。そういったことを学べる大学を改めて探し始めたということですね。

はい。そういったことを意識しながら探していたら、現在所属している慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科がイギリスで説明会を開いていて、行き着きました。イギリスに大学探しに行きましたが、なんだ日本にあったのかと思い、半年後くらいには日本に戻って大学に入ったという流れです。


パーソナルデータについて

大学ではどのようなことを研究されているのでしょうか?

クリエイティブな力とエンジニアリングを掛け合わせて何を発展させたいのかというと、”テクノロジーを介してコミュニケーションを取る際に相手に対して想像力をもち、共感し、寄り添うことを促すことでポジティブな方向に向かってほしい”ということになると、学びながら気付きました。私にとってアートやクリエイティブなものがすごいという点は、作品をみる人に押し付けず、しかしその人の中に共感を呼び起こすことができるインターフェースです。共感が生まれるからコミュニケーション相手に対して理解しよう、寄り添おうという感情が生まれる。そしてそのフィールドとしてパーソナルデータの活用というところに私の研究は落ち着きましたね。

そこから、野尻さんのキーワードでもあるパーソナルデータというところに繋がるのですね。

そうですね。パーソナルデータは個人情報よりももっと大きな枠組みです。例えば、移動履歴や歩数などもそうです。私はよくそれを人型のデータと言ったりもしますね。

パーソナルデータについてもっと詳しく教えてください!

現在パーソナルデータはマスマーケティングに使われることが多いんです。例えば、事業者がマーケティングする際、個人を特定されない程度に情報をボカして活用されていたりします。自分のデータが他の誰かへのマーケティングに使われているということです。私はそうではなく、自分が提供したデータで自分に対してサービスを返せるようにしたいと思っています。

データ主体である個人にメリットがありそうですよね。

そうです。グループ会社のワンストップ・イノベーションが提供している来日観光客へのWi-Fiルータ端末貸し出しサービスで、DSInnovationが担当しているWi-Fiルーター端末に旅行中に役立つサービス提供や情報のアップデートをするサービスというのが分かりやすいと思います。日本滞在中に使用するルータを画面付きのスマホにして、行動範囲や検索などから収集したデータをそのままその画面上でサービスとして還元できないかと考えています。

具体的にはどんな風に還元されるのでしょうか?

どういう順番でどこに行ったという動きや、途中どこに立ち寄ってどのくらい滞在したかなどのデータが取れます。それを収集しながら、その人に合ったお店の紹介や情報の提供を行います。今は残念ながらコロナ禍で止まっていのですが、状況を見て再度動き出す予定です。

野尻さんが大事にしているのは”ユーザーにきちんと還元する”ということですよね。

はい。なので、ユーザーからデータを収集するときは慎重に進めるべきだと思います。許諾範囲が人によって違っていたり、あまり内容を読まずにOKを押してデータを提供してしまっているというのが現状やはりあるので、その工夫は考えています。そうやって集めたデータをきちんとユーザー本人に還すという姿勢は崩さずにやっていきます。


DSInnovationについて

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DSInnovationの特徴などはありますか?

最初はビッグデータを扱うところからスタートして、現在はパーソナルデータというキーワードをきちんと持っていることですかね。そのノウハウを活かしてデータビジネス支援や、共同研究で情報銀行について研究しています。

会社の雰囲気はどうですか?

言いたいことはちゃんと言える会社だなと思います。中国人メンバーもいて、日本のデータビジネスの足りないところを強くしていきたいという目線も持ってくれています。特に、中国人メンバーのキタは、日本でしばらく一緒に仕事をしていましたが、現在は中国に戻って仕事をしてもらっています。戻ったことで、中国で進んでいるものを収集しちゃんと還元したいと言ってくれています。

離れていても一緒に仕事ができるのは、今や当たり前ですがすごいですよね。

コロナの前からフルリモートの準備をしていたので、コロナの影響とかは特になく、現在は全員が完全にリモートで勤務しています。距離や時間の制約で、一緒にやりたいというメンバーが集まれないのはもったいないと感じたので、リモートを導入して良かったと思います。


CHReportへの思い

そろそろCHReportについてお聞きしていこうと思うのですが、改めてどんなサービスか教えてください。

サービスは、中国のオンライン上にあるオープンなデータを収集、分析しレポートを作成するというものです。強みはデータソースが圧倒的に多いことですね。データの収集元がWeChatやウェイボーなどの日本でも知られているメディアだけではないですし、現地の中国で支持されているレポートを日本でも提供できます。

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何故この事業を始めたのでしょうか?

わたしたちはもともと、グループ会社のワンストップ・イノベーションと連携してインバウンド旅客の行動履歴に応じたサービスを提供するということに取り組んできました。先ほども話題に上がっていたルータの件です。それは、主に中華圏からいらっしゃる方々が日本でどう過ごすか、どういうものに興味を持って行動を起こすのかという、日本でのオフライン・オンラインデータに基づく顧客理解と要望への対応ということだったのですが、五節データと連携することで、日本に来る前や、来た後の中国での興味関心を把握することができるだけでなく、日本に来ない方も対象となるため広く中国本土の方の理解を助けることができます。インバウンドという領域に関わらず、アウトバウンドや、中国本土の方へオンラインサービスを提供されている方々にもご活用いただけるデータだと思います。

五節データはどのような役割を担っているのでしょうか?

中国のオンラインデータを閲覧できる独自のモニタリングシステムを持っています。中国ではかなり幅広く活用されていて実績もあるもので、そのシステムを使って生の声を収集してもらっています。そのデータを元にお客様に合ったレポートを作成し販売するのがDSInnovationの役目です。

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いずれはオンライン化でよりリアルタイムなデータ収集ができるように進めたいという話もありましたね。

はい。先ほど話したオンラインのモニタリングシステムを提供して、本当にリアルタイムな情報を収集できるように目指していきたいと思います。

どんな方々のどんな業務に活用してほしいとお考えですか?

業界や分野を狭めてここ!という風には現在は考えていません。noteで記事を更新しつつ、お客様がどんな分野のデータを欲しいと思っているのかというのも探りながら、コミュニケーションをとっていきたいと思っています。

CHReportが目指すもの、ことはありますか?

CHReportに限らず、DSInnovationはデータを媒体として人を理解し、その人にとっての価値を見出し、それを提供することをずっと行なってきています。CHReportでいえば、中国本土の方々に対してなんらかの価値を提供するためのメディアとなるべきだと考えています。

CHReportを検討している方に対してのメッセージをお願いします。

ユーザーを囲い込む対象のターゲットとしてみて欲しくないと思っています。これはCHReportだけではないですが、データ対象は囲い込む対象ではないんです。そのデータの先にいるのはコミュニケーションを取る相手なんですよね。なので、対面でコミュニケーションを取るのとそう変わらずに、遠くにいる相手を知るためにデータがあるというだけなんです。その媒体としてCHReportを使っていただけたら嬉しいですね。

最後に将来への展望など教えてください。

会社のHPにもあり、自分が救われたように、感動することは生きる力になると考えているので感動を掘り起こすというイメージは持ち続けていきたいと思っています。宮崎駿さんの「この世は生きるに値する」という言葉がすごく好きなんですが、まさにそう思ってもらえる仕事がしたいなと思います。それは自分たちが直接関わること以外でも、巡り巡って誰かがそう思えるようなそんなきっかけが作りたいですね。

野尻さん個人の夢はありますか?

夢は先ほど言ったように、自分たちの活動を通して「この世は生きるに値する」と思える人を少しでも増やしたいと思っています。直近の使命としては、この領域で博士号をきちんととれるくらい成果を明確にすることですね。タイトルが欲しいというよりは、タイトルが取れるくらい認められるということは、きっと世の中に役に立つことだと思うので。そしてそれを私もDSInnovationに”還元”して、世の中にサービスとして提供したいですね。



以上、代表野尻梢へのインタビューでした。本noteではなかなかご紹介する機会のなかった部分をお伝えすることができたのではないでしょうか?今後、インタビュー中にも出てきた中国人メンバーのキタにもインタビューする予定です!ご期待ください。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!







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