中国フードデリバリー調査 急増する需要とコロナ禍でも活躍した配達員
みなさんこんにちは。
春を越えて初夏のような天気になる日も増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。前回に引き続き今回も飲食店業界についての記事です。
今回はその中でもフードデリバリーサービスに着目してみます。利用したことがある方も多いと思いますが、中国でも急速に利用者が伸びています。新型コロナウイルスによる外出自粛や会食自粛の影響もあり、注目されることも多々あります。日本で認知度が高いフードデリバリー、中国ではどんな状況なのでしょうか。
中国フードデリバリーの歴史
中国でフードデリバリーが出現し始めたのは、2011年頃といわれています。利用者は年々増加し、2019年のフードデリバリー産業の規模は日本円で約10兆円を突破し、前年度比39.3%を記録しています。
利用者数を見ると、中国に約9億人いるネットユーザーのうちの約半分が利用しており、発注件数や取引額も増加の一途を辿っています。しかも、飽和状態にはまだ達しておらず、これからも規模は拡大していくとの見方もあります。
これまでの出前といえば飲食店のチラシを見ながら電話で注文するのが一般的でした。これは日本も同様ですが、聞き間違いによるミスがどうしても発生してしまうことが問題として挙げられていました。
しかし、インターネットを利用したフードデリバリーサービスは、配達先住所や電話番号をあらかじめ入力しておいたり、メニューが写真と文字で確認した上で入力できるので、伝えるという部分でのミスを大幅に抑えることができます。
あらゆる飲食店のチラシを家に置いておく必要がなく、ネット上でいくつもの飲食店やメニューから注文をスムーズにすることができる点がサービスが普及した理由のひとつでしょう。
中国現地のCHReportメンバーに聞いてみた
では、実際中国に住む人たちがフードデリバリーをどのように活用しているか聞いてみましょう。中国・南京在住のCHReportメンバーにリモートでインタビューしてみました。
フードデリバリーは利用しますか?
使います!メイトワンというUberEatsのようなフードデリバリーサービスをよく利用しています。また、ミルクティーやケンタッキーフライドチキンのようなチェーン店は、独自のシステムを持っているので、Wechatを通して店舗に直接注文することもできます。
よく頼むものはありますか?
ミルクティー、唐揚げ、ランチなどが多いですね。スーパーに行けない時には野菜や肉などもデリバリーすることがあります。私の住む地域だと注文から1時間以内に到着しますし、日本円で600円分くらいを頼めば配達料無料なのですごく助かっています。
野菜や肉までデリバリーはあまり日本では見かけない気がします。便利ですね!
一人暮らしや仕事が忙しい人たちにとってはかなり便利です。年代は20代から40代の若い世代や、アプリ・スマートフォンに詳しい人なら簡単に利用できますし。スーパーから重いものを運ぶ手間がなくなるので、主婦の方も結構利用しているイメージです。
なるほど。買いに行くだけでなく、運ぶのも大変ですもんね。
はい。あとフードデリバリー自体はすごく便利ですが、当然住んでいる場所によって人気店や美味しいお店の数が違いますね。遠くの美味しいお店の料理を頼んだり、人気店の行列に並んでもらったりすることもできますが、お金も通常よりかかるので頻繁に利用する人はあまりいないかもしれないです。
コロナの前後で変わったと感じることはありますか?
隔離しなければならない状況に置かれる人が増えたことで、接触せずにデリバリーするシステムなどが強化されたと思います。より便利で不安なく利用できるようになったので、使っている人も増えているイメージです。
以上中国CHReportメンバーへのインタビューでした。最後に新型コロナウイルス流行による変化について聞きましたが、更に深掘りしてみましょう。
コロナによる変化
新型コロナウイルスの感染拡大の最中、フードデリバリー業界はどのような状況だったのでしょうか。
感染拡大を防止するため、中国では地域ごとに厳しい外出制限が実施されました。その中で活躍したのがまさにフードデリバリーだといいます。
こちらの記事によると、中国のフードデリバリーで働く配達員の多くは、出稼ぎ労働者であるといいます。中国フードデリバリー大手のメイトワンがまとめたレポートによると、配達員の出身の約73%は都市以外の農村出身です。中国のフードデリバリー配達員は、農村部から都市部に働きにやってきているということです。日本では配達員の仕事は金額的にはあまり魅力的ではないといわれることもありますが、中国都市部で働く配達員は、都市部に住む一般的な住民と変わらないくらいの金額を稼ぐことができるため、人気があるのです。
さらに、普段は別の仕事をしていたがコロナによって仕事を失った人々も配達員として働くようになり、2019年末時点で400万人弱だった配達員が、その後急増し3月半までに33万6000人が登録されたといいます。それでも一人当たりの受注件数も平常時の平均を大きく越え、需要が高まっていたようです。
コロナが収束しつつある中国
最後に、リアルタイムの中国の情報を見ていきたいと思います。
中国は以前よりQRコードでの支払いが普及していましたが、コロナを経験し政府が非接触での購入を推奨したこともあり、デリバリーの利用が増加しています。
こちらに記事によると、フードデリバリー大手の「美団」(メイトワン)は、2020年第3四半期の総売上高が前年同期比28.8%増、前四半期比43.2%増の354億元(日本円にして約6000億円)になったと発表しました。純利益は63億2,000万人民元(日本円:約1061億円)で、市場予想の5億7,100万人民元および前年同期の13億3,500万元に比べて、大幅に増加しました。
さらにメイトワンは北京の一部地域を中心に無人配送車での運用を開始することを発表しています。注文があるとメイトワンの自社ECサイト「美団買菜」の営業所で無人配送車に商品を乗せ、時速20キロで配達します。受け取り人は商品を取り出せば自動で配送車は帰って行くので、人間同士が接触せずに済みます。しかしこの取り組みはコロナ禍になってから始まったものではなく、メイトワンではすでに2016年にこの無人配送車のプロジェクトを立ち上げたそうです。
まとめ
今回はフードデリバリーについて調査しました。デリバリーできる店舗の拡大や、無人化など進化を続けているようです。文中でも紹介したように、中国ではキャッシュレスが既に普及していることも後押ししているのではないでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?