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【調剤喫茶】医者要らずさんを育てる

こんにちは。
調剤喫茶の薬剤師いしまるです。

先日フォロワーさんから、調剤喫茶の新たなテーマをいただきました。"地域医療のハブステーション"…気に入ってます!

調剤喫茶は、地域に何が提供できるでしょうか。

新しいテーマを元に再考してみます。
(こういうの企画はワクワクして好きです^^)

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セルフメディケーションの推進

私は薬剤師の大切な役割にセルフメディケーションの推進があると考えています。

"セルフメディケーション"とは?
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分 で手当てすること」(WHO:世界保健機関より)

WHOによる定義は上記の通り。

私は少し拡大解釈して、「自分自身とその家族の健康に関心を持ち、責任を持って予防・維持・改善に努めること」だと考えています。

薬剤師の使命は、この意識を地域の一人一人に芽生えさせ、育てていくことではないでしょうか?

誤解を恐れずいうなら、
「医者要らずさん」を育てるのが薬剤師です。

やっぱり誤解が恐いので、補わせてください。
医者が要らないという意味ではないです。
不要な受診・通院をなくすという意味です。

薬局で働いていると、「先生に処方された薬を飲んでいれば病気は良くなる!」と考えている患者さんを多く見ますが、現実はそんなに甘くはありません。

「薬を飲んで症状が落ち着いていれば、それでいい。」と考えている医師も少なくないです。

患者さんとの意識のギャップが伝わるでしょうか…。患者さんの願いは「薬を飲まなくて良くなること」、医師の方針は「体調が悪化しないこと」です。

医師の過酷な業務負担を考えれば、それ以上の時間を一人一人に割けないことも仕方がないのですが、このギャップは埋めていきたいところです。

少し話題は逸れますが、難しい言葉でclinical inertia(クリニカルイナーシャ)と言うのも近年問題となっています。

clinical=臨床の〜、医療に関わる〜
inartia=惰性、ものぐさ、不活発
→「臨床的な惰性」と訳されます。

長期に及ぶ通院により、治療が十分でないにもかかわらず、ある程度のところで治療が漫然化してしまうことなどを指す言葉です。

詳しくはコチラ。
Akihiroooさんの記事をご覧ください。


「私は薬飲んでも効かないの。だからこれで精一杯なのよ。仕方ないわ。」そんなお話を聞くこともありますが、そういう方の処方せんを見て、「まだまだやれることがあるじゃないか!」と心内で叫んでいる薬剤師は多いです。

さて、これらの問題に真っ向から立ち向かえるのは、患者本人とその家族、そして薬剤師しかいません。

薬剤師は、唯一医師の処方や治療計画に対して意見を述べられる職業です。(薬剤師の歴史・成立)

だから薬剤師は必要なのです。
だから薬剤師は患者本人(家族)の関心を高める必要があるのです。

薬はあくまで最善を尽くしても、尚届かなかった健康を獲得するための補助であるべきです。はじめから薬に頼って健康を害する行動を控えない方が多くいることをとても残念に感じます。

医者要らずさんを育てるために

まずは自分自身の病気や症状に関心を持ってもらうことが必要です。

そのあとで日頃の生活の注意点や改善点を一緒に探っていけたらいいですね!

調剤喫茶farmateíaでは、なぜその症状が生まれたのか、そのままだとどうなるのか、どうすれば治るのか、どうすれば予防できるのか、、などをお伝えし、関心を持っていただくサポートを行なっていきます。(様々な疾患に関する紹介や体験ができるイベントが催せたらいいなぁ…)

これは医師が時間をかけて行いたいけど、行えていない部分かと思います。はじめの一回は説明ができても、その後継続的な教育指導が行える病院は多くありません。


また医療機関を受診することが最善でない人たちもいます。

最も多いのは、市販薬で対処できる場合です。

例えば口内炎で医者にかかる人がいますが、市販薬を使用しても効果は変わりありません。負担額の差もほとんどないと思います。

頭痛も筋肉痛もニキビも火傷も、市販薬で治療可能なことが多いですが、なぜ人々は病院に行くのでしょうか? 

考えるに、それは安心感が欲しいからです。
安心感なら薬剤師にも与えられるはずです。
(もちろん信用構築には努力が必要)

また病院に愚痴を言いに行く人もいます。
「え?」と思うかもしれませんが、本当です。

その人にとっての治療は、薬をもらうことではなく、
人に話を聞いてもらうこと
だったりします。

こういう方も医者要らずさんになれます。

もしかすると、この場合は喫茶でスタッフと雑談することでも十分効果があるかもしれません。


家族の健康について

病院と薬局で最も異なるのは「患者の家族が本人とは別に相談に来れること」かもしれません。

家族の病気や身体の心配事について、誰かに相談できる場は、なかなか思い当たらなかったのですが、薬局はその力になれそうです

「最近、夫の様子が変…」「子供がアレルギーかもしれない」「おばあちゃんが認知症かも…」こんな悩みを相談できる場所として薬局は最適なのではないでしょうか。

症状に合わせて病院の紹介も出来るかもしれません。薬局の薬剤師は意外と近くの名医事情に詳しかったりします。(病院宛に紹介状を作成してくれる薬局もあります!)

勝手に引用してしまい、すみません。
橋本先生、尊敬してます。


家族からは、介護に関する相談も多いです。
近頃は居宅介護支援事業所をもった薬局も増えてきました。ケアマネージャーの資格をもったスタッフが配置されている薬局も増えているので、介護の相談や福祉サービスの相談ができる場としても役に立てる可能性があります。

調剤喫茶farmateíaでも、喫茶スペースを活かした気軽なケアマネ相談が出来るといいなぁと思い始めております。

まだまだ発想は踏み出したばかりですが、これら一つ一つを実現したとき、調剤喫茶は地域医療のハブステーションと呼べるかもしれません。


ではまた!




サポートありがとうございます! 栄養ドリンクに変えさせていただきます!!💪