十一年続けた仕事にピリオドを打つことをめぐるいくつかの断章
一、
2022年10月26日、いやが上にもアラフォーを意識せざるを得なくなった誕生日から数日後、ぼくは十年と11ヶ月通い続けたとある仕事先を離れた。車に乗り込みエンジンを入れると、玉露を口に含んだような爽やかん気分が、エンジンサウンドとともに四肢を駆け巡った。もうここに来なくていい、もうあんな耳を濯ぎたくなるような文言を訳さなくてもいい、もう日頃の意地悪さが眉間に固着した非人間的な顔と睨めっこしなくてもいい。そうした開放感に背中を押してもらいながら、ぼくは「残酷な天使のテーゼ