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ゆる山・ゆる泉~那須岳・三斗小屋温泉1

2年前、初めてnote書いたの最初の投稿が、「電撃那須岳」でした。都心から近い活火山は富士山、伊豆大島の三原山とかありますが、行くには気合い要ります。気軽にひとっ飛びでアプローチでき、かつ魅力的となると、思い浮かぶはこの那須岳。
そして今回は、かねてから訪ねたかった三斗小屋温泉につかりながら、ゆる山・ゆる泉の一泊旅です。

那須岳は雲の中に

6時台の東京駅発の「やまびこ」仙台行きに乗車すること1時間10分、那須塩原下車で、そこから関東自動車バスに乗りさらに1時間10分で、計2時間半で、那須岳ロープウェイ山麓駅に到着。朝日岳を目指すなら、ここから歩きますが、さらにロープウェイに乗って、山頂駅まで。

山麓駅の先は霧
山頂駅のビジターセンターの方曰く、なんとか午前中はもちそうとは言え、外は視界不良

数分歩くと、茶臼岳山頂への道との分岐。初めて登った時、山頂近くで那須岳の強風の洗礼受け、山伏の修行のような登山になったのでした。

こういう日は山頂は厳しいなぁ

こちらは茶臼山の西側の山麓を半周周り、峰の茶屋へ。このあたり標高は1700mくらいですが、森林限界を超えていて、大きな樹木はありません。

三斗小屋へはゆっくりでも2時間半のルート(那須町観光協会トレッキングmapより)
霧立ち込める中、牛ヶ首まで20分 
こんな日は、足元の山草が楽しませてくれます

霧の中「牛ヶ首」通過、ここから少し下って、そのまま平坦な道が続きます。視界が良ければ、右手に茶臼岳が見れますが、視界は20mくらい。

しばらくは殺伐とした殺生石のような硫黄の吹き出すエリアを歩きます 
無間地獄 上の方から、ゴーゴーという音が聞こえ不気味

なだらかな尾根の部分に到着。こちらは硫黄鉱山跡地。

硫黄鉱山跡の標識
かつては峰の茶屋からの風景 こちらの斜面で、結晶になる硫黄を採取
噴煙だけ見たら、昔の方がやはり火山活動は活発だったのか…

峰の茶屋から三斗小屋へ

峰の茶屋避難小屋 茶屋ということで昔は休憩ができたようです

峰の茶屋は大丸方面からのルートと茶臼岳と朝日岳の間ということもあり、一番賑やかです。
くつろいで、この小屋の奥の方に一瞬、座わると、谷底から吹き上げてくる強風がスゴイ。数十秒、座っていただけで体温急激に低下!
地図に目を落とせば「強風注意!」。一見穏やかな休憩場所ですが、常時強風の場所らしい。悪天候ならとんでもない風で、吹き飛ばされるでしょう。

剣ヶ峰を右に見て、次なる道はこの谷底

しばらく見てましたが、誰も降りていく人なし。強風が絶えず吹くせいか、植生もほぼなし、絶えず、細かい崩落があるような場所を下ります。

下には別の避難小屋 スリルというか、気持ち的に今回一番怖い道
しばらくトラバースして、溶岩の冷却によるのか丸みのある岩石地帯を通過
振り向けば、降りて来た谷は、まだ明らかに不安定な谷

もう少し下るとようやく、森林限界の際を通り、避難小屋に着きます。

峰の茶屋からひたらすら下り、ひと段落 ここからは、なだらか道に
ここには昔牛小屋があった 三斗小屋と茶臼岳、精錬所の中間地点だったからか…
何か光ってる!
苔の岩
地図にも載ってる「延命水」 こういうのを飲むときは、神さまに感謝して頂きます 
三斗小屋から峰の茶屋を越えて牛が歩いていたらしい 牛がこの道を歩いていたとは信じがたく、避難小屋からの道は「モーっ嫌っ」て嘆いたことでしょう
かなり背の高い熊笹が増えてきました この道なら牛も楽ちんか

沼原の分岐を経て20分、等高線に沿った道を行けば、ようやく三斗小屋です。

絶景露天風呂 スタンバイオーケイッ♨
三斗小屋温泉 開湯は1142年 かつては5軒の旅館があった

煙草屋旅館の露天風呂へ

山頂駅から約2時間。予想以上に早く着いてしまい、付近を散策。こちらが煙草屋旅館、建物はいくつかありますが、古い建物は年代物です。

時が止まった宿 小川を挟んで石垣もいつからあるのか
煙草屋旅館の裏の山に温泉神社
ここが本殿!?
本物はこの中に! よく見るとものすごい彫刻 保護するために覆ったらしい
宿の場所から神社まではかなりの高低差

どうやら、この神社のさらに登ったところに、源泉があるようです。ちょっとそこまでは行けず。

谷川の水で冷えた缶ビールに、ゼリー
ようやく青空が!

今朝、買ったおむすびにサンドイッチを食べ、露天風呂に向かいます。女性は11時から1時間、男性は12時から1時間ということで日帰り温泉可です。

サンダルに履き替え、旅館のさらに上に登る
単純泉(低張性弱酸性)ですが、空の色か、本日は神秘的な露天風呂! ちょうど晴れてくれた~

PHは3.4、源泉温度は83℃でかなり高温。湯舟はそこまであつくなく、ゆる~いお湯です。やや濁りもあって、微硫黄。

絶景を眺めながらゆっくり浸かりました~

投宿は「大黒屋」

こちらも山小屋的旅館ですが、歴史の宿。すぐにお部屋に案内してくれましたが、聞けば、この建物は築150年以上! 山奥にある旅館の中では、ここより古い旅館はあまり聞いたことがないと。

煙草屋旅館のすぐ下の旅館が「大黒屋」
部屋は二階の階段脇の部屋 外観は恐ろしく古いですが、廊下も部屋もかなり綺麗
部屋も予想以上に綺麗! ただ、見た目よりも実際はかなり暗い 
本はやっと読める程度の光が小さな窓から入る
ホコリ一つ落ちていない
高根澤藤座左エ門 いつの時代の看板か… 

しびれるふたつの古~い内湯

お風呂は、男女、1時間ずつ、交代制で21時まで入れます。21時以降入れないのは、真っ暗なため。16-21時は、発電機で館内を灯してくれるのですが、その他は日中の太陽光で最低限の電気しか使えないのです。

まずは岩風呂から 湯舟は小さめですが、深く胸のあたりまで浸かります

こちら、何百年もそのままではないかと思うような岩風呂。PH6.5、泉温は42℃、ぬるめの湯。時間を忘れて浸かっていられるお風呂でした。

3号泉 自然湧出と記載

外は雨が降ったり止んだり。谷底から声が聞こえ、館に着く人がちらほら。

ゆっくり思惟するために来たので、雨もまたよし
廊下にはランプが灯る
水がとにかく美味しく、お茶で一服

もう一つの大浴場は、檜風呂。湯舟自体は石組で、深い青みがかった色を醸し出して、こちらも素晴らしい。

こちらも基本かけ流しで、高温のため、わずかに水を入れている
窓も大きく、外を眺めながら、のんびり

源泉名は1号源泉、岩風呂と違う源泉で、PH6.7、51.6℃、湯口の時点では40度半ばか、ちょっと熱めなので、子連れ旅のお子さんはちょこっとしか入れませんでした。

効能が読み下し文?みたいに書かれています

驚いたことに、明治期に日本の温泉治療を評価したお雇い外国人のベルツもこの地を訪ねて、温泉評を残していました。わざわざここまで来たのだから、那須湯本と共に評判が知れ渡っていたということでしょう。

こちらには炭酸鐡泉と書かれている (大黒屋HPより)
外はまだ少し明るいですが、部屋は暗く…
ようやく部屋に灯りがつきました!

山奥の夕飯は…

玄関の囲炉裏端には、家族連れ、親子が読書というかマンガ? 

夕飯は各お部屋で、頂きますが、しっかりとしたものが出て来て、驚きました。4月上旬宿が開くころに、ヘリコプターで燃料や保存が効くものは運ぶようですが、野菜や果物は今でも背負って来るのでしょう。

さすがにお腹が減って、あっという間に平らげました
ご飯がすすむ このおひつも歴史を感じる!
飲めるを確保するため水場へ 外にあるので、夕焼けを眺めて
山好きな奥さんと一緒のパパ(家族連れ)と中学生の娘さんと来られたお父さん、そして私
三人でのんびり話しながら、長風呂 

21時を過ぎれば、僅かに聞こえていた発電機の音ともに、消灯。携帯も使えず、ネットもありません。今日は月も星も見えず、夜ってこんな真っ暗だったっけ!?という暗闇。この暗さは久しく経験していない…、いや、ホントに暗いので、消灯と共に寝落ち… (つづく)


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