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登山電車と箱根の外湯巡り(その1)
テツの大御所、内田百閒先生は、意固地なんで、「箱根、江の島、日光」などの有名観光地には絶対行かないと宣っていましたが、温泉もイイ、鉄道もオモシロいのであれば、やはり書かずにはいられません。
ということで、登山電車で立ち寄れる箱根の外湯の紹介。箱根登山は小学生の頃に小鉄として、何度も足を運んだので、今回はかつての登山電車の写真も交えて、鉄分、多めです笑
箱根へはロマンスカーで!
小田急ロマンスカー、少なくとも東日本を走る特急列車の中では歴史的にも、今現在も話題を提供し続けています。それだけでなく小田急電鉄自体が、一大観光地である箱根への導線といざない(演出)に力を注ぎ、戦略的にも、「旅と鉄道」の切り口では、他の私鉄よりも一歩リードしたまさに鉄道界のトレンドセッターというところじゃないでしょうか。
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今回は土曜休日10:00新宿発の赤いロマンスカー、スーパーはこね3号。おそらく新宿からは一番満席になる可能性が高いので、予約しておきました。ずいぶん前から、ネットで予約可能です。
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小田原の手前、酒匂川を渡り、右には富士山、その右側には金時山がポコッと見えます。小学生の時、遠足で登りましたが、山頂付近で鎖を掴んで上った記憶があり、結構険しかった…。
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小田原を過ぎて、箱根登山鉄道の線路に入り、早川沿いをゆっくり登って行きます。左側、だんだんと緑豊かに、山あいを走れば、もう少しで箱根湯本です。
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箱根登山鉄道
下記の観光案内は昭和3年の小田急開通時の箱根案内図。既に登山電車さらには、ケーブルカーが通っております。箱根登山鉄道の歴史は古く、遡れば、明治時代、国府津から小田原までの馬車鉄道に由来します。
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なぜ、国府津かというと、昔の東海道線は、国府津から今の御殿場線経由で、沼津に抜けて、西に向かったため、箱根、熱海に東京から行くには、鉄道は国府津まで、そこからは別の手段を使わねばいけなかったのです。国府津ー小田原ー湯本の馬車鉄道の開通が明治22年(1888年)、明治33年には電気鉄道へ、というから、とてつもない歴史です。電気鉄道としては、日本で4番目とのこと。
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本格的登山電車の特徴
スイスの山岳鉄道レーティッシュ鉄道と姉妹提携を結ぶ箱根登山鉄道は、本格的な登山電車。計画当初は、アプト式の採用計画もあったようですが、最終的に粘着式(つまりは普通の電車の形式)を採用、軌道は、大きな大きなモーターを積むために世界標準(新幹線と同じ)の1435mmの軌道になりました。登山電車たるゆえんはいくつもあり、まずは80‰(パーミル)<1000m進むと80m登る>の急勾配を登ること。今は無き横川-軽井沢間の碓井峠が66.7‰なので、見た目で分かるキツイ勾配です。また曲線も半径30mの急カーブが何か所かあります。国鉄では200m、300mが最小の単位、都心では私鉄を買収した鶴見線に半径160mがありますが、ものすごい減速して走ります。箱根登山は、一桁違う急カーブというところです。さらに、スイッチバック、特殊なブレーキ、車輪とレールの摩耗を防ぐ散水機能と線路自体も車体自体も見るところがたくさんあるのです。
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「塔ノ沢」から「箱根湯本」へ
さて、箱根の玄関口と言えば、小田原か箱根湯本ですが、今回は箱根湯本から一つ先の、塔ノ沢を目指します。湯本から、いきなり80‰の勾配が現れ、一気に上がっていきます。左下に湯本の温泉街を眺めながら、2分ほどで塔ノ沢着。
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トンネルとトンネルの間にある駅で、ポイントは両方ともトンネル内にあるので、入口はこんな形状。トンネルは歴史を物語る古いものが多いです。
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ここから山を下り、目指すは塔ノ沢と湯本の市街地の中間にある横穴式源泉跡。湯本の自噴泉の跡ですが、少し塔ノ沢温泉のあたりを、寄り道します。
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一の湯から、少し登ったところに、塔ノ沢の外湯、上湯温泉大衆浴場がありますが、こちらは現在休業中。是非とも再開してもらえることを願いつつ…
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ここから湯本方面に国道一号線を下っていくとコンクリート製の一連の土木遺産が続きます。箱根駅伝でもよくお目にかかるスポットですが、土木遺産は、上流側から千歳橋、函嶺洞門、旭橋と続きます。
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下流の旭橋は鉄筋コンクリート製のアーチ橋としては国内最大のスパン
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函嶺洞門はもう廃道で、ここを避ける形で新しい橋がかけられています。左手には山崎発電所の取水堰(こちらも土木遺産)、こちら工事中で河道を変更させてのダムの改修、珍しい光景です。右手には、湯坂路の入り口。こちらは東海道ができる前、鎌倉時代から尾根伝いに歩いて、芦の湯に抜けることが出来る古道です。いつか、登ってみたい道です。
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さて、ようやく一つ目の目的地、「横穴式源泉跡」に着きました。足湯施設の山側の片隅にひっそりとあるので、うかうかしていると見落としてしまいます。
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このあたりが湯本の源泉の発祥の地で、このような横穴式源泉が数か所あったとのこと、岩の割れ目から出てくるお湯を手繰って穴を掘り、そこから湯舟に流したようです。昔からある箱根の温泉場は、こんな感じで湯が湧いていて、温泉場ができたのでしょう。
観光客溢れかえる湯本~「弥坂湯」へ
湯本の街の中に入ってきました。いつ来ても、若い人たちが多い湯本です。湯本橋の上にも、「はつ花」というお蕎麦屋さんの行列。
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「吉池旅館」の脇にこのような記念碑が。森鴎外も遊びに来た時に、「水力電気の明かり」と作品に残しているようです。
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こちら、須雲川と左側は滝通り、この通り沿いと奥湯本と呼ばれるエリアにも名旅館が立ち並びます。日帰り温泉としても良い場所がたくさんあります。ここからさらに旧街道に向かうこと数分、湯本唯一の外湯(共同浴場)、「弥坂湯」です。
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さて、男性の方はお一人様で、貸切状態。晴れの日は皆さん外の観光地が魅力的なようで、雨の日の方が混みますとのこと。湯加減はちょうどよく、入りやすいお湯でした。源泉は44度ということで、やや加熱しています。
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有料とは言え、刻まれた注意書きも身に沁みいります。
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次に目指すは、大平台
湯本から、大平台まで、登山電車で向かいます。先ほどの塔ノ沢を過ぎて、いくつかのトンネルを抜けると、出山の鉄橋を渡ります。こちらも登山電車の絶景スポット。鉄橋はイギリス製のトラス式という歴史的な鉄橋です。元々は東海道線の天竜川に架かっていた鉄橋の一部を譲り受け、持ってきました。大正5年に建設開始で、工期1年で完成。深い早川の渓谷に、木の足場を組んでの建設!
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鉄橋を渡ると、電車は半円を描くように左にカーブしつつトンネルを二つ抜け、出山信号所に着きます。ここで一つ目のスイッチバック。右下には先ほど通ってきた出山の鉄橋が見えます。
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ここで、進行方向は逆になり、また山に向かって登ります。
大平台は、登山電車の険しい軌道の中では、なだらかな開けたエリアです。かつ、大平台駅と上大平台信号所と二つのスイッチバックがあり、4月は桜、6月は紫陽花と撮影スポットでもあります。
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ほのぼの大平台~ 「姫之湯」
大平台は、小さな旅館、民宿が多く、開けた場所のせいか、いつ来ても、陽当たりよく、ほのぼのとした雰囲気が漂う明るい温泉街です。小さなお子さんいる家族連れでも泊まりやすいかなぁ。
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昔、よく来た撮影スポットへ。ちょうど、新型のアレグラ号通過。
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もともとは木造、戦後に剛体化
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この踏切から歩いてすぐのところに、「姫之湯」があります。一軒家のような外湯です。入り口の脇には温泉開発の記念碑があり、ここから大平台温泉がスタートしたようです。
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大平台は、初めて浸かりましたが、予想以上に滑らかなお湯で、これは女性にウケそうな温泉でした。姫之湯の隣の公園も、桜満開、ほのぼの大平台。
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箱根の中でも、ゆったりとした時間が流れる大平台でした。静かな時間過ごしたい、登山電車たくさんみたい方、家庭的な雰囲気が好きという方にはやはりおススメの地でした。
(その2)では、さらに登山電車で登った「宮ノ下」、終点「強羅」へと続きます!
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