マーケティングの”失敗”あるある③ SWOTを強み(S)からはじめちゃう
-マーケティング戦略2
「シニアの社会参加」のマーケティング戦略を、”失敗あるある"を意識しながら考えていきます。マーケティング戦略としては前回に続いて第2回目です。前回を読みたい方はこちらをご覧ください。
今回の”失敗あるある”は、SWOTを強み(S)からはじめちゃうです。
SWOTとは
SWOTについて、まずは教科書から紹介させて頂きます。
SWOT分析は(Strengths - Weaknesses - Opportunities - Threats Analysis)は、下図に示すように、「外部/内部」、「好ましい傾向/好ましくない傾向」という2軸でマトリクスをつくって重要な情報を整理し、分析する。「内部かつ好ましい傾向」が「強み(S)」、「内部かつ好ましくない傾向」が「脅威(T)」に該当する。
SWOT分析の際には、ありのままの現状をとらえるだけではなく、弱みを強みに変えたり、脅威を逆に機会にできないかとポジティブにとらえ、自らの市場機会につなげる姿勢が望まれる。
「グロービスMBAマーケティング」グロービス経営大学院
引用を参考に作者が作成
SWOTは内部環境分析(強み、弱み)と外部環境分析(機会、脅威)を取りまとめてありのままの現状を理解するためのものです。
SWOTは機会(O)/脅威(T)から作る
注意して頂きたい点は、SWOTは機会(O)/脅威(T)から作るいうことです。これは本当にマーケターあるあるなのですが、強み/弱みは自分たちのことなので、議論していてものすごく楽しいです。あまりに盛り上がりすぎて強み(S)/弱み(O)で力尽きてしまい、マーケティングとして大切な機会(O)/脅威(T)を話す時間がなくなってしまいます。
これはマーケターとして絶対にやらないでほしいことです。なぜなら、マーケティングで一番大切なのは「顧客中心」であり、顧客がどのように変化しているのか、または今後変化していくのかをまとめているのが機会(O)/脅威(T)だからです。自社の強み(S)/弱み(W)を議論している時間は、顧客を置き去りにしていることが良くあります。
環境分析からSWOTを作ってみる
それでは参考に「シニアの社会参加」でSWOTを作ってみたいと思います。
強み(S)/弱み(W)から考えたくなるのをぐっと我慢して、機会/脅威から始めます。
機会には「高齢者増により、孤立する人が増える」と書きました。時間があれば「高齢者はどれくらい増えるのか?本当にその人たちが孤立するのか?なぜそれが機会(O)なのか?」をバックアップのスライドで準備しますが、質問で聞かれた時にしっかり答えられればスライドを作る必要はありません。私はインタビューの中で孤立するシニアの増加を話すと、「図書館とかファーストフードとかに、毎日来ているシニア男性いるよね。」と納得されることが多いので、あえてその事実の検証はしませんでした。
ここで大事なのはご自身のビジネスにおける外部要因のうちインパクトの大きいものをしっかりと書き出しておくことです。
機会(O)/脅威(T)が終わったら、内部要因の強み(S)/弱み(W)に移ります。どうでしょう?その頃には脳も疲れて、必要以上に強み(S)/弱み(W)に時間をかけることもなくなると思います(笑)。
私の場合は個人のスキルについて書きました。最も大きな懸念は、「シニアの社会参加」を取り組む時に、私自身が医療や介護関係者ではなく専門性がないことです。
クロスSWOTって聞いたことありますか?
SWOTでありのままの現状をとらえたら、せっかくなのでクロスSWOTで戦略を検討してみましょう。
クロスSWOTでは、特に機会(O)/強み(S)の重なるところが大切です。市場の機会にどのように自社の強みを合わせることができるか考えます。
私の「シニアの社会参加」を例にすると、「終身雇用の崩壊により定年前から人生の選択肢が増える(O)」ので、そこに強みである「コミュニティ運営3年(S)」を掛け合わせて、「終身雇用以外の選択をしたい人のコミュニティ」なんていうのが考えられます。定年前から新しいコミュニティに所属することで知人が増え、将来の孤独が回避できないかと考えます。
反対に、「ソーシャルフレイルが進んだ人は、本人は困っていない(T)」のに「医療や介護の専門性がない(W)」私がサービスを提供しているとすれば、事業を撤退(または縮小)すべきとなります。
いかがでしょうか?SWOTの作成からクロスSWOTの考え方まで、本日はご紹介させて頂きました。ぜひ一度ご自身のビジネスで試してみてください。
つぎはマーケティングでもっとも大切な課題抽出とSTP(セグメント、ターゲティング、ポジショニング)についてご紹介したいと思います。
SWOT分析で強み(S)からはじめて、外部要因に行くまえに力つきていませんか?
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