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集団における多様性はなぜ重要なのか。-チョップ通信Vol.21

まじめ回です。

フランシス・ゴルトンという科学者がいました。
「優生学」という言葉を発明し、それを「遺伝によって継承される資質を、賢明に相手を選ぶ結婚によって高めるだけでなく、よりよい血統が維持されるようなすべての方法によって改善するための科学」と定義した。
つまり人間の品種改良。
激ヤバ思想をお持ちのお方でございました。

そのゴルトンさん、イギリスのとある都市で開かれた家畜の競りイベントに行ったとき、牛の体重を予想して一番近かった人に賞金が出るよ〜的な催しが開催されていました。
酪農家や精肉業者などの牛の目利き以外にも、イベントに参加していた一般人(専門家でない人)もクイズに参加していました。
これだ!と思ったゴルトンさん。

専門家(牛の体重を見極めるという点においては優秀なグループ)と、一般人(牛の体重を見極めることにおいては得意ではないグループ)が混ざっていることにより、
参加者全員の予想値を平均すると正解からは遠く離れた数値が出てくるはず!
と思いました。
(優秀な人のみの意見を聞くべきだという結論に持っていきたかったんでしょう。)


USHI

イベント後、ゴルトンさんは主催者から参加者が予想した数字の書いた787枚のカードをもらい、それらを分析してみる。

イベントの結果として、最も正解に近い予想値を書いた人は、実際の牛の体重と20ポンド程度差があったのに対し、
参加者全員の予測値の平均は、実際の牛の体重と誤差1ポンドという正確さになっていました。
この結果にゴルトンさんはびっくりです。

優秀な1人集団を比較すると集団の方が優れた結果を生み出してしまったのです。

他にも、
ジャック・トレイナー教授による「ビンの中のジェリービーンズ」の実験があります。
ビンの中にあるジェリービーンズの数を学生に当てさせる実験です。
正解は850粒。

もっとでかい瓶でやってたと思います。


実験に参加した学生は56人いましたが、学生全員の推測値を平均すると、871粒という結果に。
それよりも850粒に近い値を推測したのは、たった一人の学生だけでした。実験は何度か行われましたが、集団の推測の方が、個々のほとんどの推測より正確でした。

こういった例はいくつもあります。

何が起こっているか?

集団内における個人の推測値の誤差は分散値(ばらつき)により相殺されるので、
集団の推測値の誤差は個人の推測値誤差より小さくなる。
集団誤差=平均個人誤差 - 分散値といった式に表されます。
これがいわゆる「集合知」の正体です。

ここで重要なのは、分散値(ばらつき)による相殺が有効に機能するためには、メンバーに多様性が必要になるということです。
メンバーに多様性があることで、集団の予測は正解に近くなっていく可能性が高いと言えます。

なぜ多様性が必要か?
分散値が生まれないからということに集約されます。
牛の体重を正解より高く予想する人もいれば、正解より低く予想する人もいるといった「多様性」が重要って感じですね。

なので、自分の意見を他人に左右されずにどんどん言っていきましょう。

集団であっても・・・

残念ながらこの集合知が上手く機能しないパターンがあります。
例を挙げると、
意見の模倣
(初期のいくらかの人の意見が、あとで決断をする人の意見に影響を与える。)や情動(周囲からの圧力など)がある場合。

こういった状況下では、意見(個人の予測値)が一定になってしまいます。
極端な例で言うと独裁政治ですね。
一人の独裁者の意見が国という集団の意見になります。
核実験したりミサイル発射したり、やりたい放題やで。

ドラッカーさんが言うてる満場一致のパラドックスとかも参考になるかも。

集合知を上手く機能させるためには?

では、集合知が上手いこと働くにはどうすればいいの?ってなりますよね。
以下4つの条件が必要とされています。

意見の多様性
個々の人間はある事実に対して、固有の情報を持っているべきである。
たとえ突飛なものだとしても。

独立性
個々の意見は周りに流されるものであってはいけない。

分散性
個々は専門によって固有の知識を伸ばせる。

集約性
個々の意見を集団のものに統合するためのメカニズムが用意されている。

この指標は突き詰めれば1つ1つですら大きな力になります。
分散性のある便利な辞書だったり、
集約性のある便利な検索エンジンだったり。
民衆に独立性のない国だったり。

以前、多様性ってむずいよねって書いたんですが
表面的なところばっかり書いていたのがなんか引っ掛かってて。
科学的に多様性について考えてる人おるやろ!って感じで探すと、
今回紹介したようなことをしっかりまとめた、
「多様性予測理論」(多様性予測定理)に辿り着きました。
その全てについては説明しきれていないので、興味がある方は、
集約性のある検索エンジンで調べましょう。

ふんわりと多様性が大事とか、みんな違ってみんな良いよね、
って思想的な側面だけで語るのではなく、
科学的にも多様性の重要さを勉強できて良かったと思います。

あとがき

数式とかの部分は説明できる自信がなかったので、大幅かつ大胆に端折ってます。Σとか出てきてました。誰か代わりに勉強して俺に教えて。
根が文系なんですいません。
Youtubeで説明してるやつもあったよ。
新入職員・新入社員の方々は自分の意見が言いずらかったりするかと思いますが、個々がその集団における多様性の一端を担ってると思って、
「自分の意見」を発信して下さい〜。

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