自己肯定感について         生まれて1年半で自己肯定感は形成される!

ある子育て中の母親中心のMLに書いた文章。父親なんだけど。

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前略
 ご無沙汰しております。 

もう、半分部外者なのに、このMLに書きたいことができてしまって、書いてしまいます。

 例のごとく、長いです。

 途中で、適当に読み捨ててください。

 ではいきます。

 先日、息子の小学校で「自己肯定感」についての講演会がありました。

 「マザー・サポート・ネットワーク」というところの飯田さんという方のお話でした。

 「自己肯定感」という言葉はしばしば聞きますが、いったい何なのか、十分に分からないでいたので、のぞいてみました。お話は、子どもの発達段階についての説明と、心を育てる、つまり自己肯定感を醸成する子育ての仕方についてのレクチャーでした。

 全体として、分からないところもありましたが、ためになるところもありました。

 分からないところの一つは、結局「自己肯定感」とはなんなのか、ということです。

 ふつう、自己肯定というとき、勉強はこれくらいやっとけばいいとか、この程度に誠実であればゆるされるだろうとか、といった、個々具体的な場面での自己肯定と、「生まれてきてすみません──いやいいんだよ。」みたいな、もっと深いレベルでの自己肯定、難しい言葉を使えば、「実存的」なレベルでの自己肯定とがあると思うんだけど、どっちかな、と。で、質問しに行きました。やっぱり、後のほうだということでした。

 そもそも、レクチャーのスライドのなかには

 自己肯定感…

  自分は大切な存在だ

  自分は生きている価値のある人間

 という部分があって、これがそうだろうと思っていたんです。

 ただね、ひとつかなり気になることがあった。

 いちおう、発達段階は次のようになっている。

0歳~1歳6ヶ月 自己肯定感の基礎を育む

1歳6ヶ月~3歳 自制心の基礎を育む

3歳~就学前   共感能力の基礎を育む

学童期      学習の時期

 で、じゃあ、上の「自己肯定感…」の部分は、どの時期の特徴か、と言えば、それが、なんと「0歳~1歳6ヶ月」の年齢のときの特徴なんです。つまり、生まれてから一年半のあいだに、「アタシは生きていていいんだ」と思うと、いうこと?!マジ?

 だって、この時期、言葉すらろくに話せないぜ。なのに、「オレは生きていていいんだ」って自分で受け止める??ほんと?などと、真に受けられませんでした。

 ところが、先だって新聞を読んでいたら、納得させられる記事が出てました。「家庭養護促進協会」というところの岩崎さんという方のインタビューです。親のいない、乳児院に入っている子どもたちに里親を紹介するお仕事をされている方です。乳児院を出て、育ての親のところにゆくと、まずはいい子でいる「見せかけの時期」があった後、「試し行動」の時期がくるそうです。一歳半以降の子どもたち、言葉も十分にしゃべれない子どもたちです。そのまま引用します。

 「例えぱ、お母さんが女の子を引き取るのでじゅうたんを新調したのに、子どもがその上でお漏らしをしてしまった。その時に、『せっかく買ったのに』と顔をしかめたらそれを見て、おしっこをする時に必ず同じじゅうたんの上に行って『おしっこ出る出る、出たあ』とやるんです」

 「スナック菓子しか口にせず、食べ残しを床いっぱいにばらまく子。色とりどりのビーズをひもに通すよう親に求め、っそれができると、バラバラにしてはまたひもに通させる、ということを延々と続ける子。」

 ほかにも興味深い例は、いっぱい出てます。

 そして、次のようにおっしゃります。

 「どこまで意識してやっているのか分かりませんが、弱点を見抜き、そこを的確に攻め込んでくる。親の嫌が雰囲気は子どもに確実に伝わっていると思います。その上で『嫌がるごとを繰り返す私を、あなたはどれだけちゃんと受け止めてくれるのか』を確かめようとしている。」

 こういうのを読んでみると、1歳6ヶ月前までに、「自己肯定感」の基礎が育まれるということの意味も、分かりますね。

 ただし、忘れてはならないのは、もう1歳6ヶ月をはるかに過ぎた我が愚息も、この時期を過ぎてきたということですね。乳児院の子どもは「試し行動」というかたちで顕著に現われるけれど、親のちゃんといる子どもたちだって、「試し」をしていたはず。

 加えて、面白いのは、この「試し」の時期は、もう一度来るそうです。中2の頃の思春期ですね。『私はそれなりに親に愛されてきたから、自信をもって世の中に出ていける』ということを確信するために、親にもう一度揺さぶりをかける』そうです。おそろし。でもこれまた、すでに親である私たち自身が、私たち自身の親を、かつて揺さぶったんですよね。

 面白いですね。

 草々

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