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アイヌ刺繍/マタンプシパーカー


刺繍を始めてしばらく経った頃、インドに旅立つ友達から、旅に持っていくパーカーに安全を祈願する刺繍を入れて欲しいと頼まれた。

本人は胸元にワンポイント程度・・って考えていたようなんだけど、安全祈願と聞いたら俄然ガッツリ刺したくなってしまった私。笑

「好きにやっていいよ。」と言われ最終的にフードを被った時にマタンプシになるように。そして胸元にも大きくお守りを入れた。

マタンプシとは、髪を結う習慣のなかったアイヌの人々が髪を束ねる為に使っていた鉢巻で、男性は狩りに行く時の魔除けとして、女性は晴れの日の盛装として使われていたりしたそうです。

残っていた写真がモノクロしかなかったので色が分かり辛いけど、胸元は何重にも糸を重ね、布を覆い尽くすようにびっしりと刺し続けてこの太さ。毎日3〜4時間、約1カ月かけてやっと出来上がった大作でした。

誰かの為でなければこんな事出来ないなぁ・・。としみじみ思ったこの経験を経て、アジアの少数民族の刺繍が、値段にはかえられない素晴らしいものだとより理解を深めたのでした。

今「同じ事をやって」と頼まれたら、即お断りするだろうなぁ。。




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