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自己紹介のつもりが「色気」について考えることになった話

みなさん、こんにちは。

銀座 蔦屋書店で日本文化の担当をしている佐藤昇一です。

前回まで、はじめてnoteで文章を書くにあたり、自己紹介として「歌舞伎俳優が本屋さんになったわけ」を書いてみました。多くの方に読んでいただき、またメッセージもいただけて、うれしいです。ありがとうございます!

20年近く歌舞伎の舞台に立っていた、変わった本屋さんの頭の中をのぞいてみる。みなさんには、めずらしいものをみつけたと思って、お付き合いいただけると、うれしいです。

今回は、そのためにぴったりの文章をご覧いただきたいと思います。歌舞伎の世界から足を洗って少し経った頃、ある媒体で美容師さん向けの連載をはじめることになりました。その初回として自己紹介を書き進めるうちに、「色気」についての考察をすることに。そんな文章です。

美容師さんのために、文章を書く

2016年1月に芝居をやめたとき、いくつかチャレンジしたいことがありました。そのひとつが、歌舞伎に限らず日本文化について、専門家の方に教えをいただく機会をつくり、さらに知識を深めていくこと。そして、講演や執筆活動を通して、広くその魅力を伝えていくことでした。この活動は元々役者時代にもおこなっていましたが、この機会にもっとその場を広げていきたいと思ったのです。

そんなおり、ずっと自分を応援してくれている編集者の方のご縁で、ある業界誌での執筆のお声がけをいただきました。普段はお店でいそがしい美容師さん。彼らの美容師ライフを楽しくしたい。そんな目的で刊行された「cocoa paper」(現在は休刊中)にコラムを連載してみないか、とのことでした。

どんな美容師さんに?何を伝える?

おしゃれな美容師さんたちに、自分がお伝えできることは何だろう?そもそも、歌舞伎俳優だった(しかも梨園の出身でもない)だけの私の言葉を、プロフェッショナルの彼らに読んでもらえるだろうか?

不安を抱えながら、私が届けるべきメッセージを考えました。

どんな美容師さんに?何を?

美容師さんはとっても離職率が高いそう。頑張っている美容師さんに、業界はちがっても、20年近く修行をしてきたものとして、色々なモヤモヤをどうやって乗り越えたかを伝えたらどうか。そこから、ヒントを見出してくれるかもしれない。

単なる自己紹介では、興味をもってもらえないかも?

なので、自己紹介でありながらも、美容師さんが興味を持つようなテーマについてのエッセイでもある、そんな文章を書いてみようと思いました。それが「色気」についてなのです。

ちょうちょ遊べやとまれ其の一タイトル

当時、つくっていただいたタイトルです!

「色気」という言葉の意味

蝶之介さんは、「色気」って言葉の使い方がちがうよね。

テーマについて悩んでいたとき、今まで何度かそう言われたことがあるのを思い出しました。そのおりには気にも留めていませんでしたが、改めて辞書で調べてみると、「色気」には6つの意味があることがわかりました。自分の用法も、ほぼこの中におさまっています。でも、どうやら一般的には主に②の意味でしか使われていないようなのです。

色気辞書

芝居の修行中、「色気」という言葉は何度も意識してきました。歌舞伎の世界ならではのなのかはわかりません。ただ、「美」と「道」(学ぶこと)について話すとき、「色気」という言葉を耳にしましたし、私も使ってきました。

「お客様を美しくする」、「そのための技術を学ぶ」。美容師さんのお仕事をそう定義すると、「色気」は自分との共通点になるのではないか。というわけで、連載の第1回は自分の修業時代の話をしつつ、「色気」をテーマに自己紹介をしてみようと思いました。

そう決めたとき脳裏をよぎったのは、落語の三題噺。お客さんの出した3つの題を、即座一席の落語にまとめて演じること。「色気」の意味である6種類全部にふれよう。こんな無茶な思いつきにワクワクして、無駄にハードルを高くして、「色気について」というお題でコラムを書くことにしました。

さて私は、はたしてそのハードルを越えることができたでしょうか?

その結果は「自己紹介のつもりが「色気」について考えることになった話 ②」をご覧ください!

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