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心の汚れまで落としてしまいそう、トルコ

うぃー ぐるぐる うぃー ぐるぐる 

洗濯機が回るのを眺めるのが、実は好きです。
うちのは縦型式なので、横で突っ立ってのぞき込むしかありませんが、ドラム式だと床に座り込んで眺められます。

ぎちぎちに詰まった状態ではダメで、たっぷりの水に洗濯物がぐるぐるしているのが見える程度がちょうどいいと思います。

いやむしろ、水だけでいいです。


ほかの人もそうなのか知りませんが、わたしは水が好きです。
小さいころは、ジェットコースターは乗れないけれどウォータースライダーは好きでした。
山と海だったら、たぶん海派。
いったんスイッチが入ると、川とか湖とか海とか、ずっと見ていられます。
自己最長記録は、丘の上から40分微動だにせず眺めた、イタリアのコモ湖です。

ししおどしも好き。
日本庭園とかで、水がぽたんぽたんと垂れるようになっているやつも好き。

水は心を洗ってくれます。


で、洗濯機。

水だけのほうがいいのですが、水だけ回すなんてことは、普段はありえませんので。
水だけの状態で眺めるのは、もっぱら洗濯槽の掃除をするときです。

洗濯槽の掃除。
これも結構好きで、隠れていた汚れがどばーっととれる爽快感がたまりません。
だいたい月1で、ドラッグストアで買ってきた洗剤で洗っています。
月1でもそれなにり汚れがたまるようですが、このところ定期的に行っていたので、最近はとれる汚れの量が少ない……。
いえ、きちんと洗えているのはいいことですが、達成感という意味では、いまいち。


ところが、年末にネットで、

「通常の倍以上の値段の洗剤を使ったら、汚れがやばかった」

という感想を見かけました。
お店で店員さんにおすすめの洗濯槽洗剤を尋ねたら、1回分で800円くらいする商品を勧められた、というのです。
その方は、やはり月1くらいの間隔で掃除をしているらしく、半信半疑ですすめられたものを使ってみたところ、ものすごい量の汚れがとれたそうです。

即座に商品名を控えて、仕事帰りにドラッグストアに寄りました。

なのにないんですよ、その商品。

商品棚に並ぶのは、安いものはプライベートブランドの200円くらいのものか、少し高くても250円くらいのもの。
800円どころか400円のものさえ、おいていないのです。

悔しくて、しばらくの間はドラッグストアを見かけるたびに探していたのですが、どこも状況は同じでした。

なんでや。
みんな洗濯槽洗いたくないんか。


その頃にはプチバズったその洗剤は、アマゾンでも楽天でも品切れになっていて、これは当分むりだな、と思っていました。
残念無念。


ところがある日、ネットで「トルコ洗濯槽洗浄剤」という商品名が目に入りました。

トルコ?
土耳古??
Turkey???

正解:Tolco

まぎらわしい! とツッコミを入れつつ商品ページを開くと、日本製の酵素系洗剤で、なにやらよさそうな説明がいろいろなされていました。
塩素系よりいいかな、というのがひとつ。
ホタテ貝殻パウダー配合というのがもうひとつ。
何よりお値段が、1500円。

こ れ だ わ

500グラムで1500円。
通常は1回あたり250グラム使うところを、「初めて使用する場合は500グラム使用」と書いてあります。
さらに、「浮き出てきた汚れをとるハンディーネット」もおまけでつけてくれるとか。
どれだけ汚れを出す自信があるのでしょう。

高い。
でもきっと高いだけの仕事をしてくれる。

そう信じて2袋セットをポチり、ゆっくり掃除ができる週末を待ちました。


そしていよいよ、週末。

洗濯槽に水を張り、酵素の力を引き出すために、わざわざお湯を足して水をぬるめに設定。
1500円を惜しげもなく注ぎ入れ、3-4分洗濯機を回します。
すぐに泡立ってきたので、中がどうなっているかは見れず、一旦停止して、外出しました。

4時間後。

そわそわしながら蓋を開けた洗濯機は、泡立ちのせいで表面はよく見えないものの、水が黒くなっていました。
墨汁でもいれたのか。

停止していた運転を再開して、水のぐるぐるを眺めます。
泡でよく見えませんが、黒い水が渦巻いているのはわかります。

洗濯機を動かしながら、手の届く隙間をブラシでこすったりもしたのですが、まあ出てくる出てくる。
黒い水が。

今までも掃除してたんだけどなぁ……
さすが1500円は200円とは格が違うなぁ……

そうこうしているうちに、1回目の洗いが終了して、すすぎにはいります。
我が家の洗濯機は、洗いの段階では蓋を開けていても大丈夫なのですが、すすぎ以降はフタを閉じないといけません。
お楽しみはいったんここまで。
しばし待ちます。


1回目の洗濯が終わって、即座に2回目の洗いを開始します。
水が溜まって、うぃーっと動き始めた瞬間。

出るわ出るわ。
黒くてぴらぴらした水垢が。

さすがに2回目は、水自体が黒くなることはありませんが、あとからあとから水垢が。

ちょっとー!
洗濯機に乾燥わかめ入れたのだれー!?

というレベル。
すかさずネットを使って汚れをすくい、またすくい、さらにすくい……。

手はせわしなく動かしながらも、心は完全に無の境地です。
無心で水が回るのを眺め、汚れをとる。
また無心で水を眺め、汚れをとる。
単純な動きを繰り返しながら、ひたすらに回る水を眺めます。

何も考えずに水を見ているうちに、自分の心の汚れも落ちていくような、そんな詩的な気持ちにはならないけれど、何も考えない時間は心地いいものです。
そうこうするうちに2回目の洗いも終わり、またフタをしてしばし待つ。

そして3回目。
まだわかめ状態な水を、すくっては捨てすくっては捨て。

さらに4回目。
さすがに汚れの量が少なくなったのと、十分水のぐるぐるを堪能したので、ここで終了です。


ああ、なんという達成感。
ありがとう、トルコの高い洗剤。

そしてやっぱり、ぐるぐると回る水は心を無にしてくれる、いいものです。そんなことを、再度実感した休日の午後でした。

久しぶりに、水のある場所に行ってぼーっとしたくなりました。



最高にやばいトルコの洗剤はこちら。

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