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うつわと貫入好きの扉を開いてくれた塚崎愛さんのうつわ

塚崎愛さんのうつわとの出会いは、今からおよそ6年ほど前。
初めて出会ったのは、百貨店で開かれていた催事場の一角でした。
ジュエリーベースやカップを中心に白いうつわが並んでいたのですが、はっと目を引き、吸い寄せられるように手に取ったことを覚えています。

今は見かけることがないですが、当時は取手の小さなマグカップや耳付きのカップを作陶されておられ、こんなにかわいいうつわがあるなんて…!と、私にとってうつわの概念を変えてくれた出会いでもありました。

当時はまだ一人暮らしを始めて間もなく、懐に余裕もなかったため、お迎えしたいなとと思いつつ、迷いに迷ってしまい、、
やっぱり気になり催事に何度か足も運んだのですが、そうこうしている間に催事が終わってしまい、、
次出会ったら必ずお迎えする…!と、そう心に決めていました。

そして、忘れもしない2017年のお誕生日のこと。
その少し前に夫とお出かけをした際に、偶然愛さんのジュエリーベースを見かけたことがあったのですが、私が愛さんのうつわがすきだと力説していたことを夫が覚えてくれていました。

プレゼントにと、探しに探してくれたようなのですが、当時はまだ取り扱い店もそう多くなかったので、見つかるはずもなく…
なんと夫が愛さんご本人に連絡を取り、まさかの愛さんもご丁寧に在庫のあるお店を教えてくださり、念願叶って我が家に来てくれたのでした。
(もう本当にうれしくて、その節はありがとうございました。)

夫がプレゼントしてくれたのは、貫入のあるマグカップ二つ。
今でこそ愛さんと言えば、貫入のうつわのイメージがありますが、当時の私は白いうつわしか見たことがなく、貫入が何かも分かっていなかったので、何だこれは… !とあまりの美しさに衝撃を受けました。

当時、今よりもうつわのことが分からなかった夫は、あまりに見たことのない佇まいのマグカップに、本当にこのプレゼントでよいのかと少し迷ってしまったそうなのですが 笑
全くもって間違いありませんでした。

当時の私の知識不足もあると思うのですが、今ほどに貫入のあるうつわは見かけなかったかもしれないような気がします。

愛さんのうつわは、貫入のあるものとないもの、艶のあるものとないものがありますが、美しいという言葉がよく似合います。
「水のような 空気のような 静かな陶」をコンセプトに作陶されているのですが、まさにその言葉通りを体現されています。
うつわの形はどれも至ってシンプルであり、そのシンプルさが、うつわ本来の素材の美しさや貫入の美しさを引き立ててくれているように思います。

土には焼くと縮む性質があり、焼き物の素地と釉薬の収縮率に差があるときに、貫入と言われるヒビが生まれるのですが、これを愛さんはコーヒーで染め、特徴的な貫入を作っておられます。
優しいうつわの白色とコーヒーのあたたかい茶色がよく合っていて、これがまた本当によいのです。

艶のあるものとないものでは質感も異なっており、艶のあるものは細かな貫入がたくさん入っているので、より貫入が楽しめるものに、艶のないものはさらっとしたマットな質感のうつわとなっているので、素材の美しさを楽しめるものとなっています。

一つひとつ個体差があり、貫入の入り方によって、例えば貫入がしっかり入っていると渋さがあったりと、印象も異なってくるので、うつわの使い方を考えながら、ぜひ出会いを楽しんでほしいと思います。
私は愛さんのうつわに出会ってから、すっかり貫入の魅力にはまり、うつわを選ぶときは、ついつい貫入のあるものを手に取るようになりました。

中心のパスタがよそわれているのが愛さんのうつわ

作家さんのうつわを日常使いするには、少しハードルが高いように思われている方もいると思いますが、愛さんのうつわはシンプルなので、用途を選ぶことなく使うことができます。
洋食やデザートだけでなく、これは少し意外に思われるかもしれせんが、魚の煮付け等、和食にもよく合ってくれます。
使えば使うほどに、こんな使い方もあったのかと、新しい発見もあると思うので、ぜひたくさん使って試してみてほしいです。

さて、貫入のあるうつわは使えば使い込むほどに経年変化を楽しめるものとなっていますが、我が家のうつわたちはこんな様子で育ってくれています。

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