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ゴッホ展/10年間の熱

またも会期の終盤になってしまいましたが、正月休みにゴッホ展に行ってきました。予想通りの大混雑。とはいえ、入場までの時間が長かったわりに、中ではまあまあじっくり観ることができたと思います。

画家人生をたどる旅

ゴッホの作品は特徴的な色使いと筆致で、一目見て「あ、ゴッホだ!」とわかるものだと思っていました。「ひまわり」や今回のメインともいえる「糸杉」、「星月夜」や「夜のカフェテラス」、あるいは耳を失った自画像などが、私が知っていたゴッホです。

今回の展覧会では、画家を志してすぐの習作のような作品から、亡くなる直前までの作品が時代を追って展示されていました。ハーグ派、印象派との出会いを通じて、画商出身の青年が画家「ゴッホ」になっていったかをたどることができます。

ゴッホは最初からゴッホだったわけではない(当たり前か……)。

ハーグ派、印象派の時代

ハーグ派や印象派の時代のゴッホの作品は、後にうねうねとした力強い線を描く人になるとは思えない、おとなしい印象でした。ただ、内省的なところは一貫しているようにも思われます。

アルル時代以前の作品では、「ジャガイモの皮を剥くシーン」がよかった。シーンは、ゴッホが一時期同棲していた子連れの娼婦だそうです。娼婦と言っても女っぽい色気は感じられず、生活に疲れ、老いて見えます。
技術的にはまだまだ、という時代の作品だと思うのですが、足下から冷たい空気が漂ってくるような、生きていくことの厳しさが感じられる絵でした。

ゴッホの、これが好き!

私はやはり、アルル時代以降のゴッホが好きです。うねるような力強い筆あとと、色彩、特に黄色が美しいと思います。
今回の展覧会では、「麦畑」「サン=レミ療養院の庭」「糸杉」「薔薇」あたりが好き。ただ、これらの絵には怖さも感じます。それは、ゴッホの生涯を聞き知っているからなのかもしれませんが、実際に観たらやはり圧倒される迫力がありました。
27歳で画家を目指し、自ら命を絶つ37歳までの10年間に膨大な作品を生み出したゴッホは、絵にとりつかれていた、絵に取り殺されたと言えるかもしれません。

おまけ)上野の森美術館さん、これは残念です……

入場前にスタッフさんが「トイレは1階にしかございません、展示は2階からですのでご注意ください」と案内してくれたのは助かりました。寒い中、待機列に40分も並んだのですから、先にトイレに寄っておきたいところ。落ち着いて観たいですからね。
しかしながら、そのトイレがとてもわかりにくいのです。順路を外れて出口の方に入り込み、激混みのショップコーナーの奥に行かなくてはなりません。その上、女性用のトイレは長蛇の列でした。だって、個室が3つしかないのです。結局、入場してトイレを済ませて順路に入るまで、15分もかかってしまいました。
トイレの場所も数も、とても残念です。ちなみに、ハンドドライヤーもありません。私はハンカチ派なのでどっちみち使いませんが、今はハンカチを持たない人も多いようなので、あった方がよいのでは、と思います。

展示会の基本情報

会場●上野の森美術館

会期●2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)

公式サイト●ゴッホ展 https://go-go-gogh.jp/

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