【ゆるふわケース】破れないストッキング
どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
唐突にTLに投下してみたこちらのゆるふわケーススタディ、それなりに反響いただいたので回答例も公開しておくことにします。
ちょこさん的な結論としては、
①売り切りなら3足セットで50,000円くらいで売る
でもそれだと買う側は初期コストが高くて売る側はその後の売上が見込みづらいから
②年間15,000円くらいのサブスクサービスも出す
みたいな回答になるのかなと思いました。
以下、解説…
の前にいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。
では、解説をどうぞ。
◆お題について
上記ツイートのとおり、新製品の市場投入時の価格設定をしてください、がテーマです。
特にそれ以外のシチュエーションについては記載していませんでしたが、総合コンサルの一次面接の最初にやるような肩慣らしくらいの難易度のもので、会話しながらその場で5分くらいで解くようなイメージでしょうかね。
◆解法について
こういうのは頭の体操なので、あくまでこの解法は一例です。
色んな解き方があって良いと思うので、そういう前提で読んでください。
- 価格設定は①競合比較②コストベース③価値ベースが基本
今回のお題というかTwitter上での出題では会話しながら検討パターンを絞り込んでいくということができないので、あまり検討の幅が広がらなくて済むよう、暗に①競合比較②コストベースは検討不要である旨を示唆しています。
①競合比較
たまたま発見したものすごい素材で作った絶対に破れないストッキング、今のところそんなすごい製品は市場には出回ってないですからね。
②コストベース
これもたまたま副産物的に作れてしまったため研究開発に莫大なコストがかかったのでそれを回収せねば、なんて事情はないと見なせます。
ついでに製造原価も現行品と変わらない、ってのは書いておいた方が良かったかなぁと思いました。
③価値ベース
というわけで、消去法的にこのケースは価値ベースで市場価格を検討していくことにしましょう。
このあたりは出題上の都合だと思ってください。
- 毎年のストッキング代はだいたい12,000円分くらい?
ここも色んな考え方がありますが、まずは市場にいる消費者は一般的なストッキングに毎年どれくらいのお金をかけているかを何となく考えてみましょう。
ストッキングを履かない生き方をしている各位もたくさんいると思いますけど、ちょっと想像力を発揮してみてください。
この、毎年のストッキング代をベースにこのあとの数字も考えていくことにするので、この数字は大事です。
あ、そうそう、今回はそもそも市場にする商品がストッキングなので想定購買層も暗黙的に18~60歳くらいの女性としてしまってOKです。
さらに、市場規模を推定というステップもお題として省いてるので、想定購買層1人1人のことをダイレクトに考えていくことにします。
ストッキング…そうですね、3足1,000円とかのを毎月1セットくらいは買うもの、とでもしておきましょうか。
年間36足、平均10日に1枚は交換しているくらいのペースですね。
個人差ものすごくあると思いますが、それくらいは買うとしておきましょう。
そうすると、日常的にストッキングを履く層は単純計算で年間12,000円くらいのコストをかけていると言うことができます。
デザイン性の高いものを使っている方はもっとコストかかっているんでしょうけど、一旦置いときます。
なんでわざわざ年間のストッキング代を見積もったかというと、絶対に破れないストッキング、つまり年間何足も買い替える必要のないストッキングを買うにあたって、消費者はこの毎年費やしているストッキング代と比較をするからです。
もちろん、他にも要素はありますが、メインはここです。
なので、この年間12,000円をベースに価格設定をしていくことにします。
- 仮に20年使うとして、240,000円で買います?これ。
ものすごーーーくシンプルな回答として、
・年間12,000円かかっているストッキング代が不要になります
・20年間は使うと仮定します
・なので、240,000円が適切です
というのがみんな真っ先に思い浮かぶと思います。
でも、これはNGです。
ちょっと考えてみてください、今まで3足1,000円とかで買えていたものを20年使えるからっていきなり240,000円は出せないですよね。
もっと言うと、240,000円をポンと出せる消費者、かなり限られてくると思いませんか。
あと、お洗濯のペースも考えると1足買って終わり、とはいかないので、このお値段のものを複数買うのは…ってなりますよね。
なので、別の方法で考えましょう。
- じゃあいくらだったら買ってもらえそう?
お洗濯のことも考えて、少なくとも3足は手元に置いておきたい、としましょう。
となると、3足まとめて買ってもらえそうなお値段、もしくは、何ヶ月かおきに1足ずつ買い足していって3足揃えてもらえそうなお値段、を考えていかないといけないですね。
このあたりも色々な要素を考えたいところなのですが、会話しながら数分で結論を出すようなシチュエーションなので、ここも思い切ってざっくりいきましょう。
みんな持っててそれなりのお値段がしてそれなりに耐久性のある実用品、例えばスマホとか。
だいたい、SIMフリーのiPhoneとか50,000~60,000円くらいでしょうか。
感覚ですけど、このあたりの価格を超えるとなかなか買って貰えないような気がします。
なので、3足セットで50,000円、バラ売りだったら1足20,000円くらいをターゲットにします。
ちなみに、毎日使う系のサービスだと、"毎日300円のコーヒーを飲むとしたら月30日で1万円、つまり毎日のコーヒーと同じくらいの感覚でこんなサービスが…"みたいにコーヒー代で比較するケースが多い気がします。
- ちょっと買い替えのハードル高くない?
せっかく結論っぽいのが出てきたところですが、もうちょっと考えてみましょう。
3足セット50,000円、まぁ、買う人は買うと思いますけど、まだ高いかなーって思われる価格帯ですよね。
長く使えるのは良いことですけど、サイズが変わったり、違うデザイン欲しくなったときに買い替えもためらっちゃいそうですね。
ストッキングってデザイン性特化って製品かと言われるとそうではないですけども。
とりあえず、ベージュのシンプルなストッキング3足あれば全く問題ない、って各位はたぶんこれ買って満足だとは思います。
でも、商品として買い替えニーズを作りづらい、買い替えたい消費者も値段がネックになる、という状況は改善しておいた方がよさそうです。
- そんなときに便利な方法、それがサブスク
そう、サブスクです。
こういったケーススタディではそのときそのときの流行りのトピックも取り入れて最新のビジネストレンドへのアンテナも張れてる、ってアピールするのも大事ですからね。
売る側としても、毎年安定的な売上が見込める、割りとありがたいサービスモデルです。
今回の場合は毎日履くストッキングという製品自体へのニーズが安定している、つまり飽きたからサービス解約します、みたいなリスクが比較的少ない製品というのもプラスになりそうです。
※これ、厳密にサブスクだっけ?ってツッコミがありそうですが一旦置いときます。
内容としては、やっぱりお洗濯考えると3足セットは必須ですね。
加えて、定期的にサイズやデザインも選べるように、だからと行って毎日毎日交換されても困るので、3ヶ月に1回、そのときそのときの製品ラインナップから好きなものと交換可能、としましょうか。
あとは値付け、どうしましょうね。
考え方のベースとしては先程の年間のストッキング代12,000円でいいと思います。
ここも感覚でやるしかないですが、
・突然の伝線で困るってのがなくなる
・寿命間近の傷んだストッキングを履いてることのストレスがなくなる
・毎回毎回ちまちまと買いに行く手間がなくなる
ってメリットもあるので、このベースのコストよりはちょっとくらい高くしても買ってもらえそうですよね。
なので、このあたりの便利さを20%くらいの付加価値としてしまいましょう。
12,000円 * 20% = 2,400が付加価値、ベース+付加価値で12,000円 + 2,400円 = 14,400円ですね。
数字も丸しておきたいので、このサブスクの売値は年間15,000円としておきましょう。
ストッキング as a Service、SaaSですね。
絶対に破れないのにわざわざ交換できるサービスでいいの?ってちょっと思わなくもないですが、伝線しない、ボロボロにならない、って機能面は全面的に活用できてるのでヨシとしましょう。
そう考えると、ものすごく寿命の長すぎる製品って実はそんなに需要がないというか取り扱いづらいって言えるのかもしれませんね。
そうそう、こういうそんなに精緻な数字を求めなくてもよさそうなときは、有効数字2桁くらいに丸めておくと計算楽になるのでおすすめです。
◆まとめ
このnote、考えながら書いていたので、ちょっと長くなりましたが、ポイントはこうです。
こういうのは明確な回答があるわけではないですが、こういうロジックと数字で考えました、ってアプローチを見せることが大事なので、多少端折るところがあったとしても、なんでそういう結論にいたったのか、を筋道立てて語ることが重要です。
会話しながら結論を出していくようなパターンだと、このnoteで書いたようなことを面接官と逐一話しながらブラッシュアップしていく、って感じですね。
これからコンサル転職や就職などを考えている各位、ぜひこういった型を身に着けてケース面接を突破してください。
- 残念だけどこういうのは今回はNG
素材の新規性にインパクトがありすぎたせいか、新素材として色んなメーカーへ卸せないか考える、といったコメントが多く寄せられました。
ケーススタディのコンセプトを説明していなかったり、インパクトありすぎる新製品だったこともあるので、仕方ないかなーって思いますが、もしこれがコンサル面接だったら回答としてはNGです。
理由は、お題に"商品企画担当者として新製品の価格を考えてください"って書いてあるのにそれをガン無視していることがひとつ、素材として卸すならせめてどういうメーカーにいくらで売るか、って
新しいお店で出すカレーの値段を考えてください、ってお題に、"このお店はラーメンを作るべきです!"とだけ回答して肝心のカレーどころかラーメンの価格さえ考えてない、って状態ですね。
でも、こういうお題に対して"そもそもこのお題は論点として適切なのか"というクリティカル・シンキングの姿勢をもつことはとてもよいことです。
でもでも、ケーススタディの場合は与えられたお題の解答を考えるようにしましょうね。
- 面接だったらどうするべき?
実際の面接だったら、与えられたお題の前提を確認する、ということで、『この素材をメーカーなどに卸すことは考えないのですか?』という質問をすることはOKというか歓迎です。
論点自体を考えようとしているな、とプラスに捉えます。
もしちょこさんが面接官としてそのような質問を受けたら『事業としてはそのような検討も必要ですが、あなたは今は商品企画担当として自分が考えた新商品の市場価格を検討する、という仕事を与えられている、という前提で解答してください』と回答すると思います。
まぁ、急に新規事業の話になると検討のスケールが大きくなったり提示する前提条件もたくさん必要だったり面接のタイムテーブルにも影響があったりするのでちょっと困るってのもあるんですけどね。
◆オススメの1冊
定番のやつです。
気づいたら新板が出ていました。
※ちょこさんは新板旧版両方持ってます。
総合コンサルの面接向けにはややToo Much感あるんですけど、コンサルとしての課題解決の考え方として学びになる点は多いので、戦略、総合、IT問わずコンサルと名のつく仕事をしたい各位は一度読んでおくことをおすすめします。
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