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分かれ道

一年と少し前から、在宅で仕事を始めた。

私は長年専業主婦で、決まった時間にパート勤務をするには体調面で不安があったため、片っ端から在宅可能な仕事を探した。

最初の仕事は簡単なウェブ記事作成。
仕事内容は易しいものだったけれど、給料は本当に内職程度…もしかしたら、内職の方が良いかもというくらいだった。

そこからライターの仕事をいくつかこなし、今はシナリオライティングの仕事をさせてもらっている。

とはいえ、私はまだまだライターとしては未熟も未熟。
シナリオライターとして、何か誇れるような実績を残せているかと問われれば、答えはNOだ。

そもそもシナリオライターというのは裏方作業的な部分が多いので、人目に触れにくいというのもある。
私の場合、漫画のシナリオ作成に携わらせていただいているので、尚更誰かの印象に残ることは少ないかもしれない。

それでも、私はクリエイティブなことが大好きで、それを仕事にできていることを嬉しくも、ありがたくも思っている。

ただ、前述したように私はまだまだ未熟なライターだ。
私と同じくらいの技量の人は山ほど居るし、私以上のライターだって大勢居る。
つまり、私の代わりはいくらでもいるということ。

だからこそこの仕事は結果がすべてであり、クライアントに納得してもらえるものが書けなければ、仕事を失うことも当然ある。

私はたまたま、ありがたいことに今仕事を頂けているだけ。
この先どうなるかなんて、まったくわからない。
特にここ数ヶ月は、自分自身にそう言い聞かせて仕事をしてきた。

でも気持ちだけではどうにもならないこともあって、私は所詮この程度なんじゃないか、これ以上のものを書ける技術は、今の私にはないんじゃないか…という不安が徐々に膨らみ始めている。

頂いた仕事には誠実に向き合うこと。
これだけは、私は絶対に貫き通すと決めている。
でも誠実さだけで、良いものが創れるわけではない。
クリエイティブの世界というのは、そういうものなんだと思う。

ここでやっていきたいのなら、その悔しさやもどかしさに抗いながら、必死にもがいて食らいついていくしかない。
仕事を辞めるという選択は、今の我が家の状況的に難しいので、ライターを諦めるなら、無理をしてでもパート勤務も視野に入れなければならない。

こんな選択の余地があるだけでも、私はまだ恵まれている方なのだろうと思う。
とはいえ、ライターの選択肢はいつ消えるかもわからないロウソクの炎みたいなものだけれど。

昨年は、人生で一番書いて、書いて、書いた一年だった。
今年もそうでありたいけれど、書き続けられるのかどうか、今の私には正直先が見通せない。

洞窟の中で、どこに通じているのかわからない分かれ道に直面している気分。
ここまで一年かけて歩いてきた道中、私はずっと一人だった。
仕事の理解者は周囲におらず、別に求めていたわけではないけれども、本当に誰からも評価されることもなかった。
この先も、私は多分一人で道を選んで、進まなければいけない。

新しいことをするのは苦にならない人間だけど、一年かけて気がついた。
一人は虚しいし、寂しい。
この先どの道を選んで、どんな未来に行き着くかはわからないけれど、せめて誰かに胸を張って誇れるものを、生きている内に一つくらいは成し遂げたいものだ。

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