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将来の夢がない私

ある日から「将来の夢は何か」と聞かれて答えられなくなりました。

私の小さい頃の夢は「ペットショップの店員さん」でした。
昔から動物が好きで、ホームセンターに行くと奥にあるペットショップに必ず寄っていました。

でもある時、ペットショップの店員さんはアルバイトでもできる夢というには小さすぎる仕事だと気付きました。
ただ動物が好きだからという理由でなりたかったペットショップの店員さんという夢は一瞬で叶えられると知ってしまった。

その日から夢が何かわからなくなりました。

中学に入り、学年があがるにつれて、「やりたいこと」とか「夢」とかについてはあまり聞かれなくなった気がします。

でもふと聞かれた記憶はあって、言葉に詰まってお金持ちになりたいとか、結婚したいとか、働きたくないとか夢がわからなくなった挙句、そんな事を言ったような記憶もあります。

中高生時代はそんな遠い未来のことよりも目の前の日常を楽しむことに精一杯でした。

頭の片隅に「将来」の文字はありましたが、そんなことを考える暇もなく、自分のやりたいこと、なりたい未来像がないまま高校を卒業しました。

大学に入ったのもなんとなくです。
ただ、私の中で卒業したら大学に行くということが当たり前のルートだったのでとりあえず偏差値の高い大学を目指しました。

好きなことや興味のあることはありましたが、将来的にそれに関連する仕事に就きたいかと聞かれると自信をもって「はい」と答えられることが1つもありませんでした。

だからこそ学部を選ぶのにも苦労し、結局就活の幅を狭めない無難な学部に進学することに決めました。

就活の時期になると、ずっと封印していた「自分は何がしたいのか」「将来どうなりたいのか」を急に聞かれるようになりました。

いくら考えても「好きなことはあるけど一生かけてやりたいわけではない」「興味ある仕事は多いけど別に自分が働きたいわけではない」「働きたくない、仕事なんてしたくない」しか出てこず、結論が出ないままぐるぐると同じ考えをループし続けていました。

結局就活が終わる時まで、正直言うと内定が決まった後までもこの会社でいいのか、後悔しないかをずっと考えていました。
これは現在進行形で今仕事をしている段階でもこれから何がしたいのか、ずっとこの会社にいるつもりかと常に自分に問いかけ続けています。

先ほど、自分のやりたいこと、なりたい未来像がないまま高校を卒業したと言いましたが、そう言いながらも実はちょっとだけ夢を思い描いたことがありました。それは「アイドル」と「女優」という職業です。

アイドルになりたいと思ったのは正確には高校生あたりだったと思います。

私は踊ることが好きで、大勢の人前で踊ったり注目してもらう瞬間が好きでした。
プレゼンのような人前で発表することや注目されることは今でも苦手です。
でも、友達からダンスをすごいと褒めてもらったり、舞台や人前に立った時に見える景色が好きで、踊っている瞬間だけは注目されることが嬉しかったんです。
それと、自分がアイドルを好きなことも理由のひとつでした。かわいいのにかっこいいダンスを踊る女性アイドルの姿をみて、初めてこうなりたい、私も同じところに立ってみたいと思いました。

でもその夢もすぐなくなりました。
アイドルになりたいと思った当時、私は安定した普通の環境で学校に通う学生でした。
だから今の生活を諦めるほどやりたいかと問われるとそこまでではない気がして、顔もスタイルも普通だし小さい頃から芸能活動をしているわけでもないなら無理じゃないかという考えに落ち着き、自然と夢は消えていきました。

2つ目の女優という夢をもったのは大学生になって韓国ドラマを見始めたことがきっかけでした。もともと日本のドラマは好きでよく観ていましたが、韓国ドラマを観た時に脚本の面白さと言語もわからないのに伝わる演技力に感動しました。

もともと妄想することが好き(?)でドラマのセリフの言い方を真似したり、自分がインタビューされている設定で1人でやりとりするみたいな変な遊びをよくしていたので(実は今でもよくやっています)なにかになりきることに惹かれた節はあったのかもしれません。
ドラマの世界観に入れて、演技ができて、ファンミーティングなどがあればアイドルと同じように舞台に立つこともできて、これを仕事にできたら楽しいだろうなと。働きたくないと思っていた私が唯一働いてみたいと思える仕事が演技という仕事でした。

芸能界は普通の人が目指すには高すぎる壁で、簡単になれるものではないこともわかっていました。演技がしたいなら小さな劇団やエキストラという仕事もありますが、私は小さくてもいいから演技をする仕事に関わりたいと思えるほど熱心には取り組めませんでした。
今でも少し演技がしてみたいという気持ちはありますが、今の環境を捨てて踏み出す勇気がなく、ただやってみたいなとひたすら思い続けているだけで終わっています。

アイドルという夢も女優という夢もその名前のつく職業に就きたいと思えばいくらでも手段はある仕事だと思います。
でも私は今の生活を手放す勇気も周りの期待を裏切る勇気もありませんでした。

表に出る仕事をしている人は貧乏生活やどん底の生活を経験したことがあるというエピソードをよく聞きます。それはきっと失うものがなにもないくてそこから這いあがろうとする意欲が普通の人よりあるからだと思います。

私は決して不自由ではない安定した生活と環境に恵まれて生きてきました。だからこそ、慎重で、自分より人の目を気にするタイプの私には今の生活を手放すのが怖くて不安定な職業をやりたいと言い切れる自信がありませんでした。

私はこの文章を書きながら、夢をみれるのは現実を知らないからだと思いました。
子供に夢を聞くのは目標を決めて、何があってもそこに向かっていくことは何にも染まっていない子供にしかできないことだからだと思います。
分別がつく年齢になるとあらゆる可能性を考えた結果、可能性を縮めてしまう。だからこそ、将来の夢は子供のうちに必要な質問なんだと思います。

夢や理想に対して直感的に動くことができず、考えれば考えるほど自分の気持ちに蓋をするタイプの私は今現在も夢とかやりたいことを聞かれても明確に答えられないし、今でも将来の夢や理想像がないです。

でも、ちょっとずつ自分の興味のあるとか、それを仕事にできる環境を知って、noteを書いたみたいに新しい一歩を踏み出していけばきっと見つけ出せると思っています。

私と私と同じように夢で悩んでいる人が近い将来、素敵な目標と理想の生活を見つけて充実した毎日を送れますように。

#なりたい自分

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