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「偏差値40に向けて広告を作る」の本当の意味

どうも、マーケターのエルモ(@elmo_marketing)です。

今日は、3年前にはあちゅう氏の広告にまつわるつぶやきが大炎上しました。炎上したツイートがこちら。

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簡単にまとめると、「世の中頭が良い人ばかりじゃないんだから、馬鹿でも理解できる広告を作れ」という教えです。

はあちゅう氏の文章からは人を煽る感じが醸し出されていて、内容も相まって炎上したわけですが、この話はあながち間違いではないと僕は思っています。


広告を見るときはみな偏差値40状態である

 はあちゅう氏のツイートの意は、「世の中にはバカもいるんだから、バカでも分かる広告を作れ」ですが、僕が思うに真意は、「どんなに頭の良い人も広告を見るときはみな偏差値40状態だ」と思っています。

その理由は大きく3つあって、広告が見られる環境と、広告が反応する人の脳によるものです。

広告がでる環境は、逆境そのものである。

そもそも広告が出る環境は逆境そのものです。たとえば2つほど例をあげてみます。

広告が出る環境その1:誰も広告を見たくて見ていない

 あなたは、TVCMやYoutubeの動画CM、Yahoo!のトップバナー広告を毎回好んで見ていますか?また、これらの広告を隅から隅まで、理解しようとしていますか?

 きっと、大半の人は、広告を見たいと思って見ているわけではないと思います。

 広告が出る環境その2:頭が集中していないOFFモードで流される。

 さらに、広告が表示されるメディアが提供しているのは、大半がエンターテインメントです。みな、お笑いを見たり、ドラマを見たり、とにかくリラックスした状態で、コンテンツに触れています。そう、リラックス状態とは、頭を休めている状態のこと。

 「頭が働いていない(働かせる気のない)人に、情報を与え、商品に関心を持たせる」これが広告の役割なのです。

広告に反応するのは馬鹿な脳

次に、広告に反応するのは、"馬鹿な脳"。それは、直感モードの脳が瞬間的に広告に反応するからです。

広告に反応する人の仕組み:脳の直感モードが反応する

 ダニエル・カーネマンは、人間の脳には、「速い思考」と「遅い思考」があると考えました。速い思考は直感的・本能ベースの反応で、遅い思考は論理的に物事を考えたり、ゆっくり熟慮する脳の思考パターンを意味します。

偏差値60、偏差値40などの学力・能力は、「遅い思考」の能力差から生まれています。

 そして、広告がハックするのは「速い思考」です。

 広告を見て「あ、なにこれ?!面白そう!」と感じるときに、わざわざ何分を考えていることはないと思います。まさに直感的に判断しているのです。 

 ちなみに、この「速い思考」は、太古から人間が生存競争を生き抜くために培われたもの。現代社会では、この「速い思考」が長期的な成果には、むしろマイナスになることがわかっています。

「今だけ70%OFF!!」、「キャンペーンは本日まで!」などの甘い蜜に直感的に反応してしまい、無駄な買い物をしてしまったりするのがその一例です。

つまり、論理思考などを司る「遅い思考」には能力差があれど、本能ベースで動く「速い思考」には人に大差はなく、広告に反応する脳はみな偏差値40状態なわけです。

【まとめ】広告が出る環境、人の頭をまとめると・・・

広告が生活者に露出する環境というのは、

1.そもそも人は広告を欲していない
2.広告を見るときは、頭がOFFモードになっている
3.さらに、広告が刺激するのは「速い思考」の脳

広告には無関心で、さらに頭が働いていない人に、広告クリエイティブで商品に気持ちを振り向かせる。これが、広告に与えられた使命です。

あのツイートの真意(というより、僕の解釈として)は、単純に偏差値40の人に向けて広告を作るという意味ではなく、「偏差値40状態の人でも頭にスッと入ってくる広告を作れ」が正しいのだと思います。

 情報を欲してもいない人に、不快にさせることなく、新しい情報を脳に加える。これが広告業が難しくもあり、面白い仕事である理由だと僕は思っています。

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