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『N』読書感想文

今回手に取った本は、道尾秀介さんの『N』です。2巡読了して只今3巡目です。まだ全貌を読みきれていないので3巡目は相関図を書きながら読んでいます。

【あらすじ】
全6章の短編小説。読む順番で世界が変わる。あなた自身がつくる720通りの物語。

すべての始まりは何だったのか。
結末はいったいどこにあるのか。

「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。
定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。
殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。
ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。
殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。

道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える。

集英社ホームページより

全六章の短編小説で語り手は名乗らない。一見するとバラバラのお話ですが、語り手の名前は他の章で知ることになります。

一つ章の中で語り手の感情を知り、他の章で人物像の背景や生い立ちを知ることになります。他の章に登場する語り手はあまりにそっと登場するので、読み飛ばしてしまうことさえあります。どちらを先に読むかお話の印象がガラリと違ってみえてきます。

本は一章おきに上下反転で印刷しているので、読んでいるうちに、どこをどう読んでいたかの迷宮に読者を誘います。

全章で共通しているのは同じ町で生活したことがあることだけだろうか?最後はみんな同じ日に同じ空を見ているのかな?

時系列も老人の子供時代から現代と幅があります。

そのパターンは720種類だそうで、全六章を階乗しています。

タイトルになっている
『N』は自然数
 6×5×4×3×2×1=720通り

1巡目ではその意味がピンとこなかったけど、思わず反芻せずにはいられない面白さにすっかりハマっていました。

人は読みたいところを読みたいように読むし、見たいものを見たいようにみるんだなぁと、つくづく思い知らされます。

若いときに読んだ小説が、大人になって読むと違った意味を持つような感覚をこの1冊、各章の中で楽しむことができました。

あの日、あのとき、あの場所で、出会うこと、思うことは稀有なことで、人は同じではいられないし、日々変化をしているのだと。

そして今日見えている側面だけがその人の全てなんかじゃないと、すごく当たり前なんだけどそんな感想を持ちました。

話の内容は全く違いますけど、スターウォーズが9つのエピソードで構成されているのにちょっと似ているのかな?

3巡目を読了したら、この読書感想文もまた違う印象なのかもしれません。


おまけ
今週手術を終えた君へ

いつも読んでくださり
ありがとうございます。٩(๑❛ᴗ❛๑)۶


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