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【フランスおいしい旅ガイド】アキテーヌの都市別食べ歩き方

美食の国フランス。フランスの各地方には、その風土を活かした料理や伝統的なお菓子があります。フランスを20の地方に分けてそれぞれの特徴をご紹介します。今回はアキテーヌ地方です。

アキテーヌAquitaine

フランス南西部、西は大西洋、南はピレネー山脈、東を中央山塊に囲まれた地方。世界最大の良質ワインの産地ボルドー、ペリゴール、ガスコーニュ、バスクを含む変化に富んだ地方である。長い砂浜がつづく海岸はコート・ジャルダン(白銀海岸)と呼ばれ、素朴な保養地が点在する。紀元前56年にローマの属州となり大いに栄えた。8世紀にはイスラム教徒の侵入を受け、12~15世紀には英仏両国が奪い合いを繰り返した。百年戦争中にはボルドーやラ・ロシェルなどがイギリス軍側の基地として使われた。

アキテーヌ地方の中心は、中世からワインの生産と交易で栄えた港町ボルドー。大西洋岸ビアリッツやアルカッションには避暑客が集う。またこの地方では、造船、機械工業も発達している。内陸部のペリゴール地方は、フォアグラの産地である他、トリュフやセップなどのキノコ類もここが本場。また良質なクルミの産地としても知られる。アジャンの干しプラムは「ハチミツと砂糖の固まり」とうたわれる銘産。ピレネー・アトランティックの南部、ベアルン地方はソース・ベアネーズ発祥の地。一方スペインと国境をまたぐバスク地方は独自の言語と文化を持ち、バスク風と呼ばれる料理にはスペインの影響がみられる。

*アキテーヌ地域圏は、2016年1月1日、リムーザン地域圏、ポワトゥー=シャラント地域圏と統合し、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏となった。

データ
県名:ジロンドGironde、ドルドーニュDordogne、ロット・エ・ガロンヌLot-et-Garonne、ランドLandes、ピレネー・アトランティックPyrénées-Atlantiques
旧地方名:ギヨンヌ・エ・ガスコーニュGuyenne et Gascogne、ベアルンBearn
主要都市:ボルドーBordeaux、ビアリッツBiarritz

特産品
ペリゴールのフォアグラ、トリュフ、クルミ、アルカッションのカキ、ポイヤックの羊、アジャンの干しプラム、バイヨンヌの生ハム

おすすめのお土産
ワイングッズ、フォアグラの缶詰、クルミのリキュール、干しプラムやジャム、バスクの布製品

■都市別ガイド

ボルドーまではパリからTGVか飛行機で。TGVで約3時間。飛行機だと1時間10分。私はパリからポワティエ、リモージュを通ってペリグーに入り、そこから南下してサルラ、ボルドーと電車でまわった。

●ボルドーBordeaux


アキテーヌ地方の中心都市は、ワインの積出港として古代ローマ時代すでに繁栄していたボルドー。ピレネー山脈に源を発するガロンヌ川と、東の中央山塊から流れ込むドルドーニュ川が、ボルドー市の北で交わり、ジロンド川と名を変えて、大西洋に流れ込む。この3つの川の両岸に、世界中の人々を魅了する偉大なるボルドーワインを産み出すぶどう畑が広がっている。イギリス支配下にあった時はイギリス本土相手にシェアを拡大し、後に世界に知れ渡るところとなる。ボルドーはパリに似た瀟洒な建物が並ぶ、南西部きっての大都市。ハイテク、健康食品、航空宇宙産業が栄える。伝統と新しい技術の融合を目指しているとか。川幅500m以上の堂々たるガロンヌ川が街の北東をゆったりとカーブして流れ、大胆な景観をつくる。「3人のM」といわれるモンテーニュ、モンテスキュー、モーリアックを輩出した街でもある。

モデルコース
キャプサン市場→ボルドーで一番美しいといわれるトゥルニー通り→サン・タンドレ大聖堂→大劇場→カンコンス広場→お菓子屋さん(所要半日)

観光スポット
□サン・タンドレ大聖堂(Cathedrale St.Andre)
尖塔が2本高くそびえるカテドラル。1137年にここでアキテーヌの女性領主エレノールが結婚式を挙げた。11~16世紀ゴシック。北側は高さ85m。手前右手には、かつてボルドー大司教の住居だった市庁舎。紋章は英国のレオパール、フランスの3つの百合、そしてアキテーヌの三日月が合わさったもの。北門はレーザー光線で掃除したそうで、真っ白。黒ずんでいる13世紀のロワイヤル門から中に入る。建物はローマ十字。東に祭壇。7つのチャペル。ステンドグラスは新しい。ボルドーは鉄工芸が有名で、その曲線が美しいという。北のバラ窓の下に、Xの十字架を持つサン・タンドレ。聖母マリアの母である聖アンナの像は16世紀のもので、衣服のひだが素晴らしいそうだ。ジャンヌダルクの像もある。

□大劇場(Grand Theatre)
18世紀の代表的な建築物。フランスでもトップクラスの劇場。コリント様式。

□カンコンス広場(Esplanade des Quinconces)
面積が12万㎡もあるヨーロッパ最大の広場。高さ 50mのジロンド党記念碑もある。これは恐怖政治時代、ロペスピエールによって断頭台へ送られたジロンド派の人々を追悼して建てられた塔である。下部を飾る噴水に複雑な彫刻が見られる。もとはお城、今は公園となっている。11月にはハム市が立つ。

お菓子屋さん
□Antoine:アントワーヌ
19, cours Portal, 33000 Bordeaux Tel: 05.56.81.43.19
カヌレ・ド・ボルドーが一番おいしいと言われている店。ボルドーにはカヌレ組合なるものが1985年にできて、加盟店は150店ある。ここもその1軒。隣はチョコレートの専門店になっていて、ワインのボトル型のチョコレート(実物大)や、樽型のボンボン・オー・ショコラがある。オーナーさんが出てきて、厨房を見せてくれ、焼き立てを試食させてくれる。まさに外はパリっ、中はしっとり。焼き立てはとてもおいしい。(2000/8/19)

グルメスポット
□Marche des Capucins:キャプサン市場
屋内の常設市場。野菜、果物、肉、魚などが並ぶ。夏でもカキを売っている。奥の方のパン屋でトゥルティエール(ポム、レザン、プラムのパイ)発見。チーズ屋にはロカマドールや山のチーズ、そして真っ黒なトゥルトー・フロマージュもある。ハム屋には生ハム。(2000/8/19)

レストラン
□La Tupina:ラ・チュピナ
6, rue Porte de la Monnaie, 33000 Bordeaux Tel: 05.56.91.56.37
ビストロ。チュピナとはバスク語で鉄鍋のこと。入口に大きなかまど。豪快で素朴な料理。フランスの某有名パティシエおすすめ。雑誌には「田舎の農家に招かれたような豪快で素朴なもてなし」と紹介されている。(2000/8/19)

●サン・テミリオンSt.Emilion


サン・テミリオンはかつて、スペインの聖地、サンチャゴ・デ・コンポステーラへ行く巡礼が訪れる宿場町として栄えた。1999年ユネスコの世界遺産に認定された中世の街、ぶどう畑の街である。ぶどう作りの歴史は古く、3世紀にローマ人が初めて訪れ、4世紀にやって来た“ぶどう作りの詩人”が広めたという伝説が残る。ボルドー市街から車で1時間。

観光スポット
城壁の街サン・テミリオンの中心にそびえるのは12世紀の鐘楼。カデーヌ門をくぐると、細い路地が中世の面影。つるつるすべる急な石畳の坂道を登って、下の広場と呼ばれるマルシェ広場へ。さらに両側に店が並ぶ道を登ると、上の広場と呼ばれる教会前広場へ。この教会は、9世紀に1枚岩をくり抜いて造ったというモノリット教会(Eglise Monolithe)の上に造られた。

お菓子屋さん
□Madame Blanchez:マダム・ブランシェ
9, rue Guadet, 33330 Saint-Emilion Tel: 05.57.24.72.33
1620年に村の修道院の修道女達によって作られたというレシピを忠実に守っているという店だ。優しそうなマダムに話を聞く。マカロン、カヌレ、Cru de Bordeauxというコルク型のチョコレート菓子や、Pave de Saint Emilionという生チョコなどがある。(2000/8/19)

□Matthieu Moulierac:マティウ・ムリエラック
rue de Tertre de la Tente, 33330 Saint-Emilion Tel: 05.57.74.41.84
坂道の途中にあるマカロン屋さん。中のアトリエで次々とマカロンを焼いている。ちょうど若い男性がテーブルの上に形づくって並べられた生地に、化粧パフのようなもので粉糖をつけていた。笑っちゃうくらい素早い動きで。(2000/8/19)

グルメスポット
□Le Cellier de Saint Emilion:ル・セリエ・ド・サン・テミリオン
4, place du Marché, 33330 Saint-Emilion Tel: 05.57.24.69.76
マルシェ広場に面するワイン屋さん。ガイドにものっている。待ってましたとばかりに奥のカーヴを案内される。そしてなんと私のバースデーヴィンテージのワインが3本も並んでいるではないですか。お兄さんに1本選んでもらって買いましたよ。Ch.La Couspaude(AC St.Emilion、Grand Cru Classe)550FF。実はお宝ワインがざくざくだったらしい。(2000/8/19)

□Ch. Franc-Mayne:シャトー・フランク・メイン
33330, Saint-Emilion Tel: 05.57.24.62.61
石灰岩台地の上にあるサン・テミリオンには、かつて石灰岩を切り出した石切場が多くあったため、その後をセラーに改造したシャトーが多い。このシャトーもその1つ。サン・テミリオンのワインにはピラミッド状に階級がある。9000件のシャトーがあり、栽培面積は5500ha。ぶどう品種はメルロが90%、カベルネ・フランが10%。こちらのシャトーは1996年から現オーナーが所有(彼はサン・テミリオンに3つのシャトーを持っている)。元々「Mandarin Napoleon」というミカンのリキュールを作っていて、大成功を収めたそうだ。

ヘクタールあたりの生産量は40hl/ha。年間5万本を生産。うちファーストラベルは4万本。残りは「Les Cedres de Franc-Mayne」(ヒマラヤ杉の意)というセカンドラベルになる。収穫は、8月にVendange Verteといって、ぶどうの摘房化を行う。そして9月に40名のアルバイトを雇って、健全で、完熟した房のみを手摘みで収穫。さらに選別し、除梗・破砕し、畑ごとにコンクリート漕に入れて1週間から10日間のアルコール発酵。漕内にパイプを通して、そこに水を流して、32℃以下に保つ。酵母を入れることもある。それから2週間の醸し。その間に2回、液を循環させる。その後バリック樽に移して、石切場で18ヶ月の熟成。1/3は新樽を使用。3ヶ月に1回澱引きする。収穫の翌々年の4、5月にブレンドしてコンクリート漕に移して、卵白を入れ、1ヶ月から45日間おいて清澄化。残った卵黄はカヌレにするとか。カヌレの残りを使うという説も。そしてフィルターにかけて、6、7月に瓶詰め。出荷はその年の暮れ頃。

畑は粘土石灰質。雑草を所々残している。なぜならテロワールを出すには、ぶどうが苦しまないとだめなので。ぶどうの味見をさせてもらう。4週間前に撒いたという農薬にびくびくしながら口に含むと、すでに甘い。今年は良い年になるのだろうか。次に案内してくれた石切場はひんやりと涼しい。一部地層が見えるように地表までくり抜いてあって、天井が透明になっている。石は30x30x60cmに切り出すと決まっていたのだそうだ。ぐるりと回って、お待ちかねの試飲。1997年のファーストラベルはタンニンがしっかりしていて、鉄や皮の味わい。3年くらいでタンニンが落ち着き、よくなるとか。寿命は10年ほど。一方のセカンドは、タンニン・酸・アルコールのハーモニーがあり、赤いフルーツのニュアンス。5年以内に飲んで欲しいとのこと。(2000/8/19)

レストラン
□Hostellerie de Plaisance:オステルリ・ド・プレザンス
place Clocher, 33330 Saint-Emilion Tel: 05.57.55.07.55
元1ツ星レストラン。外のテラスからは、すすけた石造りの家が見渡せる。(2000/8/19)

●ダックスDax


ランデ地方。ダッコワーズの発祥の地。

お菓子屋さん
□La Tourtière:ラ・トゥルティエール
rue Saint-Vincent, 40100 Dax Tel 05.58.74.00.75
ダッコワーズ、パスティス・ランデあり。(2000/8/24)

●ヴィルヌーブ・シュル・ロットVilleneuve sur Lot


お菓子屋さん
□Favols:ファヴォル
B.P.249-Bias-47305 Villeneuve sur Lot Cedex Tel: 05.53.40.25.50
プルーンで有名なアジャン近くのジャム工場。ここでは40種類の果物のコンフィチュールやコンポート、砂糖漬け、アルコール漬けを作っている。プリュノー・フーレ、干しプラム、各種ジャム、プラムのカオールワイン煮もおすすめ。 工場を案内してくれて、試食もさせてくれた。(2000/8/21)

<ジャムの作り方>
果物とシロップを釜で混合する。この時シロップは果物の糖度に合わせて、自動的にコンピュータで計量される(大体果物60%、砂糖40%の割合)。合わさった果実とシロップは、煮込み用タンクに移され、80℃で45分間煮込まれる。瓶に充填された後、ベルトコンベアー式の90~100℃の蒸気殺菌機で15分間殺菌される。風味が飛ばないように、充填後に殺菌している。このようにして作られたジャムは4年位保存できる。

そしてお土産といったらプリュノー・フーレPruneaux d'Agen Fourres。プリュノーとは干しプルーン(プラム)のこと。このプリュノー・フーレは、プリュノーの中身を一度取り出してピュレ状にし、砂糖とリンゴのピュレを合わせて再び詰めたもの。3つの味がある。
●プリュノー Pruneaux(プリュノー味、ナチュラルとも呼んでいた)
●アマンディーヌAmandine(アーモンドペーストとアルマニャック漬けレーズンを詰めたもの)
●オランジェットOrangette(プリュノーとリンゴのピュレにオレンジの皮のコンフィを加えたもの)

<バスク地方>

バスク地方は、フランスとスペインの国境をまたいでピレネー山脈の両側に広がる地域。フランス側の面積は10%ほど。バスク民族はインド・ヨーロッパ語とは全く異なる言語を持ち、独特の伝統や風俗を今も守っている。ちなみにバスクの象徴といえば緑・白・赤の国旗とベレー帽。また、バスク民族は力持ちで勇壮な民として知られる。ピレネー山麓の丘には民家が点在し、羊がのんびり草をはむ。

西は大西洋、東はピレネー山脈という、海と山の自然に挟まれたこの地方は、食も豊か。海の幸では、マグロを土鍋で煮込んだ「マルミタコ」、イカの墨煮の「シピロン」、バスク風魚介のスープ「トロ」など。山の幸は、バイヨンヌの生ハム、エスペレット村の唐辛子、唐辛子の入ったピーマンとトマトの煮込み、またはこれに生ハムを添えスクランブルエッグにした「ピペラド」、鶏の唐辛子入りトマト煮込み「鶏のバスク風煮込み」など。

また、バスク織りは、牛の背にかける麻布として使われていたもので、生成の丈夫な厚手の麻に、紺か赤でバスク地方の7つの県を表すという7本の縦縞が織り込まれている素朴で力強い織物。

●バイヨンヌBayonne


バイヨンヌは、フレンチ・バスク地方の文化と経済の中心地。アドゥール川とニーヴ川がここで合流し、街を3地域に分けている。ニーヴ川の西、グランド・バイヨンヌには大聖堂がそびえている。大聖堂の北は、石畳のショッピング・モール。名産の生ハムやチョコレートの店が並ぶ。

バスクの名物で忘れてならないのがチョコレート。ヨーロッパでは最初にスペインにカカオが到達し、ここからピレネーの山を越えてフランスはバスクに伝わった。というわけで、フランス最初のチョコレート工場はここバイヨンヌにできた。以後バスク地方にはチョコレート専門店やベレ・バスクBeret Basque(ベレー帽の形をしたバスク風チョコレートケーキ)のようなチョコレート菓子が多い。

アクセス
パリ・モンパルナスからTGVで約4時間40分。ボルドーからTGVで1時間40分。

観光スポット
□サント・マリー大聖堂(Cathedrale Ste-Marie)
建築は13世紀半ばに始まったが、途中15世紀にイギリスからフランスに統治国が変わり、その変遷が大聖堂の装飾に現れている。

お菓子屋さん
□Cazenave:カズナーヴ
19, rue Pont-Neuf, 64100 Bayonne Tel: 05.59.59.03.16
3代続くチョコレート店。サロン・ド・テもある。ガトー・バスク、ベレ・バスク、トゥーロンなど。(2000/8/24)

□L'Atelier du Chocolat de Bayonne:ラトリエ・デュ・ショコラ・ド・バイヨンヌ
チョコレート屋さん。(2000/8/24)

グルメスポット
□Terroires:テロワール
3, place Pasteur 64100 Bayonne Tel: 05.59.59.12.49
バイヨンヌの酒屋。フランス最南西AOCイルーレギィIrouleguyのワインあり。タナ種主体。(2000/8/24)

レストラン
□Auberge de la Galupe:オーベルジュ・ド・ラ・ガルュプ
Port d'Urt, 64240 Urt Tel: 05.59.56.21.84
バイヨンヌの近くのウルトという村にある2ツ星レストラン。ルレ・エ・シャトー。シェフChristian Parra氏はピペラドの権威で、素材をとても大切にしているそうだ。アドゥール川沿いの白い壁に赤い梁の建物はバスク風。建物は1659年の梁や石を利用しているそうだ。内装はクラッシックでゴージャス。貴族の応接間風。入口のカウンターはカヌーを意識しているとか。(2000/8/23)

●ビアリッツBiarritz


ビアリッツはもともとは小さな漁村だった。ヴィクトル・ユーゴーは、1843年に恋人のジュリエット・ドルエと共に訪れた印象をこう記している。『ビアリッツは、赤茶色の屋根と緑の鎧戸の家々が、芝とヒースの小高い丘のなだらかな起伏に沿って立つ、白い村だ。村から出て、砂丘に下りて、踵の下で砂を崩しながら歩いていくと、突然、平らに整った砂浜の中に、複雑に入り組んだ岩の迷路が現れる。…それが、波の間、真っ青な空、太陽、光と影、海の泡、風の音の中にある。』

そして19世紀には、スペインの貴族が休暇を過ごすようになる。華やかな時代の皮切りは1854年。ナポレオン3世が妻のユージェニーに連れられてやって来たことにある。この海岸の美しさの虜になった彼は、即刻海岸に広大な敷地を買い、10ヶ月という異例の速さで夏の王宮を建設させた。それが「ヴィラ・ユージェニー」だ。その後ほぼ毎年、夫妻はここで夏を過ごし、ヨーロッパ各国の王侯貴族を招いた。

ナポレオン3世失脚後、館は売りに出され、1893年に高級ホテル「オテル・デュ・パレ」となる。ヴィクトリア女王、エドワード7世をはじめ、各国の貴族がこぞって押し寄せ、ビアリッツの名はベルエポックのリゾートの象徴として世界に知られることとなった。この時代から、海岸に沿ってヴィラと呼ばれるアール・ヌーヴォーからアール・デコに至る様式の邸宅が並んだ。時は流れ現在は、サーフィンやゴルフ、カジノが楽しめる高級ビーチリゾートである。

お菓子屋さん
□Paries (La Maison du Kanouga):パリエ
27, place Clemenceau, 64200 Biarritz Tel: 06.69.22.07.52
トゥーロンの専門店。マカロンに興味を示した我々に、マダムは試食を勧めてくれる。小さなベレ・バスク、ガトー・バスクあり。(2000/8/24)

□Henriet:アンリエ
1, place Clemenceau, 64200 Biarritz Tel: 05.59.24.24.15
ビアリッツ1のチョコレート専門店。ここの主人は近くに「チョコレートがバスクの大切な産物であることを理解してもらうため」とMusee du chocolat(チョコレート美術館)を建てたという。チョコレートのガトー・バスクがあるのはおそらくここだけ。(2000/8/24)

レストラン
□Le Clos Basque:ル・クロ・バスク
12, rue Louis Barthou, 64200 Biarritz Tel: 05.59.24.24.96
雑誌に「ライトで現代的なバスク料理の店」と紹介されている。テラスもある。どの料理もあっさりしていて、大満足。特に程良く火が入ったイカは絶品。魚もおいしい。パイもさくさくしていていい感じ。(2000/8/24)

●サン・ジャン・ド・リュズSt.Jean de Luz


サン・ジャン・ド・リュズは、ニヴェル川の河口に開けた小さな町。華やかなビアリッツと対照的な落ち着いた海辺の街。港は活気に溢れ、大量のイワシやマグロが水揚げされる。庶民のビアリッツというところか。街はなかなか賑わっている。我々の目的はマカロン。

アクセス
バイヨンヌからイルンIrun(スペイン)行き急行で約30分。

観光スポット
□サン・ジャン・バティスト教会(Eglise St-Jean Baptiste)
フランスで最大のバスク教会。一種独特な雰囲気。ここで1660年ルイ14世がマリー・テレーズと結婚式を挙げた。

お菓子屋さん
□Maison Adam:メゾン・アダム
6, place Louis ⅩⅣ, 64500 St.Jean de Luz Tel: 05.59.26.03.54
マカロンの老舗。食べ比べの結果、イチ押し。(2000/8/24)

●サン・ジャン・ピエ・ド・ポールSt.Jean Pied de Port


スペイン国境に接する山間の要塞都市。かつてはフランスとスペインにまたがって栄えたナヴァール王国の都市だったという。また中世には、サンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者がスペイン領へ入る直前に通過する、重要な宿場町でもあった。

アクセス
バイヨンヌから急行で約1時間。

観光スポット
□プチトラン
プチトランに乗って観光すると、運転手さんが早口で案内してくれるが、何を言っているのかはわからない。指差されるがままにとりあえず視線だけ送ってみる。いくつも門をくぐり、町を一周しているようだ。メインストリートとおぼしき所は観光客で賑わっていて、かわいらしい店が並ぶ。トランは狭くて急な坂道をがんがん登って、スリリング。ピレネー山脈が一望できる場所が終点。そこからのんびり歩いて降りて来なさいということらしい。

お菓子屋さん
□Barbier-Millox:バルビエ・ミロックス
rue de la Citadelle, St.Jean Pied de Port
ガトーバスクあり。(2000/8/23)

□Patisserie Primo:パティスリー・プリモ
rue de la Citadelle, St.Jean Pied de Port
ガトーバスクあり。(2000/8/23)

グルメスポット
□Helena:ヘレナ
テーブルクロス、タオル、エプロンなどが揃っている高級バスク織りの店。厚手の麻製とやわらかい綿製がある。種類も色々とあり、迷うところ。エプロンコーナーでは店の人も混ざって、ファッションショー状態。(2000/8/23)

●ポーPau


ピレネー山脈に臨む高台の上に築かれた町。ピレネー大通りからの抜群の眺望により、南フランス有数の観光地、保養地となった。ブルボン王朝の創始者アンリ4世の生誕地としても有名で、彼の生まれた城が現在も残っている。

グルメスポット
□Larrondoa:ラロンドア
64120 Arhansus Tel: 05.59.37.83.81
ポーからサン・ジャン・ピエ・ド・ポールへ向かう途中にあるオッソー・イラティを作っている農家。オッソー・イラティは、かつてはピレネーの西域で作られる山の羊チーズの総称だった。羊は400頭飼っているが、今は山に放牧していて、80頭の仔羊のみがここにいる。その仔羊とも感動の対面。初めは無視してえさを食べつづけていたが、カメラを向けるとなんとなくこっちを向いてくれる。(2000/8/23)

レストラン
□L'Entracte:ラントラクト
町中のレストラン。外のテラスが気持ちよい。生ハム、ピペラド(バスク風ラタトゥイユ)にバスクを感じる。(2000/8/22)

<ペリゴール地方>

ペリゴールはガストロノミー、先史時代の遺跡、中世の建造物、ドルドーニュ渓谷の自然が楽しめる地方。フォアグラ、トリュフの産地でもある。

●ペリグーPerigueux


ペリグーはペリゴールの中心都市。旧市街にはルネサンス期の館も残り、レストランや惣菜屋はフォアグラを安く提供する。町はガリア・ローマ時代には南西部が栄え、中世以降は北西部に中心が移った。ラスコーなど先史時代の遺跡を巡る拠点でもある。そのためぺリゴール地方全体の観光案内所(Espace Tourisme Perigord)と、普通のぺリゴールの観光案内所がある。

アクセス
ボルドーから電車で約1時間30分。パリからリモージュ乗換えで約4時間30分。

観光スポット
□サン・フロン大聖堂Cathedrale St.Front
パリのサクレ・クール寺院も手がけたアバディが設計した大聖堂。

□LascauxⅡ:ラスコーⅡ
ラスコー洞窟の壁画は、世界で最も見事な先史時代の芸術の1つとして知られているが、1940年犬を探して洞窟に入り込んだ少年達によって発見された。雄牛や馬、鹿などが生き生きと描かれているのに対し、人間は小さく記号化されているので、狩猟の祭りの儀式が行われた跡だろうと考えられている。発見された当初は中に入って見学できたのだが、人の息に含まれる二酸化炭素や水蒸気が壁画を傷めることが判明したので、1963年に閉鎖された。その代わり、100mほど離れた所に、岩の形から主要な壁画までを忠実に再現したラスコーⅡが作られ、1983年から公開されている。

ラスコーⅡには1日に2000人まで入場できる。7、8月のハイシーズンは混み合い、40人づつのグループが10分毎に出発する。フランスには珍しく時間通りなのだとか。英語のガイドさんの下、イミテーション洞窟のツアーがスタート。はじめに入口付近で顔料や描き方の説明があり、それから中にぞろぞろと入って、ポインタを使って主要な絵の解説をしてもらう。1万5000年の昔に思いをはせる。

グルメスポット
□Salette:サルト
3, rue Denfert Rochereau
パリにも支店があるフォアグラ屋さん。店内はメーカーの展示場のようで、フレッシュなフォアグラから缶詰、瓶詰、贈答用セットなどが並んでいる。箱入りのクルミのケーキもある。(2002/9/2)

レストラン
□Ch. de Puy Robert:シャトー・ド・ピュイ・ロベール
24290 Montignac Tel: 05.53.51.92.13
ラスコーのそばのモンティニャックにある1ツ星レストラン。ヴェゼール川のほとり。ルレ・エ・シャトー加盟。(2000/8/20)

●レ・ゼイジーLes-Eyzies-de-Tayac


アクセス
ペリグーから電車で約30分

レストラン
□Le Centenaire:ル・サントネール
Les Eyzies-de-Tayac, 24620 Tel: 05.53.06.68.68
ルレ・エ・シャトー・ホテル。レストランは2ツ星(2002年現在)。宿泊地を決めるのに、レストランから探したので、レ・ゼイジーがどんな町か知らなかったが、どうやら周囲には遺跡が色々あるらしい。料理はとても洗練されていて、意外に軽い。お肉の量はかなり多かったが、2星のディナーコースが58eとは驚き。やはり地方は安くておいしい。(2002/9/2)

●サルラSarlat


サルラは14世紀から交易出で栄えてきた町。時を経てもかわらない中世の石造りの家並みには、ぺリゴールの美味がちりばめられている。ぺリゴール1有名な朝市は土曜日なので、この日は残念ながらその活気は見られない。町はこじんまりとしていて、小洒落たお土産屋さんや、ワイン屋、フォアグラ屋などが並び、見ていてあきない。

お菓子屋さん
□R.Mertz
33 rue de la Republique, Sarlat-la-Canéda
クルミケーキ、カラメリゼされたクルミles "Croquants aux Noix"、クルミのタルトなどが並ぶ。(2002/9/3)

□A.Bazin
22 rue de la République, Sarlat-la-Canéda
クルミケーキ、クルミタルト、クルミヌガーなどがある。(2002/9/3)

グルメスポット
□Tout sur la Noix
6, rue de la République, Sarlat-La-Canéda
クルミ専門店。クルミはもちろん、クルミオイル、クルミビネガー、クルミのハチミツ、クルミのパスタなんていうのもある。クルミのケーキは3種類。ノーマル、栗粉入り、プルーン入り。お土産用に真空パックのクルミもある。(2002/9/3)

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