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夜十時、大隈講堂前。

休職した。
入社4ヶ月目。

今年の新入社員は使えない。
東洋経済あたりが嘆く声が聞こえる。

会社も、職場も、同僚も、大好きなのに。

入社4ヶ月目。
休職した。

うまくできなかった、また。
また、打ちのめされてしまった。
また、鬱になってしまった。
また、逃げてしまった。
こんなに早く。

帰宅する気はもちろん起きなかった。
散歩に出た。

コンビニで金麦を買って、
散歩に出た。

気がついた時には、
大隈講堂前に流れ着いていた。

気がついた時には、
大隈講堂前で何本目かの金麦を飲んでいた。

令和二年、八月。
例年とは違う夏。

夜十時。
お店はぽつぽつと自粛を始める。

ぽつぽつと、学生が二、三組、
行き来し始める。

大隈講堂で、
おのおの、時間を過ごし始める。

ギターの練習を始める人もいれば、
いちゃつき始める人もいる。

歌い始める人もいれば、
黙々とビールを飲む人もいる。

スト缶片手に人生を語り合う人達も、
たくさんいる。

みんないろいろな哲学をもって、
いろいろな悩みをもっているのだな。

そんな、夜十時。
大隈講堂前。
令和二年、八月。

僕は、また逃げ出してしまった。
大隈講堂前の心地よさに、
逃げ込んでしまった。

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