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小麦粉のはなし

「君は、就職がしたいのか?
    仕事がしたいのか?」

若い時に何かで見たか聞いた、
この言葉がずっと頭の中にある。


自分では、そんなに食べもしないお菓子を
たくさん作って遊んでいると、

「私は何をしたいのだろう?」

というか、

「私は何を知りたいんだろう?」

と漠然と思うことがある。

"趣味"とひとくくりにしていたけど、
それとも少し違うような気もしている。


誰かを喜ばせるためだけに、
お金と労力をかけて
こんなことをずっとやり続けてる…

でも、実のところ
私にそんなボランティア精神などない。

誰かが喜んでくれているのは、
やっていることの結果だし、
私も嬉しいこと。

でも、ずっと満足しないし、
やり続けてるって、きっと、
何かを知ろうとしているのではないかと、
そんな風に思う。

何を知ろうとしているのか?

自分に問いかける。



何度も図書館で借りてる本がある。

この本を読むたびに、

「私が好きなのは、お菓子を作ること
 ではなくて、小麦粉自体なのかも」

と思うのだ。

これまで使った小麦粉、
工夫してきたこと、
上手くいかなかったこと、
疑問におもってたこと、

それらは、"点"

この本と出会い、全てが繋がって
点が線になった感覚になった。

特に、海外生活での小麦粉自体が、
私の核になっていると感じる。

どの店の、どの小麦粉で、
どんなものが作れるか?
何の情報もなくて、
そこにある小麦粉を使ってみてしか
聞くことが出来なかった。

今の時代に、
情報がない、敢えて情報なしで、
何かをする方が難しい。

当時は、調べても有益な情報が
あまり見つからなかっただけなのだが…

小麦粉を知りたい。

この粉は、このお菓子に向いてる。
とか知識が欲しいんじゃない。
みんなが知ってることとか、
誰かが言ってることではない。

そんなの、どうでもいい。

でも、どうなったら
自分が満足できるのか、
それがよく分からない。

でも、とにかく小麦粉が知りたい。

だから、やみくもに作り続けている。


"趣味"って言うと、みんなには
伝わりやすいけど、
本当はみんな、もっと深い世界を
見ようとしているんじゃないかと思う。

少なくとも、
私はそう言う人が、好きだ。

これが、俗に言う

「自分の世界」

ってやつなのかな。


小麦粉を知りたい。


つまり、

自分を知りたい。

趣味は、自分を知るための手段過ぎない。
のかもしれないな。

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