子どものことを話せる相手って、誰だろう
「お母さん、これからはお子さんのこと、一緒に考えていきましょう。」
久しく”嬉し泣き”をしていなかった私が、涙を流した瞬間だった。
9月からの私の本格的な仕事復帰に伴い、子どもたちは託児所に通い始めた。
我が子は、3才になったばかりの娘と1才の息子の2人。
仕事を始めて良かったと、子どもたちを託児所に通わせて良かったと、心から思った話。
*
仕事が終わり、いつも通り私が託児所にお迎えに行ったとき。
子どもたちの汚れた衣類などをカバンにしまっていると、ふいに保育士さん(いつもの呼び方で、これからは”先生”ということにする)に「お母さん・・・」と小さな声で話しかけられた。
「娘ちゃん、お友達からおもちゃを奪っちゃったり、頑なに貸さなかったり、最近そういう姿が見られるんです。家ではどうですか?」
先生は園での娘の様子を聞かせてくれた。
託児所の先生によると、どうやら「娘ちゃんは頑張りすぎている」ようだ。
「もっとできなくて、良いんです。」
先生はそう言っていた。
思い返せば、私は娘に全然手をかけてあげられなかったのかもしれない。
1才8ヵ月のときに下の子が生まれたし、最近は何でも自分で「やる!」って言うからやらせてた。
けど、もっともっと私に側で見ていてほしかったのかもしれない。
その気持ちをうまく消化できなくて、おもちゃを奪ったり、ネガティブな行為をしちゃっていたのかもしれない。
娘は私の知らないところで、1人で頑張っていた。
それに気づいたとき、娘の小さな頭と心の中で感じていた気持ちを想像したとき、涙が出た。
ごめん。ごめんね。一人で頑張らせちゃって。
そして冒頭の言葉だ。私の涙を見てか、先生も目も赤くなっていた。
「お母さん、今まで誰も頼る人がいなくて、1人で頑張っていたんですね。すごいです。これからはお子さんのこと、一緒に考えていきましょう」
もっと私の涙が赤くなったのは言うまでもない。
*
子どものことを話せる人って、私にはいなかった。
ママ友は、何人かいる。
ママ友だから子どもの話が中心になるんだけど、ママ友のそれは方向性が違うというか。
私の感覚では、ママ友とする「子どもの話」は「子どものできないことを話す」という感じ。
「うちの子全然食べないのよねー」
「うちは夜全然寝なくてさ!」
「ママじゃないとダメみたいでさー」
ママ友と話していて「わかるわかる!うちも!」という話題を、無意識に探している。
それに、人の子どもってそんなに興味がないでしょう。
「これ以上話すのはやめよう」って、私は思ってしまう。
一方、私が思う「子どもの話ができる相手」というのは、「子どものできたことを言える人」。
それは私たち夫婦の場合、両親&義両親。
「娘が字を書けるようになったんだー!」
「息子が走れるようになったよ!」
どんなことを言っても、「すごいね!」って喜んでくれる。
私も子どもたちも、そして家族もみんなハッピーになる。
ただ、うちは両実家が遠くて頻繁に会える距離ではないし、連絡の頻度もLINEでたまにという感じ。
だから、あまり日常的に、子どものことを両親に話すことはなかった。
結局、私は夫以外に子どものことを話せる人はいなかった。
そんな夫も以前は帰りが遅かったから、本当に一人だったと、今は思う。
でも託児所に通って、先生に出会って、「子どもたちのこと一緒に考えましょう」って言ってもらえて。
それを聞いて私、一番に思ったのが”子どものこと、そんなに話して良いの?”ってこと。
子どものこと話して迷惑じゃないの?
自慢だって思われない?
うちの子どもに興味ある?
でも、そっか。先生は、先生なんだ。
1人1人の子どもを、責任をもってみてくれてる。
だからむしろ、子どものことは積極的に話した方が良いんだ。
託児所に通って約1ヵ月、ようやく私はそのことが分かった。
毎朝、「今日は先生に〇〇のことを伝えよう」って自然に考える。
その時間が楽しい。
ああ、私、子どものことを誰かに話したかったんだ。
*
目の前にいる2人の子どものことを、何でも話せる相手。
私が仕事を始めるまでの数ヵ月、毎日がとても辛く感じていたのは、それができない環境に限界を感じていたからだ。
仕事を始めて、保育士さんと出会って、本当に良かった。
私の選択は間違っていなかった。
*
同じように、育児が辛いと悩む方がいるかもしれない。
私みたいに、核家族で、専業主婦/夫で、両実家が遠方だったり頻繁に連絡をするわけでもなかったり、夫/妻の帰りが遅くてほぼワンオペ状態で育児をしていたり、
そういう人って多分、いるんじゃないかな。
私の体験談だが、それで育児が辛いと感じるのなら、「子どものことを一緒に考えてくれる人」を見つけるのが、解決の1つになると思う。
今、子どもたちと一緒にいる時間がとても愛おしく感じている。
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