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子どもの話ができる相手

「お母さん、これからはお子さんのこと、一緒に考えていきましょう。」

久しく”嬉し泣き”をしていなかった私が、涙を流した瞬間だった。



専業主婦だった1年半前、
私は「生活を変えねば」という思いで仕事を始めた。

当時子どもたちは3才&1才。
彼らは保育園に通い始めた。

保育園生活も1ヶ月が過ぎた頃、真剣な顔の先生から話された内容はこうだ。

「上の娘ちゃん、お友達からおもちゃを奪ったり、頑なに貸さなかったり、最近そういう姿が見られるんです。家ではどうですか?」

思い返せば、私は娘に全然手をかけてあげられなかった。 

1才8ヵ月のときに下の子が生まれたし、当時の私は自分でもおかしいと思うほど毎日イライラしていた。


娘は、本当はもっと私に甘えたかったのかもしれない。


その気持ちをうまく消化できなくて、おもちゃを奪うなどのネガティブな行為があったのだろう。

娘は1人で頑張っていた。

それに気づいたとき、娘の小さな頭と心の中で感じていた気持ちを想像したとき―――


私は自分を責めることしかできなかった。



しかし、ここで冒頭の言葉だ。

「お母さん、今まで誰も頼る人がいなくて、1人で頑張っていたんですね。
すごいです。これからはお子さんのこと、一緒に考えていきましょう」


私の目が赤くなったのは言うまでもない。

 





先生の言う通り、育児で頼れる人が私にはいなかった。

両親や義両親はどちらも遠方だったし日常的にLINEをするような関係ではない。

それに当時の夫は帰りが遅かったし、子どもの話は文字通り誰にもしたことがなかった。

私は本当に1人だったと、今は思う。


でも保育園に通って、先生に出会って、

「子どもたちのこと一緒に考えましょう」って

言ってもらえて。


私も子どもたちも、世間に認められた気がした。




1年ぶりの旦那の実家。

じいじばあばは成長した孫たちを目を赤くしながら見てくれている。

「◯◯できるようになったの?!」
「クラスの中で一番なんじゃない?!」

多少大げさでも、私も子どもたちもそれがすごく嬉しい。


「子どものこと」を話せる相手とは育児をする人に自信を持たせてくれる存在だ。


今回久しぶりに顔を見て話をして
私のこの1年の育児は決して間違いばかりではないと自分を少し誇れた。


私にとっても子どもたちにとってもなくてはならない存在。

その気持ちを忘れずに限られた時間を大切にしたい。


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