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歯医者へ。そして毒親からの解放。

歯科医院に行ってきた。

今日は定期健診。
4か月ごとに歯科医院から定期健診のお知らせメールが来るので、それが来たら予約を入れて律義に通っている。

普段、ものすごーーーく丁寧に歯を磨いているわけではないが、きちんと定期健診に行っているここ数年は、虫歯が発生していない。

私はもともと両親が歯を大切するという意識がなく、子どものころから丁寧にデンタルケアもしたことなく、さらに貧乏だったため、歯が痛くなっても

「正露丸を詰めておけ」

と正露丸を虫歯に突っ込まれていた。それで到底、虫歯が元の健全な歯に戻るわけでもなく、とうとう

「もう我慢できない。これは医者に行かないと無理だ」

とまでになってから、ようやく歯医者に行く許可をもらえた。

そのおかげで、私は大人になってからも歯のことではとても苦労したし、お金もかかった。

幸い、就職先で歯科医師と仕事をすることも多かったので、歯に対する知識を学ぶことも多く、そこで歯の状態が全身の健康状態にも影響することを初めて知ったし、仕事で会う歯科医師に

「歯並びを治さないと!」

と言われることもあった。(そして八重歯を一本抜いた)

何より『歯の大切さ』というものを、日常生活や親から自然と体得してきたわけではなく、自分の力でそれまでの習慣を改め、会得せねばならない。

実は、これは大きなハンディキャップである。

毒親の元で育つと、歯のことだけでなく、こういうことは日常にたくさん転がっている。

毒親に育てられた、というだけで、その子どもは見えないハンディキャップをたくさん背負っているのだ

ちなみに私の妹は、大変勉強ができたので歯科医師になった。ただ、デンタルIQは私と同様低かったため、大学に入ってから自分の歯並びや治療歴などにあらためて愕然としたという。

そして、私も時を経て親になった。

上の子は、知的障害と自閉症があり、もう18歳になった。

私は、子どもたちには自分のような苦労はさせまい、と思い、息子は3歳になってから私と歯医者に通うようになった。

うちのような子どもがもし虫歯になったら、全身を拘束したり、全身麻酔で治療すると知り(一概には言えないが)、私自身はそれが絶対に嫌というよりも、私が痛みや虫歯治療で苦労したので、そういう苦労を減らしてあげたい、と思ったからだ。

歯医者では、息子の特性を理解し、それはそれは丁寧に対応してくれた。診療台では、息子は私の膝の上に座ったままで受けさせてくれて、まずは歯磨きだけ。

それに慣れたら、次はデンタルミラーで見てもらう。

次はフッ素を塗ってもらう。

何年も何年もかけて、1か月おきに通い、そのうち私の膝の上から降りて一人で座れるようになり、次は歯石取り、次は機械を使ってクリーニング、とひとつひとつ、ゆっくりと息子に合わせて工程を増やしていった。

18歳の現在は、ひとりで一般の人と同じ定期健診が受けれられるようになり、3か月おきに通っている。

そして、なんと市から『歯の健康優良児』として表彰された。

継続は力なり、である。

心で小さく (毒親に勝った) とも思った。
(勝つためにやっているわけじゃないけど)

そして今日の私の定期健診。

私は、定期健診であっても、歯医者に行って、口の中を診てもらうのはドキドキする。
(虫歯があったらどうしよう)
(あー痛くなったらめんどくさいな)
とか、嫌なことをぐるぐるぐるぐると考えてしまう。

でも、今日は初めて
(ちょっと考え方を変えてみよう)
と思った。

(口って、自分の体内に食べ物や飲み物を取り入れる場所だから、いつも綺麗にしとかないとな。今日は綺麗にしてもらえる。幸せだな

(いつもたくさん物を噛んでくれてる歯ってすごいよな。ありがたいよな。いつもありがとう

と。

昔の私なら考えられないことだ。

そうすると不思議なもので、不安といったネガティブな感情がすーっと消えた。

自分の感情は脳が発生させていて、歯は脳とは繋がっているけど、別のものとして存在している。
だから、歯だって、脳から感謝されて嬉しくないはずがない、と考えた。

このことを私は勝手に『切り離し』と呼んでいるが、思考と身体を切り離し、身体を客観視しているのだ。

そうすることで、突発的に発生する不安に対し、私自身は以前ほど恐怖心を抱かなくて済んでいる。

歯医者も治療も全く平気!という人もいるだろう。

私の元々の性格もあるのだろうが、私が歯医者だけでなく病院自体が苦手なのは、

『自分の状態がよくないことへの劣等感
→自分に手をかけていないことへの罪悪感
→親に大切にしてもらえなかった悲しさ』

につながるからだ、と気づいた。

自分の奥底に閉じ込めてきたものと、やっと出会えた。

いや、私はよくやってきたし、よくやっているし、ちゃんと気づいたんだから、もう大丈夫だよ。

そう思うとちょっと涙が出てきた。
やっと自分を大事にできそうな気がする。

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