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ケアレスミス

 冷蔵庫に財布が入っていることが、週に2回あると、さすがに調子が悪いんだと思う。今まではそれでも月に1回か2回だったのに。旦那曰く掃除機のことを100発100中洗濯機って言っているらしいし、携帯電話は必ず携帯していない。これらは不可抗力としてである。わざとではない。

 他人事のように書いているけれど、これは全部自分の話だ。

 私は、みんなと同じようないわゆる普通の生活が、すごく難しい。何かをやろうと思うと、何かが足りなかったり、支障が出ていたりする。実際、何か脳に異常があったり、病気の類かと思って、病院に行ったこともある。先生は「なんともないですね。」と言っていたけれど。解決には至らず。

 生きていく能力がないのか。欠如しているのか。神様のせいなのか。      若いころから、人のせいにする能力だけは一人前なのに。

 いやいや、待て待て。考えてみようよ。共通点とか対策とか。例えば、携帯電話を携帯していないと気が付いた時のあの絶望感(ほぼ毎日)あれを避けるためには、何が必要なのか?何だろう・・・ほかにもさ、財布がない!って気づいたときに、冷蔵庫はまず探さないじゃない?だから落としたんじゃないかって思う時間が長いわけで、ドキドキする時間が長いわけで、自分を責める時間が長いわけじゃない?それはさ、冷蔵庫を一番に探すようにするべきなのか、そもそもなんで冷蔵庫に財布なんていうそぐわないものが入ってしまうのかの検証をすべきなのかを考えるのか?・・・だんだん複雑に考えちゃうのが私の悪い癖。

 はたまた、掃除機のことを洗濯機っていうことは、悪いことなの?害を与える可能性としたら、周り(今は旦那)に意味が通じなくて混乱を与えてしまう可能性だけれど、旦那が理解してくれている(それも変だが)現状では、何も困ることはない。むしろうちの掃除機の名前を洗濯機にすれば、私が正解になるのではないか。・・・あーそこまでやると、3歳の娘が掃除機のことを洗濯機と覚えて、彼女の人生に影響を与えてしまうか。却下。

 掃除機洗濯機問題は、とりあえず解決にしよう。携帯不携帯と財布どっか行っちゃう事件については、もう少し深堀ができそうではないか。この一連の現象を、動詞にするとどうなるのか考えてみる。自分の中では大事件と言いたいが、間違いなく世間一般でいう事件ではない。・・・ミス。この一連の問題をミスという言葉にしてみる。あっ世の中にはケアレスミスという言葉がある。調べてみる。

[ケアレスミス]  知識・能力の不足ではなく、不注意による誤り。そそっかしい間違い。

 ・・・能力の不足ではない・・・能力の不足ではない・・・能力不足ではない!えっ能力不足じゃないの?( ゚Д゚)

 自分の一連の問題をケアレスミスということにすると、私にはどうやら能力があるということになる。びっくりだ、奇想天外だ。もう私は私を責めないで済む。ありがとう、広辞苑。

 能力があるということで、つぎは能力を使う方法を考えてみよう。仏教の言葉に戒律という言葉がある。戒律の戒は自己にて規律を守ろうという意思、律は集団で守る規律を作ること。自分の戒律を作れば、能力は最大限に生かせるのではないだろうか。

 まずは携帯不携帯について。戒律を作るために分析すると・・・問題!なぜ確認ができないのでしょうーか?いくつかあるな。一つは朝の時間、バタバタしているから。二つ目は意識が足りないから。三つめはルールがないから(=戒律ね)一つ目のバタバタは主に、“娘のご機嫌をつかみ損ねると”が主語になることが大半。あとは私の弱ーいおなかちゃんがぐるぐる言うとトイレと友達にならないといけない。この二つが強敵。でもこれ、意識のハードルをかなり上げないと根本的に解決できないやつじゃないか?・・・よし、保留にして、二つ目。意識改革。朝起きたときに、いつもの“携帯がない時の絶望感”を思い出すこと。それが一番効果的だよね。毎日できるかしら。そんで三つ目のルール作り。出がけのバタバタしているときのことは解決しずらいから、違う時間にルールを設ける。私の朝の携帯との付き合い方は、ご飯を食べ終わって娘の着替えをする時間にアラームが鳴るようにセットしているから、アラームを止めたら携帯を鞄に入れるにしよう。うん。できそう。

 次は財布どっか行っちゃう事件について。前のやり方を元に、まず原因を探ると、これは原因が明確だ。買い物袋に財布をいれちゃうからだ。買い物が終わって、冷蔵庫にものをいれるのと同時に、財布をいれちゃう。ここに問題がある。じゃあ、それはどうしたらいいか、ルール作り。お金を払った後に、荷物を持ちながら、鞄を出すことが辛いため、今度から、買い物にいくときは、ポシェットでいこう。うん、できそうだ。

 こうやって考えて、実行して、文字に起こして、記録して。ケアレスミスの修正には案外めちゃんこな時間がかかるんだということが、よくわかった。

 だけれどいいのだ。なんせケアレスミスは、私を能力のある女にしてくれたのだから。



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