『星の数ほど夜を数えて』を観ながら愛を数えていた
劇団Tiptapの新作オリジナルミュージカル『星の数ほど夜を数えて』を観てきました。
2023/8/6 ソワレ。
すみだパークシアター倉という会場は私はお初で、どこの駅からもまあまあ離れています。
この灼熱の日々のなか、ここを歩いていくのかぁと少し(ほんの少し)思いましたが、
「久しぶりの新作、観たい!!」という気持ちが勝り、チケットを取りましたが、
ほんと、観てよかったです。
暑さに負けないで偉いぞ私。
Tiptapさんが大好きなので期待はしていたのですが、期待以上でした。
どのくらい大好きかは、以下のnoteに書いています(まあまあ長い)。
この物語ですが、ホームページにはあらすじがこのように書かれていました。
難しい題材、しかもミュージカル。
どのようなお話になるのか興味津々でしたが、
向き合っている問題は美しさだけでは語れないけれど、それでもやはり人の心は美しいと、
涙せずにはいられませんでした。
自分でも驚いたのですが、
切ない場面やしんみりする歌もたくさんあったのに、たった一つのセリフで、涙腺崩壊しました。なぜこのセリフがきっかけになったのかは分かりません。
しいていえば、やさしさでしょうか。
隣の人もこの場面で鼻をすすっていましたので、どうやら個人的な記憶との連動でもなさそうです。
夫婦の物語なので、夫役の今井清隆さんと妻役の白木美貴子さんのW主演。
今井清隆さんは元々声が大好きな役者さん。人間のもつ強さと弱さをオープンに表現される方だなぁと思います。まっすぐに届くのです、喜びも悲しみも全てが。
白木美貴子さんは、なんとまあ、ここが舞台だと忘れそうになるくらい、自然に認知症が進んでゆく妻を演じておられました。
小劇場という、舞台と一体化しやすい状況とはいえ、お二人ともまるで私の目の前で語り合うご夫婦のように、表情の変化やふとしたチカラの入れ具合などが伝わってきて、感情移入なんて意識しなくても、どっぷり浸りました。
この集中はそんなに長く続くわけではないので、ギュッと詰まった75分の長さがちょうどよかったです。
娘さんの視点、お医者さまの視点、役所の視点が絡むことで、よりご夫婦の結びつきの深さを感じられて、さすがTiptapの作品と感激。
最小限に美しくセットされた舞台も、感情を際立たせていました。
音楽は舞台上での生演奏。上手の奥で、ピアノ、ギター、ヴァイオリン、チェロが、切ない気分を盛り上げてくれました。
今井清隆さんの歌声が楽器と一緒に果てしなく響いて、小さい会場が星空になったかのよう。
途中のテンポの良い曲も、生演奏ならではの呼吸でのびのびとしていました。
作品、演出、キャスト、音楽、セットのバランスが本当に素晴らしく、ありきたりの表現ですが、まさに心が洗われた感じです。
人はここまで相手を思いやれるのか。
また、上演されることがあったら、是非観てみたいです。
帰りはスカイツリーを見上げながら、
明るくて見えない星を思って歩きました。
最後までお読みいただきありがとうございます。