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ウェルビーイングを軸にコミュニティを設計する方法

ウェルビーイングってなに?

ウェルビーイングは、人間が身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを指す概念です。

もともとは1948年にWHO(世界保健機関)の憲章草案のなかに以下のような文があったことに由来する言葉だそうです。

「健康とは、身体面、精神面、社会面における、すべての well-being(良好-性)の状況を指し、単に病気・病弱でない事とは意味しない」
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”

医療や看護の領域で使われているウェルビーイングという概念をコミュニティデザインに援用することで、その指針が得られるんじゃないかと思い、その発想をこの記事に残しておきます。


ウェルビーイングの因子:PERMAモデル

ウェルビーイングの因子についてまずは見ていきましょう。たくさんの研究がこの領域でされていますが、ここではPERMAモデルを足場に考えます。

PERMAモデルはシンプルで扱いやすい。ちょっと個人主義的な側面があるモデルなので集団主義的な文化の日本には完全にあてはまらない可能性もありますが、あくまでコミュニティをデザインするための思考の足場として使えれば十分なので、正確性よりも扱いやすさを優先して、このモデルを利用します。

では具体的にPERMAモデルではウェルビーイングはどのような因子に分解できるのでしょうか。それは以下のとおりです。

・ポジティブ感情 <Positive emotions>
・没頭 <Engagement>
・関係性 <Relationship>
・意義 <Meaning>
・達成 <Achievement>

それぞれの頭文字をとってPERMAモデルと呼ばれています。

では、これらの因子について、コミュニティで実現するにはどうしたらいいか、考えてみます。

まず、P:ポジティブ感情(楽しい、嬉しい、面白い、感動する、感謝する、など)についてはコミュニティでの活動を通じて自然と得られる場合が多いように思います。

ただし、そういった感情をコミュニティメンバーが一人ひとり個別に感じるだけじゃなく、その感情がメンバー間で共有される状況にすることで、ポジティブ感情はより大きくなるんじゃないかなと思います。

コミュニティだからこそできるポジティブ感情を増幅させる方法が、そこにありそうです。例えば、感情の共有のためにメンバー間でサンクスカードやコミュニティ通貨を送り合ったりするのも手ですね。

次にE:没頭ですが、これは無我夢中でできる状況を生み出すことです。椅子に座って背もたれに寄りかかり人の話を聞くようなイベントでは没頭は生まれません。

むしろ前のめりになり、その場の当事者になってもらうことで没頭が生まれやすくなる。そのためには、小グループに分けて対話する時間を取ったり、自分にとってのその場の意味を言葉にしてもらったり、といったカタチで「ジブンゴト」にしてもらうのが良いかもしれません。

やることがカンタンすぎると没頭できないので、少しハードル高めな活動のほうが没頭しやすいですね。

また、一人ひとりがすでに没頭していることを持ち寄ってみんなでやってみるような場もいいかもしれません。そうすれば没頭だけじゃなく次のR:関係性に良い影響がありそうです。

関係性とは他人との関わりです。そして、関わりはなにかしらの共通の実践によって生まれます。協力して何かをやったり、誰かのやりたいことを支援したりする状況を生み出すのがいいでしょう。

そもそもコミュニティは人と人のあいだにかかった関係性の橋によって成り立っています。コミュニティデザインとしては、そういった関係性の橋がかかりやすい状況を作るのがいいでしょう。そのためにはお互いについて知る機会が必要になってきます。

続けてM:意義です。なぜそのコミュニティに所属しているのか?そこで自分は何を求めているのか?そもそも自分は何をしたいのか?そういった問いに答えられる人は意義を感じていると言っていいでしょう。

でも、そういった問いを投げかけられる経験はあまり多くありません。なのでオススメは、コミュニティデザイナーもしくはコミュニティマネージャーがメンバーとの1on1を実施することです。メンバーとの関係性も深まりますし、メンバーの信念やコミュニティに所属している意義について再確認する良い機会になります。

最後にA:達成です。何かしら目標を立ててそれが達成されることが重要です。目標はひとそれぞれなので、コミュニティとして統一した目標をもつ必要はありません。

先に書いた1on1のような場でメンバー一人ひとりの目標や達成したいことを把握し、それをコミュニティのチカラで実現できるような仕掛けを考えるとよいでしょう。

また、メンバー同士が達成したいことを共有できるような機会を作るのもいいですね。それによってメンバー間に新たな関係性ができたり、ポジティブ感情が生まれたり、没頭したり意義を見出したりもするでしょう。

そんなふうに、PERMAというそれぞれの因子は絡み合っているのです。


ウェルビーイングから発想するコミュニティデザイン

PERMAモデルをベースにコミュニティデザインについて考えてみました。コミュニティによっては向き不向きもあるでしょうし、ウェルビーイングを必ずしも目的としないコミュニティもあります。

なので、あくまで「ウェルビーイングのPERMAモデルでコミュニティデザインを考えたらどうなるか」くらいの軽い気持ちで、ここに書かれた一部でも取り入れると、コミュニティを良好なもの(well-being)にできるんじゃないかなと思います。


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