「主役の移り変わり」がコミュニティ成長のカギ。データ分析で明らかに!
2024年3月から本格始動するコミューンコミュニティラボ。コミュニティの現在地をリサーチし未来像を描いて発信していきます(プレスリリース)。今回は始動前にちょっとお伝えしたい研究成果が出たのでnoteのカタチでお届け!コミュニティの面白さや可能性を感じながらお読みいただけたら嬉しいです。
熱量の維持でコミュニティは成長する
コミュニティを立ち上げること自体はそこまで難しくありません。誰かが宣言したりツールを使ってコミュニケーションの場を用意すれば一応スタート地点に立つことができます。
難しいのはそのコミュニティの熱量を一定以上のレベルで維持すること。熱量はどこからともなく生まれるのではなく、コミュニティの中から生まれます。その熱量が維持されることで、コミュニティを起点にした豊かな成果が期待できる。具体的には、プロジェクトが立ち上がったり、メンバー同士がコラボレーションしたり、コミュニティの外に活動が波及していったりします。
コミュニティに限らず、化学反応も一定の熱量が必要だったりしますし、人間の身体も冷えているとうまく動かせなくなってしまいますよね。ではどのようにして熱量を維持しコミュニティを成長へ導けるのでしょうか?その答えは「主役の移り変わり」であることが今回の研究で明らかになりました。
熱量をデータで分析してみよう
わたし黒田悠介が所長を務めるコミューンコミュニティラボでは、さまざまなコミュニティの研究を行っています。今回はコミューン株式会社のデータサイエンティストの樋口心さんに協力してもらい、コミュニティの熱量の維持と、それによるコミュニティの成長について分析してもらいました。
分析対象はMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)が成長傾向にあるコミュニティと停滞傾向にあるコミュニティ各10件。コミュニティは時間が経つことでフェーズが変わっていくので、オープンしてからの期間は一定範囲で揃えています。
MAUが伸びていれば熱量があるとは言い切れないのですが、今回はそれを一旦仮定して分析を進めることにしました。コミュニティはとても複雑な現象なので、仮定によって変数を減らして分析するのが研究のコツです。
さて、その分析の結果分かったことは以下の通り。分析時のデータの都合で以下ではコミュニティメンバーのことを「ユーザー」と呼びます。
MAUが成長しているコミュニティは初期のコミュニティマネージャーのアクションが多い。
MAUが成長しているコミュニティはアクティブなリーダー(※1)の比率が高い。その後ワンテンポ遅れてフォロワー(※2)が増えていく。
MAUが停滞しているコミュニティは序盤でコミュマネのアクションが少なく、アクティブなユーザーの比率も低いままであった。
分析結果をグラフで見てみよう
参考までに分析時のグラフを抽象化したイメージを載せておきます。今回は社外秘なデータを扱っているためグラフのラベルはマスクしてあります。
コミュニティのフェーズを意識しよう
わたし自身いくつかコミュニティを立ち上げたり解散させてしまった経験がありますが、納得感がある結果です。コミュニティの成長や停滞が「コミュマネ」「リーダーユーザー」「フォロワーユーザー」という3つの登場人物が担っていたわけですね。
彼らの存在が時間差で重要になるというのも、コミュニティの成長にはフェーズがあることが示唆されていて興味深いです。
特にコミュニティの立ち上げ当初はコミュマネの行動量が重要です。自らイベントを企画したり投稿をしたりして、ユーザーを巻き込んでいくわけですね。そして、そのコミュニティマネージャーに触発されてリーダーが動き出し、自らコンテンツを生み出す側になっていきます。そして、コミュマネやリーダーのアクションが引力となりフォロワーやパッシブユーザー(※3)が増加。コミュマネやリーダーのアクションに対してフォロワーがリアクションしたりパッシブユーザーが見守っていたりすることによってコミュニティの熱量は一層高まっていきます。
今回の分析の範囲外ですが、こうした「リーダー」「フォロワー」「パッシブユーザー」は決して固定的ではないというのも重要な論点です。パッシブユーザーがコミュニティの熱量で温められてフォロワーやリーダーになっていくこともある。ユーザーの流動性についても今後の研究で明らかにできればと思います。
今回の研究結果から、コミュニティのフェーズごとに取るべきアクションや重点的にサポートすべきユーザーが移り変わっていくことが分かりました。
早速、コミューン株式会社のサービスにもこの研究成果が反映されるそうです。ツールの進化もコミュニティを語る上では欠かせない要素なので楽しみですね!
コミュニティは一夜にして成長するものではありません。植物のようにじっくり育てるつもりで向き合っていきましょう。
この研究について詳細が気になる方は以下のサイトからお気軽にお問い合わせください。
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