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偶然きみに会いたくて

高台にある、しゃれたマンションにきみは住んでいた。ぼくは用もないのに坂の下にいって、川を眺めていた。偶然きみに会いたくて。
川を眺めるのは退屈だったし、同級生が自転車に乗って現れることもあった。
「なにやってるの?」
そう聞かれて、ぼくは困った。
「散歩だよ」
週に3日も散歩して、川を眺めている。自分でも、変なやつだと思う。
きみはいつも現れなかった。それでもぼくはどきどきしながらきみを待った。

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