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「トップガン マーヴェリック」(2022年)

大ヒットしたのもよくわかる。
すばらしくよく出来ている。

トム・クルーズ演じるピート・“マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐は、本来なら将官になっていてもおかしくない実力があるが、現在はテストパイロットをやっている。
そんな彼が、海軍のパイロット養成学校【トップガン】に呼び戻される。
「ならずもの国家」がウラン濃縮プラントを稼働させようとしているので、それを爆破するというプロジェクトがある。トップガンのパイロットたちがその任務を達成するように、マーヴェリックが教育するのだ。養成学校の生徒にそういうことをやらせるのだろうか、という疑問があるが、それはともかく、基本的には生徒たちを教えて、実戦をクリアする、というストーリーになる。

前作当時の光景が、ところどころで挿入されているところなど、ファンサービスがしっかりしている。おもしろいのは、昔を懐かしむショットももちろんあるのだが、マーヴェリックにとってトラウマになっている要素もフラッシュバックするところだ。
それは、前作で死亡したグースのことだ。
今回、グースの息子ルースターがパイロットとしてメンバーの中にいて、マーヴェリックに恨みを抱いている。そのことに頭を悩ませたりもする。大ヒット作の続編でありながら、とってつけたよう続編にならないように工夫している。
若いころは楽しかった、今はいろいろ大変だ。そんな中年の悩みみたいなものを描くことで、前作を楽しんだファンの共感を得ることができているのではないか。

そうはいっても、ストーリーは比較的単純なので、これだけでは大ヒットしないだろう。
すばらしいのはリアルを追求した戦闘機の飛行シーン。それだけでなく、後半でミッションがはじまったところから感情を刺激する演出が雪崩のように投下される。
こういうリアルとエモーショナルの両方を高いクオリティで提供することで本作は成功したのだろう。
なお、本作ではトム・クルーズとジェニファー・コネリーの恋愛描写があるが、非常にあっさりしている。トムは61歳、ジェニファーは53歳。若い観客にとって、あまり長々と見せられてもわくわくしないだろう。こういった的確な判断も功を奏しているのだと思う。

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