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「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(2021年)

前作が素晴らしすぎたので、平凡な作品に思えるが、他の映画に比べたらよくできていると思う。

今回は、モンスターの弱点を発見した人間が、その方法を人々に伝えようとする物語。
前作の世界観と大きく変わるところはない。
今回は子どもたちの成長物語になっている。

本作ではラジオから流れる音楽を聴いて、それをヒントに発信源をつきとめるというアイデアがキーポイントになっている。
ここからわかるのは、コミュニケーションの手段というものはたくさんある。それを理解するには受け手の能力も必要だ、ということだ。
さらに言えば、発信源をつきとめたのは聾唖者だった。ラジオの音が聞こえない聾唖者がなぜ発信源を突き止めたのかという具体的な過程は省くが、耳が聞こえない、しゃべれないというのは障害ではあるが、コミュニケーションが取れないということではない、というメッセージでもあるだろう。

また、本作ではクリストファー・ノーラン映画の常連キリアン・マーフィーが出演しており、その後、ノーラン作品の「オッペンハイマー」にマーフィーとエミリー・ブラントが出演している。本作での共演が影響しているのだろうか。

製作費は95億円で前作の約3倍。期待のほどがうかがわれる。
興行収入は460億円。大ヒットと言っていいが、前作は530億円だったので製作費:興行収入の比率としてはやはり前作のほうが上回る。

Rotten Tomatoesの評価は、
前作が批評家:96%、観客:83%、本作が批評家:91%、観客:92%となっている。本作のほうがモンスターの襲撃シーンも多くエンタメに振っているのが要因だと思われる。良くも悪くもわかりやすい。

第一作が素晴らしいと、最近はおおむねフランチャイズ化がはじまる。
独創的なアイデアは、第二作ではもう見慣れているから他の要素を入れる必要がある。しかし、前作での設定を大幅に変えることもできないので第一作での驚きや新鮮味は徐々に薄れていき、物語は想定の範囲内になっていく。
この問題をなんとかするのが肝になってくるのだが、本作は無難なところで対応しており、正直言って物足りない。前作はまた観たいが、本作はもう観なくてもいい。
フランチャイズ化というのは悪く言えば付け足していく行為なので、いろいろと難しい。


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