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「シンドラーのリスト」(1993年)

はじめて観たが、よくできている。

第二次世界大戦のナチスドイツが舞台。
ビジネスマンのオスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)は、戦時下であることを利用してナチスに取り入って、ビジネスを成功させた。安価な労働力であるユダヤ人を雇い入れ、莫大な利益を生んだ。
戦時下において状況が変わり、SSのアーモン・ゲート少尉(レイフ・ファインズ)が収容所に赴任してくる。彼は気分で囚人をどんどん殺すので、シンドラーは自分の工場で働いているユダヤ人が殺されては困るとゲートに相談を持ち掛ける。
さらに戦況が変わり、ユダヤ人が次々にアウシュビッツに送られるようになる。シンドラーはゲートと交渉し、ユダヤ人を買い取って安全な場所に逃がすことにする。
といった物語。

ヒトラーなどのナチス上層部の人間が出てこないし、戦闘シーンもない。そのため、戦況がどうなっているかはわからない。シンドラーと彼をとりまく環境が変化していくだけだ。
この演出は運命に翻弄される人々の様子を表現するのに適していいる。
また、撮影に関しても人間の目の高さから撮影しており空撮などはない。このおかげでドキュメンタリータッチの緊張感がある仕上がりになっている。

本作は、「戦時下もしくは極限状態において、権力を持つと人はどう変わるのか」という問いを立てていると思う。
そして、自分がそう思っているだけなのかもしれないが、リーアム・ニーソンとレイフ・ファインズはよく似ている。これはうまいキャスティングだ。
シンドラーもゲートも権力を持っている。よく似ているふたりの人物がそれぞれ権力を持っており、それをどう使うのか、といった対比がわかりやすく描かれる。

1989年11月にベルリンの壁が崩壊し、1990年からドイツ再統一がはじまった。このタイミングで、ドイツが東西に分断される原因となったナチスドイツについて、あらためて焦点を当てるというのは、意義のあることだっただろう。そして、その作品をユダヤ系アメリカ人のスピルバーグが監督したという点もポイントだ。

製作費は34億円。興行収入は500億円。
製作費の安さに驚くが、メガヒットと言っていいだろう。
当時はまだアカデミー賞ブランドもかなり強かったし、1993年といえば、まだインターネットもそれほど一般的ではなかった。映画という娯楽が観客を呼べた。そういう時代だったから、ここまでの成功を達成したのではないだろうか。

映画がまだ元気だった時代の名作といった感じでよかった。

https://www.youtube.com/watch?v=kx_Td3dN4oE&t=1s


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