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きみのせいだよ
明治神宮へ行こうと葵を誘ったら、あそこは結婚する場所よ、と言われた。
その言い方がとてもあっさりとしていて、逆に新鮮だった。
ぼくたちは高校2年生で、多くの高校生がそうであるように、結婚は視野に入っていなかった。すくなくとも、そういう話にはなっていなかった。
ぼくは葵との結婚生活を妄想していた。まだセックスもしていなかったというのに。
じゃあ、やめようかとぼくが言うと、葵は大声で笑った。
「そんなにがっかりしないでよ」
そんなにかわいそうな顔をしていたのだろうか。結婚を断られた気分になっていたのかもしれない。
「土曜日ね」
葵が言った。ぼくはほっとした。
高校時代。こんなことはたくさんあった。うれしかったり、びっくりしたり。
感情がすなおに反応していた。
若さのせいかもしれないし、葵のせいかもしれなかった。
それでもたしかに言えるのは、幸せな日々ではあったんだ。
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