「フォードVSフェラーリ」(2019年)
1966年のル・マン24時間レースがメイン。
フォードVSフェラーリというタイトルであり、実際にフェラーリとの対決は描かれるが、むしろメインはフォード側の内幕になっている。
大企業のフォードは衰退の危機感から、さらなる発展を目指していた。そこで、ル・マン24時間レースを連覇していたフェラーリを買収しようとする。しかし、交渉は決裂、フェラーリの社長から侮辱的な言葉を投げかけられて、フォードの社長は自社でル・マン24時間レースの優勝を目指す。
雇われたのが、ル・マンで唯一優勝経験のあるアメリカ人ドライバー、キャロル・シェルビーと、イギリス人レーサーのケン・マイケルズだった。シェルビーはレーサーからは退いており、凄腕レーサーのケンをサポートしていた。このふたりがフォードを優勝に導くために頑張るのだが、大企業内部のパワーバランスや駆け引きがあり、シンプルに優勝を目指して突っ走る、というわけにはいかない。
レースシーンは多い。かっこよく撮れてはいるが、それが売りになるほどのものすごいショットはない。むしろマット・デイモンとクリスチャン・ベールの絶妙な演技が最大の売りだろう。大企業に雇われながらも互いの信頼関係をはぐくんでいく男たちの姿だ。
本作の制作が発表された2018年は、アメリカ経済の成長がやや鈍化してきた頃。
フォード社長同様、これからの発展に危機感を覚えていた企業も多かったのではないか。
そして、成功した大企業が新しいことをはじめようとすると、さまざまな障害が発生する。その中の一つが、組織が肥大化したことによるフットワークの鈍さではないか。
本作が描きたかったのは、そういう状況で必要なもの、大切にすべきものはなんなのか、ということだったと思う。
本作は、製作費154億円、興行収入326億円。
映画の内容としては地味な印象だが、かなりのヒットとなった。
レース映画なのだから、もっと派手なショットが見たかったというのはあるが、演技達者な俳優陣のおかげで安心して観られる映画ではあった。
https://www.youtube.com/watch?v=4rcKCkcp5gE&t=1s
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