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『COCOON』March2004

①「清水美里 今読み返す一冊 池田貞子歌集『キ型の心臓』評」
 〈何より驚いたのはこれらの歌が全く古びていないことである。昭和初期に詠まれたこれらの歌が今月号の歌誌に載っていたとして、気付く人はどれだけいるだろうか。〉
病気なんか忘れて了へつて!
馬鹿だなあ 私の全部が病気であるのに 池田貞子

 清水が言うように今月のどこかの歌誌に載っていても不思議はない。昭和初期の口語短歌。全く知らない歌人でびっくりした。こうした今までスポットの当たっていない作者を掘り起こすことの大切さを痛感した。

ちょっと何言ってるか分からない、会費のように笑って過ごす 大松達知 上句はよくあるセリフ。主体が相手の話に対して持った気持ちと取った。分からないが、そこは笑ってやり過ごす。そうした態度を取ることに、会費を支払うような気分を感じている。

肉まんの紙のパンダも目をあけているからわたしだいじょうぶだよ 月下桜 肉まんに敷かれた紙に描かれたパンダだろうか。目をあいた絵はいつまでも目をあけている。不眠の夜、「わたし」も目をあけていて大丈夫、眠れなくても大丈夫、と自分に言い聞かせているのだ。

2024.5.1. Twitterより編集再掲

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