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『西瓜』第九号

どの橋も地球の上を渡るだけだから怖くはないって、確か 鈴木晴香 橋は異界と異界を渡すものだから怖いと思うことはあるだろう。だが、どこか別の星へ行く訳ではない、地球上の移動だ。最後の三音が言いさしのようで気になる。確かに、なら終わる感じがするのだが。

指差してここは焼け跡 許さずにきたことばかり葉桜になる 野田かおり 初句は他人への依頼というよりは、自身の動作と思った。「ここ」は、自分の心の中の、感情の焼け焦げた跡と取った。焼け跡を隠すように葉桜が繁っている。その下には許せなかった傷があるのだ。

きみとわれに二度と触れあふことはなく望遠レンズに橋は迫りて 楠誓英 過去には触れ合ったことのある人と、二人で出かけたのだろうか。望遠レンズに橋が映る。どこかへ行くための橋が、眼前に迫るが、それを二人で渡ることはない。遠いところでしかないのだ。

2023.8.5. Twitterより編集再掲

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