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『現代短歌新聞』2023年6月号

①「インタビュー鈴木加成太氏に聞く」日本歌人クラブ新人賞、現代歌人協会賞ダブル受賞おめでとうございます。
〈(小島ゆかりさんの短歌は)言葉に無理をさせないんですよね。言いたいことのために言葉をねじ曲げるようなことはしなくて、言葉のもっている素材をそのまま活かしているのがすごい。〉
 小島ゆかり短歌の長所を語っているが、それがそのまま鈴木の目指すところとなっている印象を受けた。「言葉に無理をさせない」というところ、考えさせられる。

②「インタビュー鈴木加成太氏」
〈作者が人生から得た価値観も作品の一部として評価すべきだと思うし、それも含めて作品だと思うんですよね。〉
 共感する。自分を全く出さずに歌を詠むことは出来ないのではないかと個人的には思っている。

免許センター帰途の事実だもう我は運転不能の身と思い知る 池本一郎 高齢ドライバーの事故の報を知り、免許を返納した作者。今、日本の地方都市で車無しで生活することは困難を極める。熟考の末返納した、まさにその帰途に、足が竦むような感覚を持ったのだ。

④小野田光「第2回BR賞を受賞して」
〈これほどまでに何度も読み返し、魅力の言語化を試み、しかもその魅力を正当な理屈をもって読者に伝えたいと思うようになったのは初めてのことだった。〉
 渾身の歌集評。人の歌集にここまで打ち込める気持ちのすばらしさ。
〈川本千栄さんの第四歌集『森へ行った日』の書評を書く日常は大変に忙しい時期で(…)しかし、川本さんの歌がわたしの日常に響き合い(…)なんとか書き切ることができた。〉
 私の歌集評についてもこのように言及していただいている。感謝!お忙しい時期に書いていただいたんだなあ。

⑤運天政德「6月のうたのヒント」
船団の後先と言え対馬丸は海に沈んで 我は生き居り 當間實光
〈當間自身も別の船で疎開し、生き延びているが戦争の不条理を身をもって訴える。〉
 対馬丸の被弾沈没を詠った歌。歌に伝えていくべき歴史の生の声が残っている。

2023.6.21.~22. Twitterより編集再掲

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