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角川『短歌』2020年5月号

①「「明星」のビジュアル・デザイン」 ミュシャの絵と並べられると改めてびっくりする。いくつかは模倣というより模写…。1月に京都文化博物館で「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ」を見たなあ。多分野に及ぶミュシャの影響を知って感心したのも記憶に新しい。一番興味深かったのは60年代のサイケデリック・カルチャーに影響を与えた、という説。ローリング・ストーンズの『Flowers』のアルバム・ジャケットも影響を受けたものの一枚として挙がってて二度見した。

②古谷円「山川登美子」〈和歌の伝統にあった女歌のうたいぶりを主張するなかで、「額は伏せつつ君をこそ思へ」にこめられた、明治の目覚めたる女は素通りされている。〉主張するのは折口信夫、女は登美子。折口の誤引用から、思考の盲点を突いていて鋭いと思う。

それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ 山川登美子 こういう歌を詠んで発表しちゃう人ってかなり苦手なタイプ。友だちになれそうにない。譲るなら「それとなく」も何も言わないで。

両耳がここについててよかつたとマスクをつけるたびに思へり 小池光 いや、逆、先に耳。と突っ込みを誘う歌。

幾度目の手洗いだろう鱗粉を落とされた翅は二度と飛べない 遠藤由季 私も手洗いで手がカッサカサ。詩にしてくれてありがとうという気持ち。ハンドクリームを塗りながら…。

⑤尾崎左永子「特別インタビュー」〈物を見るというのは本質を見るということだから〉〈こう言いたい、ああ言いたいといっても、それを直接表現できるまで探して、というより直感で捉えて、要らないものは全部捨てる。〉佐藤佐太郎から学んだと言いつつ、尾崎自身の信条なのだろう。

2020.5.2.~6.Twitterより編集再掲